私が先ほど『終わらせるのは私のほう』というあなたの言葉に、少し立ち止まった、とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
離婚届を勝手に用意されて、証人の欄まで埋められていた。
それはもちろん、深く傷つく出来事です。
でも、あなたの心が本当にぶつかっているのは、あの紙そのものではないのだと思うんです。
本来なら、不満があるのなら、まず言葉にして、二人で話し合えばよかったはずなんですよね。
それをせずに、あなたの見えないところで、そっと紙だけを整えていた。
話し合いという扉を飛ばして、いきなり結論だけを差し出されてしまう。
あなたがいちばん傷ついたのは、きっと、そこなんですね。
あなたが欲しかったのは、離婚届ではなく、話し合いでした。
『一緒にこの家庭をやっていこう』という、当たり前の手ごたえでした。
それなのに返ってきたのは、『お前も不満そうだった』という言葉。
自分の願いを差し出したのに、責任だけを押し返される。
これを心理では、責任転嫁といいます。
自分の後ろめたさを、相手のせいにすることで、少しだけ軽くしようとする動きなんです。
つまりそれは、あなたが至らなかったからではなく、ご主人が自分の弱さと向き合えなかった、というだけのことなんですよ。
傷ついている人に、さらに『あなたが悪い』と重ねるのは、二度、心を刺すことになります。
だからあなたは、怒っていいんですよ。
その怒りは、わがままではなく、大切にされたかったという、まっすぐな願いの裏返しなんです。
そして、『終わらせるのは私のほう』という言葉。
これは、奪われかけた主導権を、自分の手に取り戻そうとする、心の自然な動きなんです。
一方的に終わらされるのではなく、自分の意思で選びたい。
それは、あなたの尊厳が、まだちゃんと生きている証なんですよ。
本当にぶつかっているのは、『どちらが離婚届を出すか』ではありません。
『私はこの人にとって、大切な存在だったのだろうか』という、切ない問いなのだと思います。
これを読んでくださっている、家の中で、たった一人で頑張ってきたあなたへ。
普通に話したい、少しだけ手伝ってほしい。
その願いは、決して重すぎるものではありませんでしたよ。
これからどんな道を選ぶとしても、その願いを抱いていた自分を、どうか責めないでくださいね。
焦らなくて、大丈夫ですからね。