私が先ほど「これはあなたご自身の、心の問題なんですよね」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
あなたが本当に気にしているのは、髪の毛の量そのもの、ではないのかもしれません。
その奥で本当にぶつかっているのは、「少しずつ変わっていく自分を、まだ受け入れきれない」という、切なさなんです。
人は、鏡に映る姿に、自分の価値を、そっと重ねてしまうことがあります。
若い頃の自分を知っているからこそ、変わっていく姿に、心がついていかない。
それは、とても自然な戸惑いなんですよ。
後輩の前に立つあなたが「若く見られたい」と願うのは、見栄ではなくて、まだ現役でいたい、ちゃんと立っていたい、という前向きな気持ちの表れなんです。
だから、それを恥ずかしいことだなんて、どうか思わないでくださいね。
そして、もう一つ。
あなたが奥さまに言い出せなかったのは、浮気を疑われるのが怖い、それだけではないと思うんです。
一番近くにいる人にこそ、「そんなこと気にして」と、軽く受け止められてしまうのが、こわい。
自分の弱さやこだわりを、いちばん見せたくない相手は、じつは、いちばん大切な人だったりするんですよ。
近ければ近いほど、がっかりされるのが、こわくなるんですね。
遠い誰かには言えても、奥さまにだけは言えない。
それはきっと、あなたが奥さまを、それだけ大切に思っている、裏返しなんです。
でもね、本当は、逆なのかもしれません。
弱さを打ち明けてもらえた相手は、「この人は、自分を信頼してくれたんだ」と、あなたのことを、より近くに感じるものなんです。
隠している間は一人ですが、打ち明けた瞬間から、それは二人で分け合える話になります。
一人で背負っていた重さが、ふっと軽くなることも、あるんですよ。
これを読んでくださっている、静かに一人で悩んできたあなたへ。
自分を良く見せたいと願うことは、わがままでも、後ろめたいことでも、ありません。
それは、まだ前を向いていたいという、あなたの心が元気だという、証なんです。
諦めても、取り戻しても、どちらを選んでも、大丈夫。
大事なのは、あなたが「これでいい」と、自分に静かにうなずけることですからね。
焦らなくて、大丈夫ですよ。