私が先ほど、「本当に心がざわつくのは、初恋の女性そのものではなく、不快だと伝えても分かってもらえないところではないでしょうか」とお伝えしましたね。
あの言葉には、心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているんです。
嫉妬という感情は、よく「みっともないもの」として扱われがちですよね。
でも、その奥をそっとのぞいてみると、たいていは「私を大切にしてほしい」という、とても素直な願いが隠れているんです。
あなたが感じているモヤモヤも、その正体は、彼女への敵意ではないのだと思います。
長年連れ添ったご主人に、自分の気持ちをちゃんと受け止めてほしい。
その、あたりまえの願いなんですよ。
だからこそ、本当にあなたがぶつかっているのは、初恋の女性という「過去」ではなく。
今、目の前にいるご主人に気持ちが届かない、という「現在」なのかもしれません。
人というのは、出来事そのものよりも、「気持ちを分かってもらえなかった」ことに、いちばん深く傷つく生き物なんです。
同じ「懐かしいだけだよ」という言葉でも、先に「不快なんだね、ごめんね」と受け止めてもらえていたら、あなたの心はずいぶん軽かったはずなんです。
長く連れ添った相手ほど、「言わなくても分かってくれるはず」と、私たちはどこかで思ってしまうものなんです。
でも、気持ちというのは、口に出して、はじめて相手に届くものなんですよね。
だからもう一度伝えることは、わがままでも、しつこさでもありません。
あなたの心を、あなたの言葉で、そっと差し出すこと。
それは、五十年の時間を一緒に歩んでこられたお二人だからこそ、できることなんです。
そしてもう一つ。
割り切るというのは、あきらめや、負けではありませんよ。
「この人はこういう人だ」と手放すことは、相手を変えようと消耗し続ける自分を、そっと休ませてあげることなんです。
変えられない相手にエネルギーを注ぐのをやめて、そのぶんを、あなた自身の心地よさに向けてあげる。
それは、とても賢くて、優しい選択なんです。
これを読んでくださっている、長い年月を誰かのために生きてこられた、あなたへ。
その胸のモヤモヤは、あなたが誠実に生きてきたからこそ生まれたものです。
どうか、それを抱えたご自分を、責めないであげてくださいね。
これからの時間は、誰かの心を追いかけるためではなく、あなた自身が笑っていられるために使っていい時間なんです。
焦らなくて、大丈夫ですからね。