私が先ほど「失ったものを数えるより、まだ手に残っているものを見つめ直しましょう」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、誰かに時間や気持ちをたくさん注げば注ぐほど、「これだけ尽くしたのだから」と、その関係を手放せなくなっていきます。
かけた労力が大きいほど、それをムダにしたくなくて、かえって執着が強くなってしまうんですね。
これは、あなたの意志が弱いからではありませんよ。
人の心が、もともとそういうふうにできているだけなんです。
「私の方が先だったのに」という言葉の奥には、実は「これだけ捧げた私を、そんなに簡単に手放さないでほしい」という、切実な願いが隠れているんです。
つまり、あなたが本当に傷ついているのは、彼という一人の男性を失ったことだけでは、ないのかもしれません。
「私は、ただの繋ぎだったのか」——そう感じてしまう、自分の価値が軽く扱われたような痛み。
本当にぶつかっているのは、そこなんです。
でもね、あなたの価値は、彼があなたをどう扱ったかで決まるものでは、決してないんですよ。
あなたが誰かの話を聞き、落ち込む人に寄り添い、時間をやりくりしてまで大切にしようとした——その優しさそのものは、少しも安っぽいものではありません。
ただ、その優しさを向ける相手を、少し間違えてしまっただけなんです。
向ける先を変えるだけで、その同じ優しさは、あなたと、あなたの家族をあたためる力に変わっていきます。
これを読んでくださっている、今まさに胸が苦しいあなたへ。
不倫という関係を選んでしまった自分を、責めたくなる夜もあると思います。
でも、自分を痛めつけることと、間違いに気づいて歩き直すことは、まったく別のものなんですよ。
あなたはもう、ちゃんと気づいていらっしゃいます。
だからどうか、これ以上ご自分を罰しないであげてくださいね。
苦しみが消えるまでには、少し時間がかかるかもしれません。
それでも、その痛みは、あなたが誰かを本気で想える人だという証でもあるんです。
そのあたたかな優しさを、これからは、あなたを本当に必要としてくれる人と、あなた自身に向けていきましょう。
焦らなくて、大丈夫ですからね。