私が先ほど「こうすべきという正解は、どこにもない」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、深く傷つけられて心が大きく揺れているとき、無意識に「誰か、正解を教えて」と外に答えを求めてしまうものなんですよ。
それは、決して弱さではありません。
あまりに痛くて、自分ひとりでは抱えきれないから、誰かに舵を預けたくなる。
とても自然な、心の防御反応なんです。
でもね、ここで本当にぶつかっているのは、「離婚するか、相手に伝えるか」という選択肢そのものではないんです。
本当にぶつかっているのは、「信じていた人に裏切られて、自分が自分でいられなくなった」という、心の揺らぎなんですね。
だから、たとえ誰かが決めた「すべきこと」で動いても、心の奥はなかなか納得してくれません。
反対に、どんなに小さな一歩でも、「私はこうしたい」という自分の声で選んだことは、あとから振り返ったときに、必ずあなたを支えてくれるんです。
自分の意志を、少しずつ取り戻していくこと。
それが、裏切りで散らばってしまった心のかけらを、もう一度あなたの手に集めていく作業なんですよ。
それからね、専門の方を頼るのは、決してあなたが弱いからではないんですよ。
心が大きく揺れているときは、目の前のことだけしか見えなくなって、視野がぐっと狭くなってしまうものなんです。
これもまた、痛みから自分を守ろうとする、心の自然な働きなんですね。
だからこそ、少し離れたところから一緒に整理してくれる人がいると、あなたの「どうしたいか」が、もっとくっきり見えてくるんです。
頼ることは、あなたが自分の選択を、自分の手に取り戻していくための力になってくれますからね。
そして、もう一つお伝えしたいことがあります。
怒りや悲しみは、無理に消そうとしなくて、いいんです。
「こんなに憎んではいけない」と蓋をすると、その感情はかえって長く心に居座ってしまいます。
腹が立って、当たり前。
涙が出て、当たり前。
その気持ちを「あって当然のもの」として認めてあげることが、回復のいちばん最初の一歩なんです。
これを読んでくださっている、今まさに裏切りの痛みのただ中にいる、あなたへ。
あなたは、壊れてなんていませんよ。
ちゃんと痛みを感じて、ちゃんと悲しめているのは、あなたが真剣に人を愛してきた証なんです。
答えを出すのは、心が少し落ち着いてからで、じゅうぶん間に合います。
焦らなくて、大丈夫ですからね。