私が先ほど、「つらい気持ちを誰かにぶつけて確かめ続ける生き方から、そっと降りてほしい」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、答えの出ない不安を抱えていると、周りの人に何度も気持ちを打ち明けて、安心をもらおうとします。
でも不思議なことに、「別れなよ」と言われるほど、心は反対のほうへ動いて、「やっぱり好きだ」と気持ちを強めてしまうことがあるんですよ。
これは、あなたがおかしいのではありません。
反対されることで、かえって自分の本当の望みが浮かび上がってくる——人の心には、そういう働きがあるんです。
だから、周りの声は、あなたの答えを消すためではなく、あなたの答えを見つけるためのヒントとして使えばいいんですよ。
もう一つ、大切なことがあります。
あなたは、彼が泣いて謝るたびに、「私が支えないと」と感じてこられましたよね。
「必要とされること」は、人にとって、とても深い喜びなんです。
自分がいなければ、この人はダメになってしまう。
そう思えるとき、人は自分の存在の意味を、強く感じられるものなんです。
でも、その喜びが強すぎると、いつの間にか、自分の幸せよりも「相手を支える役割」のほうを、心の真ん中に置いてしまうことがあります。
そうなると、彼が変わってくれないかぎり、あなたの心も、ずっと落ち着けないままになってしまうんですよね。
本当にぶつかっているのは、彼と別れるか別れないか、ではないのかもしれません。
あなたが、自分の幸せを自分で決めていいと思えるかどうか——本当の戦いは、そこにあるのかもしれませんね。
これを読んでくださっている、優しくて、人を想う力の強いあなたへ。
あなたは、都合のいい女なんかじゃありません。
誰かを本気で支えられる、あたたかい心を持った人なんです。
その優しさを、これからは少しだけ、自分自身にも向けてあげてくださいね。
あなたが自分を大切にすることは、彼を見捨てることでも、冷たくなることでもありません。
あなたの心が満たされてはじめて、誰かを本当に支える力も、湧いてくるものなんですよ。
答えを、急がなくていいんです。
まずは、「私は、どうしたいんだろう」と、そっと自分に聞いてあげることから。
焦らなくて、大丈夫ですからね。