私が先ほど、「元ご主人の事情に、あなたの心をこれ以上削られてほしくない」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
あなたが感じているその怒りの正体を、少しだけ、一緒に見てみましょうね。
「自分の娘より、今の奥さんを優先するのか」
その怒りは、元ご主人という一人の人に向かっているように見えます。
でも、本当にその奥にあるのは、怒りだけではないんです。
それは、娘さんを思う、あなたの深い愛情なんですよ。
娘さんが軽んじられた気がして、我がことのように胸が痛んだ。
それはつまり、あなたがそれだけ、娘さんを大切に思っているという、何よりの証なんです。
怒りというのは、多くの場合、大切な誰かを守りたいという気持ちの、裏返しなんですね。
ですから、本当にぶつかっているのは、元ご主人と今の奥さまではないんです。
「娘を守りたい」というあなたの母心と、「もう自分の手を離れていく」という現実。
その二つが、あなたの中で、そっと交差しているんですね。
娘さんのご結婚というのは、本当は、この上なく嬉しいことですよね。
でも、嬉しいのと同じくらい、ほんの少しだけ、寂しい。
手をかけて育てた我が子が、自分の腕の中から、そっと巣立っていく。
その寂しさが行き場を探しているときに、ちょうど元ご主人の一言が届いてしまった。
だからこそ、あの言葉が、いつも以上に、深く胸に刺さったのかもしれませんね。
気持ちの整理というのは、この怒りを、無理に消してしまうことではありません。
「ああ、私はそれだけ、娘を愛しているんだな」
そう、自分の気持ちに、あなた自身が気づいてあげること。
それが、いちばん静かで、確かな整理の仕方なんですよ。
もし少し心が落ち着いたら、その気持ちを、そっと娘さんにも伝えてみてください。
「あなたが幸せになることが、お母さんのいちばんの願いよ」と。
その一言だけで、しょんぼりしていた娘さんの心も、きっと軽くなりますから。
これを読んでくださっている、大切な人を一人で守り抜いてきた、あなたへ。
その頑張りは、誰よりも、あなた自身がいちばんよく知っています。
来なかった人のことは、そっと横に置いておいて、いいんです。
あなたが注いできた愛情は、これからも娘さんの中で、ちゃんと生き続けますからね。
どうか、その晴れ舞台では、あなたが胸を張って、いちばん誇らしい顔で笑っていてください。
焦らなくて、大丈夫ですからね。