私が先ほど「トドメの一撃」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人の心って、たった一言で、いきなり壊れることは、あまりないんです。
本当は、その手前にたくさんの「分かってほしかった」が積もっていて。
コップの水が、もうふちギリギリまで来ているところに、最後の一滴が落ちる。
その一滴が、あの「楽でいいよな」だったのだと思います。
だから、あなたが感じている怒りの大きさと、言葉の短さが、釣り合わないように見えるのは、当然なんですよ。
あなたは今、たった一言に怒っているのではなくて、これまで我慢してきた気持ち全部に、やっと気づいたところなのかもしれません。
それにね、怒りというのは、あなたが本当は大切にされたかった、という願いの裏返しでもあるんです。
どうでもいい相手になら、人はここまで胸を痛めたりしません。
あなたがこんなにも苦しいのは、それだけご主人に、あの瞬間の気持ちを分かってほしかったからなんですよね。
そして、もうひとつ。
産後という時期は、心が自分と赤ちゃんを守るために、あえて感情を鋭くしている面もあるんです。
「この子を守らなければ」という本能が働くと、心はどうしても、脅かすものに敏感になる。
夫の顔を見るとイライラしてしまうのは、あなたが壊れているからではなくて、あなたの心が必死に、あなたと赤ちゃんを守ろうとしている証でもあるんですよ。
ですから、そのイライラを「こんな自分はダメだ」と、責めないであげてくださいね。
本当にぶつかっているのは、夫という人そのものではなく、「あの瞬間、私はひとりぼっちだった」という、深い寂しさなのかもしれません。
あんなに心細かったときに、いちばんそばにいてほしかった人から、いちばん聞きたくない言葉が返ってきた。
その痛みは、そう簡単に消えるものではありません。
だからこそ、今はまず、あなた自身が、あなたのいちばんの味方でいてあげてほしいんです。
これを読んでくださっている、傷ついたまま、それでも毎日を回している、あなたへ。
あの言葉を許せないのは、あなたの心が、ちゃんと痛みを感じられている証拠なんです。
無理に許そうとしなくて、いいんですよ。
まずは、あなた自身に「よく頑張ったね」と、声をかけてあげてください。
気持ちを整える時間は、あとからでも、いくらでも作れます。
焦らなくて、大丈夫ですからね。