私が先ほど「シロだった場合のことを、先に考えておいてくださいね」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人の心は、一度「疑い」を持つと、その疑いを打ち消す情報が入ってきても、なかなか安心できないようにできているんです。
「証拠がない」という事実さえ、「見つからないように、上手に隠しているだけかもしれない」と、疑いの側へ取り込んでしまう。
これは、あなたが疑い深い人だから、ではありません。
不安なとき、人の心はどうしても、最悪の可能性に備えようとするからなんですね。
本当はあなたを守ろうとして働いている心の力が、皮肉なことに、あなた自身を出口のない場所へ閉じ込めてしまうこともあるんです。
だから、あなたが本当にぶつかっているのは、浮気があるかないか、そのものではないんです。
「わからないまま、心を宙ぶらりんにされていること」――このしんどさと、あなたは今、闘っているんです。
証拠が出れば、それはそれで苦しい。
でも、何も出なくても、疑いが晴れる保証はない。
この「出口の見えなさ」こそが、いちばん人をすり減らすんですね。
だからこそ、調査を始める前に「ここまでで区切る」という線を、自分の手で引いておくことが大切なんです。
線を引くというのは、ご主人を無理に信じることでも、諦めることでも、ありません。
「わからなさ」に、あなた自身が終わりを決めてあげる、ということなんです。
終わりの日を自分で決められると、心は不思議と、少しだけ落ち着きを取り戻します。
いつまで続くかわからない苦しみと、「あと少しで区切りがつく」とわかっている苦しみとでは、同じ重さでも、心の疲れ方が、まるで違うからなんですよ。
区切りを決めるというのは、答えを急ぐことではなくて、あなたが自分の心の主導権を、そっと取り戻すということでもあるんですよ。
これを読んでくださっている、疑いと不安のあいだで揺れている、あなたへ。
はっきりさせたいと願うことは、けっしてやりすぎでも、意地悪でもありません。
それは、これ以上、自分の心を傷つけたくないという、あなたの正直な声なんです。
どうか、その声を責めないであげてくださいね。
そして、どんな結果になっても、あなたが安心して息をつける場所へ向かうための一歩なのだと、覚えておいてください。
焦らなくて、大丈夫ですからね。