私が先ほど『一度だけ落ち着いて確かめてみて』とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、強い衝撃やショックを受けたとき、頭の中がふっと空白になります。
そして、その空白を埋めようとして、心は勝手に『物語』を作り始めるんです。
しかも、その物語は、たいてい一番こわい結末を選びます。
これは、あなたが心配性だからでも、思い込みが激しいからでもありません。
最悪を先に想定しておけば、これ以上は傷つかずに済む。
そうやって自分を守ろうとする、心の防衛反応なんですね。
だから『浮気確定』という言葉が、事実を確かめる前に、先に口をついて出てくるんです。
その物語は、いったん出来上がると、あとから入ってくる情報まで、こわい結末に合わせて解釈させてしまいます。
ご主人が逃げたことも、しどろもどろになったことも、すべてが『やっぱりそうだ』の証拠に見えてきてしまうんですね。
だからこそ、いったん立ち止まって、事実と、心が作った物語とを、そっと分けてあげることが大事なんです。
でも、ここでひとつだけ、思い出してほしいことがあります。
いま本当にあなたを苦しめているのは、あの衣装そのものではないんです。
『私は大切にされていないのかもしれない』
『信じていた人に、隠しごとをされていた』
その、揺らいでしまった信頼のほうなんですね。
衣装は、きっかけにすぎません。
本当にぶつかっているのは、あなたとご主人との間にある『信頼』なんです。
そして、この揺らいだ信頼は、想像だけでは、けっして元には戻らないんですよ。
想像の中で相手を裁いているあいだは、こわい物語がふくらんでいくばかりですからね。
だからこそ、事実を確かめることには、ちゃんと意味があります。
それは、ご主人を許すためでも、責めるためでもありません。
あなた自身が、これから先を選んでいくための、確かな足場を持つためなんです。
事実さえ分かれば、その先が別れであっても、やり直しであっても、あなたは自分の意思で選んだ、と思えます。
その『自分で選べた』という感覚だけは、これからのあなたを、ずっと支えてくれるものなんですよ。
これを読んでくださっている、裏切られたような気持ちで、胸が張り裂けそうなあなたへ。
いま、答えを急がなくて、大丈夫ですよ。
怒っていいんです。
泣いていいんです。
そのうえで、ほんの少しだけ、事実を見る勇気を、自分のために取っておいてくださいね。
あなたの心が、これ以上すり減ってしまいませんように。
焦らなくて、大丈夫ですからね。