私が先ほど『結婚してもしなくても、私は幸せだよ、とお母様に伝えてみてくださいね』とお話ししたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
お母様が本当に伝えたいのは、たぶん『結婚しなさい』という言葉そのものではないんですよ。
その奥にあるのは、『あなたが心配』『この先ひとりで、寂しい思いをしないだろうか』という、ぬぐいきれない不安なんです。
親子でぶつかっているように見えて、本当にぶつかり合っているのは、『結婚する・しない』ではなく、お母様の胸の中にある、その不安なんですね。
ここが、とても大事なところなんです。
だからこそ、お見合いのお話を何度お断りしても、この不安そのものが消えない限り、お電話は鳴りやまないんです。
断るという行為は、お母様の『言葉』には応えていても、その奥にある『不安』には、まだ何も届いていないからなんですね。
そして、不安というものは、正論で言い返せば言い返すほど、かえって強くこわばってしまう性質があります。
『もう電話しないで』と突き返すよりも、『私は大丈夫だよ』と安心をそっと手渡してあげるほうが、すっと奥まで届くことがあるんですよ。
『ちゃんと幸せに生きているよ』という穏やかな姿を、あなたがくり返し見せていくこと。
それが、お母様の不安を少しずつほどいていく、いちばんやさしい伝え方になるんです。
一度では届かなくても、大丈夫です。
あなたが落ち着いていられる姿そのものが、どんな言葉よりも確かな安心になって、時間をかけて伝わっていきますからね。
そしてもう一つ、あなた自身に、忘れないでいてほしいことがあります。
あなたの幸せは、お母様の合格点をもらうためにあるのではないんですよ。
ときめかないお相手と結婚しないことも、ひとりの時間を大切に慈しむことも、そのどれもが、あなたの人生における、ちゃんと正しい選び方なんです。
誰かに認めてもらえなくても、あなたの『これでいい』は、それだけでもう十分なんです。
あなたが心から穏やかでいられる場所こそ、あなたにとっての、いちばんの正解なんですよ。
これを読んでくださっている、優しいあなたへ。
お母様との関係を、壊したくない。
そう思えるからこそ、あなたはこんなにも悩んで、言葉を選んでいるんですよね。
その優しさは、きっとお母様にも、ちゃんと伝わっていますよ。
だから、焦らなくて、大丈夫ですからね。