私が先ほど「信頼は、相手の疑いを晴らすことでは戻らない」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大切なことが隠れているからなんです。
人は、相手を疑い始めると、つい「証拠」を探してしまうものなんですよ。
LINEの中身、出かけた回数、誰と会っていたのか。
確かめれば確かめるほど、安心するどころか、次の不安がまた顔を出してくるんですよね。
けれど、白か黒かをはっきりさせても、不思議と心はちっとも安らがないんです。
なぜなら、本当にぶつかっているのは「浮気かどうか」ではなくて、「私はこの人にとって、まだ大切な存在なのだろうか」という、もっと深い不安だからなんです。
そして心には、もうひとつの働きがあります。
「傷ついた分だけ、同じ痛みを相手にも知ってほしい」という、無意識の均衡なんです。
これは、意地悪でも、ずるさでもないんです。
一方が信頼を裏切られると、その痛みは消えたように見えても、心の底に静かに残り続けます。
やがてそれは、はっきりとした仕返しではなく、「私だって、こうやって誰かに必要とされているのよ」という、切ないアピールになって表れることがあるんですよ。
奥さまが他の男性の家へ通うことを、あえて隠さずにいるのだとしたら。
それは、あなたに気づいてほしい、という心の声なのかもしれません。
だからこそ、今のお二人に必要なのは、どちらが悪いかを決める裁判ではないんです。
「あの時、あなたをひとりで傷つけたままにして、ごめんね」と、置き去りにされてきた痛みに、もう一度そっと手を当てること。
過去の傷が癒えないまま、今の不安だけを問い詰めても、二人の距離はかえって開いてしまうんです。
物事には、順番があるんですよ。
先に、あなたのほうから差し出してみる。
すると、固く閉じていた奥さまの心も、少しずつ緩んでいくことがあるんです。
これを読んでくださっている、大切な人を信じたいのに信じきれず、苦しんでいるあなたへ。
疑いたくて疑っているわけじゃない、ですよね。
本当は、また安心して笑い合える二人に戻りたいだけなんですよね。
その願いは、とても優しくて、まっすぐなものです。
どうか、ご自分だけを責めすぎないでくださいね。
焦らなくて、大丈夫ですからね。
まずは相手を問いただすことよりも、あなたの心を少しだけ先に開くことから、ゆっくり始めていきましょうね。