私が先ほど「複雑な愛憎があるんですよ」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、似たような苦しみを抱えている方が、自分を見つめ直すための大切なヒントだからなんです。
私たちの心は、未完了の物語を、無意識のうちに「完了させたい」と願う性質があります。
10年前、独身と偽った元カレに、いきなり引き離されてしまった別れ――そこには、ちゃんとした「終わりの儀式」がありませんでした。
「あの人は本当は私を愛していたのか」「私のどこがいけなかったのか」「もう一度会えたら、別の結末になっていたのか」――そんな問いが、ずっと心の奥に、消えないまま残っていたんですね。
そこに「似た人」が現れたとき、心が反応してしまったのは、ご相談者様が「悪い人」だからではなく、「未完了の物語が、ようやく続きを書ける」と、無意識が反応してしまったからなんですよ。
でも、当然ながら、別の人は別の人です。
そして、相手が「体だけ」と割り切っているなら、ご相談者様がどれだけ気持ちを乗せても、その物語は、また同じように傷ついた終わり方をしてしまいます。
これを読んでくださっている、過去の傷を引きずって今の関係に揺れているあなたへ。
「縁を切る」とは、その関係を物理的に断つことだけではなくて、「未完了の物語を、ご自分の中で完了させる」ことなんですよ。
10年前の別れには、答えはもう、出ません。それは、相手が独身と偽っていた時点で、すでに「未来のない恋」だったということなんです。
その事実を、ご自分の心の中で、そっと受け止めてあげてください。
「あの人は嘘をついた」「私はちゃんと愛されていなかった」――その痛みは、もう、引き受けていいんです。
そして、今のご主人がご相談者様を愛してくださっている、その確かな現実のほうに、心を戻していきましょうね。
連絡先を消すというのは、それは過去への決別であると同時に、今の人生を「私の人生だ」と取り戻すための、大切な行動なんですよ。