私が先ほど「この人は怒らない、最後は許してくれる、と感じているから平気で続けられてしまう」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、相手との間にある「これ以上はダメ」という線——境界線を、相手の反応から読み取って生きています。
何度怒っても、最後にはこちらが折れてしまう。
そのやりとりが繰り返されると、相手の中では「怒っているけど、本気じゃない」「結局は許してくれる」という学習が、静かに積み重なっていくんです。
だから、いくら回数を重ねて注意しても、なかなか届かないことがあるんですよ。
そして、大事なのは注意した回数ではないんです。
たった一度でも、「これは本気なんだ」と伝わる線を、はっきり引けるかどうか。
そこで初めて、相手は「あ、今日はいつもと違うぞ」と、ようやく立ち止まるものなんですよ。
そしてね、ここがいちばん大事なところなんですが——あなたが本当につらいのは、たぶん「匂い」そのものだけではないんです。
やめてと伝えているのに、大切にしてもらえない。
私の苦痛を、生理現象の一言で片づけられてしまう。
本当にぶつかっているのは、その「軽く扱われている感じ」のほうなんです。
匂いは消せても、この感覚が心に残っているかぎり、あなたの気持ちは休まりません。
だからこそ、こっそり人参を混ぜて何とかしようとするより、あなたの本音をまっすぐ言葉にすることに、大きな意味があるんです。
あなたが陰でこっそり工夫してきたこと自体は、なんとかしたいという優しさの表れですよ。
でも、その優しさを、これからは自分を守るためにも使ってあげてほしいんです。
これを読んでくださっている、毎日こっそり気を張りながら頑張ってきたあなたへ。
我慢の限界まで抱えてきたのは、あなたが真剣に、この暮らしを大事にしたいと思ってきたからですよね。
その気持ちは、ちっとも間違っていません。
本音を伝えることは、けんかを売ることではないんです。
「私はあなたと、気持ちよく一緒にいたい」——その願いを、相手にちゃんと手渡すことなんですよ。
焦らなくて、大丈夫ですからね。
まずは一度、深呼吸をして。
あなたの「苦しい」を、なかったことにしないであげてください。