私が先ほど「息子さんの一番の味方でいてあげてください」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
子どもの心には、「安全基地」と呼ばれる場所が必要だと言われています。
何があっても、ここに帰ってくれば受け止めてもらえる。
そう感じられる相手がたった一人でもいると、子どもは外の世界の厳しさにも、立ち向かっていく力を持てるんですよ。
反対に、その基地がどこにもないと、叱られるたびに「自分はダメな人間なんだ」という思いだけが、心の奥に積み重なっていってしまいます。
家で口をきかなくなるのは、その子の心が「これ以上、傷つかないように」と、そっと扉を閉じているサインなのかもしれません。
決して、反抗しているわけでも、心を閉ざしきってしまったわけでもないんです。
むしろ、必死に自分の心を守ろうとしている、けなげな姿でもあるんですよ。
だからこそ、あなたという味方がそばにいてくれること。
それが、息子さんの心をやさしく守る、大きな支えになるんです。
そして、もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
ご夫婦が本当にぶつかっているのは、「甘やかすか、厳しくするか」という方法の違いではないんです。
お二人とも、心の奥では「この子に幸せになってほしい」という、まったく同じ願いを持っていらっしゃる。
ただ、その願いを叶えるための道が、それぞれ違って見えているだけなんですよ。
そこに気づけると、不思議と、ご主人と向き合うときの言葉も、少しずつやわらかくなっていきます。
「あなたが憎いわけじゃない。ただ、二人で同じ方を向きたいだけなの」
そんな気持ちが、きっと相手にも伝わっていくはずです。
先ほど、ご主人を責めないでとお伝えしたのも、責め合いになった瞬間に、お二人の「同じ願い」が見えなくなってしまうからなんですね。
最後に、これを読んでくださっている、板挟みの中で必死に踏ん張っているあなたへ。
あなたが息子さんのことで、こんなにも悩めるということ。
それは、あなたがあの子を、それだけ深く愛している何よりの証なんです。
あなたが今日あの子にかけるひと言は、何年先まで残る心の支えになっていきます。
その優しさは、きっと少しずつ、ご家族全体をあたたかく包んでいきますからね。
どうか焦らなくて、大丈夫ですからね。