私が先ほど「怒りを無理に抑え込まなくて大丈夫」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
裏切られたときに湧きあがる怒りは、あなたが冷たい人だから出てくるのではありません。
「私は、こんなふうに扱われていい人間じゃない」という、あなたの尊厳が、必死に声をあげている状態なんです。
ですから、怒りそのものは、否定しなくていいんですよ。
問題は、その怒りを「どこへ向けるか」、ただそれだけなんです。
ここで心が苦しくなりやすいのは、怒りが「相手を罰したい気持ち」と「自分を守りたい気持ち」の、両方を同時に抱えているからなんです。
相手を思い知らせたい——その気持ちは、裏を返せば「もう二度と傷つきたくない」という、自分を守るための叫びでもあります。
ところが、相手を罰することに全力を注いでしまうと、気づかないうちに、自分を守るほうのエネルギーが、空っぽになってしまうことがあるんです。
本当にぶつかっているのは、ご主人との勝ち負けではなく、「これから自分と子どもが、どう安心して生きていくか」なんです。
そして、もうひとつ知っておいてほしいことがあります。
開き直る人ほど、実は「自分の非を認めたら、すべてを失う」と、内心で怯えていることが多いんです。
「別れる気はない」という言葉も、愛情からではなく、ただ自分の生活を壊したくないだけ、ということが少なくありません。
だからこそ、あなたがその言葉に振り回されて、答えを急ぐ必要はないんですよ。
これを読んでくださっている、今まさに裏切りの痛みのなかにいるあなたへ。
悔しさや怒りは、あなたが本気で家庭を大切にしてきた、何よりの証です。
その大切な気持ちを、どうか自分を責める方向ではなく、自分を守る方向へ、そっと向けてあげてくださいね。
証拠を残すことも、専門家を頼ることも、決して冷たい行動ではありません。
それは、傷ついた自分を「もう放っておかない」と決める、いちばん優しい選択なんです。
そして、あなたが自分を大切にする姿は、そのまま、お子さんの毎日を守ることにもつながっていくんですよ。
焦らなくて、大丈夫ですからね。
あなたには、これからをいちばん納得のいく形で選び直す力が、ちゃんと残っていますから。