私が先ほど『つらさと好き、どちらのウエイトが大きいのか見つめてみて』とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
あなたが本当に苦しいのは、『前妻の話をされること』そのものではないのかもしれません。
その言葉の奥で、本当にぶつかっているのは、『私は、この人にちゃんと選ばれたのだろうか』という不安なんです。
人は、誰かと比べられると、自分の価値が揺らいだように感じてしまうものなんですね。
しかもね、心が不安でいっぱいのときというのは、その不安を裏づけるものばかりを、知らず知らずのうちに集めてしまうんです。
『仕方なく選ばれたのかも』と一度思うと、ご主人の何気ない一言までが、その証拠のように見えてきてしまう。
だから、前妻の話が出るたびに、あなたの胸はチクリと痛むんですね。
これは、あなたが疑り深いのではなくて、大切なものを失いたくないと、心が必死に身構えているサインなんですよ。
とくに、産後の心と体は、ホルモンの影響もあって、とても敏感になっている時期です。
普段なら受け流せる一言が、深く刺さってしまうのは、あなたが弱いからではありません。
いま、あなたが新しい命を守っている、その真っただ中だからなんです。
そして、もうひとつ。
『再婚するなら前妻かな』という昔の冗談を、あなたが今も覚えているのは、それだけ真剣に、この人と生きていこうとしている証なんです。
どうでもいい相手の言葉なら、心には残りません。
引っかかるのは、大切だからこそ、なんですね。
だから、まず、自分を責めないであげてください。
『こんなことで悩む私は心が狭い』なんて、思わなくていいんです。
あなたの感じている痛みは、ちゃんと理由のある、まっとうな痛みですから。
そしてね、さっき私が『気持ちを伝えてみて』とお話ししたのには、わけがあります。
胸の中にしまい込んだ思いは、暗がりのなかで、どんどん大きく膨らんでいくものなんです。
でも、勇気を出して言葉にしてみると、不思議と、ちょうどいい大きさに戻っていくんですよ。
これを読んでくださっている、誰かの過去とそっと比べられて、胸を痛めているあなたへ。
あなたは、代わりでも、二番目でもありません。
いまそこにいて、その人との毎日をつくっているのは、ほかの誰でもない、あなたなんです。
答えを今すぐ出さなくても、大丈夫。
つらさと愛おしさのあいだで揺れながら、少しずつ、あなたにとって心地よい距離を見つけていけばいいんですよ。
焦らなくて、大丈夫ですからね。