72歳の女性からのご相談です。
先週末、息子夫婦と小学生の孫たちが、泊まりがけで遊びに来てくれました。
家中に響き渡る孫たちの笑い声、散らかったおもちゃ、いつもより多めに炊いたご飯の匂い――その全てが、私にとって、何よりの幸せでした。
先程、車が見えなくなるまで手を振って、彼らを見送りました。
そして玄関のドアを閉めた瞬間――あの静寂が、私に襲いかかってきました。
孫が忘れていった小さな靴下、まだ少しだけ暖かいお客様用のお布団。家のあちこちに彼らがいた痕跡が残っているのに、もう誰もここには、いません。
この胸が締め付けられるような静けさが、私の日常なんだと、毎回思い知らされます。
年々、この静けさが辛くなります。

たま先生の解説
心理のポイント
私が先ほど「寂しさを、大切な自分の感情として受け止めて」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、感情とのつき合い方の、いちばん優しい方法だからなんです。
私たちはつい、「寂しい」「悲しい」というネガティブな感情を、感じてはいけないもの、早く追い払うべきものとして、扱ってしまいます。
でも、それらの感情は、本当はとても大切なものなんですよ。
「寂しい」と感じるということは、その分だけ「大切なものがある」という証なんです。息子さんとお孫さんが大切だからこそ、いなくなった時に、心がきゅっと締め付けられる――それは、深い愛情の証明そのものなんですね。
ですから、その寂しさを「ダメな感情」だと思わずに、しばらくの間、丁寧に味わってあげてください。
孫の靴下を畳む手元で、ふと涙がこぼれたら、それも、いい。お布団のぬくもりに触れて、しばらくぼんやりするのも、いい。
そうやって、感情を急がず、ご自分のペースで通り抜けさせていくと、不思議とその寂しさは、ご自分の中で熟成されて、温かい思い出に変わっていくんですよ。
これを読んでくださっている、お子さんやお孫さんが帰った後の静けさに、胸を痛めているあなたへ。
「年々辛くなる」というお気持ちも、深く分かります。
歳を重ねるにつれて、ご家族と過ごせる時間が、人生の中でかけがえなく感じられるようになっていく――それは、ご相談者様の感受性が、よりまっすぐになっていらっしゃる証なんです。
そして、静かな日常も、本当は静かなだけの時間ではないんですよ。
孫の声が聞こえないお部屋には、これまでの何十年もの思い出が、たくさん詰まっています。お茶を飲みながら、その思い出を一つひとつ味わう時間も、ご自分らしいご褒美の時間として、大切にしてみてくださいね。
そして、ご家族が帰られた次の日に、ぜひ「来てくれてありがとう、楽しかったよ」と、お電話やLINEで一言、伝えてみてください。
その小さな言葉が、また次に「会いたいね」というつながりを、温かく育てていきますからね。
寂しさも、嬉しさも、両方とも、あなたの大切な人生の一部です。
その全てを抱きしめながら、これからも穏やかに過ごしていってくださいね。