60代の女性です。
私には現在、30代になる息子と娘がいます。心から大切に育ててきたつもりでしたが、子供たちがまだ小さかった頃、私の母の看護、祖母の介護、そして父の介護と看取りが、立て続けに重なってしまいました。
ある時、息子から「お母さんは、僕らよりもおじいちゃんやおばあちゃんの方が大切なんだ」と言われて、衝撃を受けました。
私としては、親や祖母の面倒を見るのは当たり前のことだと思っていただけに、息子のその言葉が信じられませんでした。
でも、よくよく振り返ってみれば、子供たちにはずっと寂しい思いをさせていたのだと、改めて気づかさせてもらいました。
そして、息子が27歳、娘が20歳の時、突然、「僕たちはもうお母さんを捨てる」と絶縁宣言をされ、現在に至るまで、消息不明です。
悲しくて、切なくて、たまりません。
「どこかで生きて、元気でいてくれるなら、それでいいじゃないか」と自分に言い聞かせても、どうしてもやりきれない思いが消えません。
この苦しい思いを抱えて、これからどう生きていけば、よいのでしょうか。

たま先生の解説
心理のポイント
私が先ほど「今を生きることに切り替えてください」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、深い後悔を抱えている方への、いちばん確かな処方箋だからなんです。
ご相談者様は、ご自分の若い時間を、上の世代のために惜しみなく使ってこられました。それは間違いなく、心優しい方にしかできない、本当に尊いことなんです。
ただ、その時の選択を、今のご自分の目線で「子供たちを寂しくさせていた」と振り返ってしまうと、ご自分を責める材料ばかりが増えてしまいます。
当時のあなたには、目の前の介護と看取りで、本当に手一杯だったはずなんです。それ以上を求めるのは、過去のご自分にも、酷な話なんですよ。
そして、お子さんたちの絶縁宣言というのは、心理学的に見ると、しばしば「お母さんへの愛情の裏返し」でもあるんです。
「もっと自分たちを見てほしかった」「もっと甘えたかった」――その満たされなかった気持ちが、20代という揺れる時期に、強い言葉となって表に出てしまうことがあるんですね。
それは、お母様への憎しみではなくて、満たされたかったお子さんたち自身の、心の叫びでもあるんです。
これを読んでくださっている、お子さんとの関係で深い後悔を抱えているあなたへ。
過去を悔やむ時間は、もう、十分です。
その悔いを抱えた分、これからの時間を、ご自分が本当にやりたかったことに、ゆっくり使ってあげてくださいね。
旅行、習い事、新しい友人、ずっと好きだった本――「子育ても介護も終わってからの私の人生」は、これからゆっくり、ご自分の手で作り直していけるんですよ。
そして、お子さんたちには、いつかきっと、温かい時間が訪れることを信じて、心の中でそっと祈り続けてあげてください。
「あなたたちが、どこかで幸せでいてくれますように」――その祈りは、形のないままでも、ちゃんと届くんですからね。