私が先ほど「どうするかを決めるのは、奥さまのほうなんです」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、大きな過ちを犯してしまったとき、その苦しさから一刻も早く抜け出したくなります。
「何をすれば許してもらえるのか」と考えるのは、反省の気持ちであると同時に、じつは、その不安から早く解放されたいという心の動きでもあるんですね。
早く許してほしい。
早く元に戻りたい。
その焦りは、とても自然なものです。
決して悪いものではありません。
でも、その焦りが強すぎると、いつのまにか「相手を動かして、自分を安心させたい」という方向にすり替わってしまうことがあるんです。
信頼というのは、こちらの都合やスピードで戻せるものではないんですね。
相手の心の時間の中で、少しずつ、少しずつ育ち直していくものなんです。
ですから、あなたが本当にぶつかっているのは、「どうすれば許されるか」という問題ではないんですよ。
「自分ではどうにもできない」という、無力さに耐えられるかどうか。
そして、その無力さの中でも、腐らず、投げ出さず、静かに誠実であり続けられるかどうか。
本当に問われているのは、そこなんです。
この無力さを受け入れることは、負けでも、諦めでもないんですよ。
それは、奥さまのお心を、奥さまご自身のものとして、そっと尊重できるようになった、ということなんですね。
それからもうひとつ。
あなたには、「なぜ自分は流されてしまったのか」と、ご自分の心をそっとのぞいてみてほしいんです。
寂しさだったのか、認められたい気持ちだったのか、日々の疲れだったのか。
そこに目を向けることが、「もう二度としない」を、本物にしていく力になっていきます。
原因が置き去りのままだと、どれだけ固く誓っても、同じところで、またつまずいてしまいやすいんですね。
これを読んでくださっている、大切な人を傷つけてしまい、それでも関係を諦めたくないと願っている、あなたへ。
過ちを犯したご自分を、これ以上、責めすぎないでくださいね。
責めるためではなく、変わるために、ご自分と向き合うんです。
結果は、あなたには決められません。
でも、誠実であり続けることは、今日からあなたに選べることなんですよ。
焦らなくて、大丈夫ですからね。