私が先ほど「相手を引きずり下ろすことに使うエネルギーを、あなた自身のために使ってあげてくださいね」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
裏切られたとき、私たちの心は激しい怒りでいっぱいになります。
「許せない」「思い知らせてやりたい」——その気持ちは、決して醜いものではありません。
怒りというのはね、傷ついた心が「これ以上、自分を粗末にされたくない」と必死に自分を守ろうとしている、防御の反応なんですよ。
つまり、その怒りの奥には、深く傷ついて、途方に暮れているあなた自身がいるんです。
ここで、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
あなたが本当に取り戻したいのは、「相手への復讐」でしょうか。
それとも、踏みにじられた自分の誇りや、穏やかだったあの日々でしょうか。
本当にぶつかっている相手は、あの男性ではなく、「大切なものを奪われた」という痛みそのものなんです。
ここが、とても大事なところなんですね。
もし、怒りのすべてを相手を罰することだけに注いでしまうと、あなたの心の時間は、いつまでもあの人と繋がれたままになってしまいます。
憎しみというのは、皮肉なことに、いちばん憎い相手に自分の心を縛りつけてしまうんです。
だからこそ、慰謝料の請求のような「正当な区切り」が大切なんですよ。
それは、あなたが泣き寝入りをしないための、正しい怒りの出しどころです。
そして同時に、「ここで一区切りにして、私は前に進む」と自分自身に告げるための、大切な儀式でもあるんです。
これを読んでくださっている、裏切られて眠れない夜を過ごしている、あなたへ。
今すぐ許す必要なんて、まったくありません。
怒っていいんです。
悔しがっていいんですよ。
その気持ちを、無理に抑え込まないでくださいね。
ただ、その大切なエネルギーを、少しずつでいいので、「あの人を罰すること」から「自分を取り戻すこと」へと向け直していけたら——あなたの心は、きっと穏やかさを取り戻していきます。
焦らなくて、大丈夫ですからね。
あなたの人生の主役は、これからもずっと、あなた自身なんですから。