私が先ほど、奥さまのすっぴんを「気を許せている証」かもしれないとお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、心から安心できる相手の前でしか、本当の意味で鎧を脱ぐことができません。
奥さまがあなたの前でメイクをしなくなったのは、あなたを「もう飾らなくていい人」——つまり、いちばんの安全地帯だと感じている、そのあらわれなのかもしれません。
そう思うと、すっぴんが少しだけ、いとおしく見えてこないでしょうか。
そして、あなたが感じている「気持ちが冷めていく」という感覚。
これは、奥さまへの愛情が消えてしまったわけではないんですよ。
若い頃の理想の姿と、目の前にいる今の奥さまとのあいだにできた小さなギャップに、心が戸惑っているだけなんです。
だから、本当にあなたがぶつかっているのは、奥さまではないのかもしれません。
「自分も含めて、時間が過ぎていく」という事実への、あなた自身の寂しさなのかもしれませんね。
外見の変化は、裏を返せば、二人が確かに同じ時間を歩いてきたという、何よりの証でもあるんです。
シワの一本一本が、二人で笑い合ってきた時間の跡だと思えたら、少しだけ景色が変わってきませんか。
そしてもうひとつ、心の仕組みとしてお伝えしたいことがあります。
人は、「昔は綺麗だった」と過去と比べられると、今の自分ごと否定された気がして、心がすっと縮こまってしまいます。
反対に、「今のあなたが素敵だ」と、今このときを認めてもらえたとき、人はいちばん自然に輝けるものなんです。
私が「綺麗だね」と伝えてあげてくださいとお願いしたのは、そのためなんです。
その一言は、相手を飾らせるための言葉ではなく、「今のあなたでいい」という、安心の贈りものなんです。
これを読んでくださっている、パートナーの変化に戸惑っているあなたへ。
相手を変えようとするその前に、まずは「今も気にかけている自分」を、そっと認めてあげてください。
その気持ちは、愛がまだちゃんと続いている、何よりの証拠なんですから。
そして、求めるよりも先に、伝えてみてください。
焦らなくて、大丈夫ですからね。
年を重ねることは、何かを失っていくことではなく、二人にしか分からない安心を、少しずつ積み重ねていくことなんですから。