私が先ほど、「その方に自ら変わってもらうのは難しいかもしれません」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、別れを決めたあとでも、心のどこかで「わかってほしい」「せめて責任だけは果たしてほしい」と願ってしまうものなんですね。
それは、あなたが冷たいからでも、諦めが悪いからでもありません。
長く一緒にいた相手に、最後くらいは誠実であってほしいと願うのは、とても人間らしくて、優しい気持ちなんです。
でもね、相手の誠実さを「期待」して待ち続けるほど、あなたの心は、その人に握られたままになってしまうんです。
「今度こそ払ってくれるかな」「また、はぐらかされるのかな」。
そのたびに一喜一憂して、すり減っていくのは、いつもあなたのほうなんですよね。
だからこそ、公正証書のように、相手の気分に左右されない「仕組み」を、ひとつ持っておくこと。
それは、争うための武器ではないんですよ。
「もう、この人の言葉に振り回されなくていい」と、あなたが自分自身に許してあげるための、心の土台なんです。
きちんと形にしておけたなら、あなたはもう、相手の顔色をうかがうことに、大切な心の力を使わずにすみます。
その分の力を、あなたとお子さんの、これからの毎日のほうへ、そっとまわしてあげられるんですよ。
そして、本当にぶつかっているのは、お金の多い少ないではなくて、「大切に扱ってもらえなかった」という、あなたの悲しみなのかもしれません。
そのお金は、お子さんが安心して暮らすためのものであると同時に、あなたが「私は、ちゃんと守る側にまわれたんだ」と思えるための、大切な一歩でもあるんです。
怒りにまかせてぶつかるのではなく、こうして「どうすれば確実に守れるか」を考えているあなたは、もう、じゅうぶんに強くて優しいお母さんなんですよ。
これを読んでくださっている、これから一人で歩き出そうとしているあなたへ。
守るべきものがある人ほど、強くならなきゃと必死になりがちだけれど、どうか、頑張っているあなた自身のことも、時々そっと休ませてあげてくださいね。
手続きのことは、専門家や相談窓口という味方に任せられる部分は、任せてしまっていいんです。
一人で全部抱え込まなくて、いいんですよ。
焦らなくて、大丈夫ですからね。