心と体の健康

妊娠中に旦那が風邪でむかつく!イライラの正体と夫婦で乗り越える処方箋

妊娠中、ただでさえ心も身体もデリケートで、お腹の赤ちゃんを何よりも大切に守りたい時期。

そんな時に、一番の味方であるはずの旦那さんが風邪をひいてしまう…。

心配よりも先に「なんで今なの!」「自己管理がなってない!」と、どうしようもない怒りやイライラがこみ上げてきて、「むかつく!」と感じてしまう。そして、そんな風に思ってしまう自分に、罪悪感を覚えてはいませんか?

たま夫婦のお悩み相談室、代表カウンセラーのたまです。

まず一番に、あなたにお伝えしたいことがあります。その「むかつく!」という感情は、あなたが冷たい妻だからでも、心が狭いからでも、決してありません。

それは、お腹の赤ちゃんをウイルスから守りたい、という母親としての「本能」からくる、ごく自然で当たり前の感情なのです。ですから、どうかご自身を責めないでくださいね。

この記事では、そのどうしようもないイライラの正体を、あなたと一つひとつ一緒に見つめていきます。そして、具体的な感染対策や、旦那さんへの上手な伝え方、さらには今回の出来事を夫婦の絆を深めるチャンスに変えるための「心の処方箋」をお渡しします。

大丈夫。そのモヤモヤした気持ち、ここでスッキリさせていきましょう。

なぜ?妊娠中に旦那が風邪をひくと、むかつく5つの理由

まずは、あなたの心をモヤモヤさせる「むかつく」という感情の正体を、一つずつ紐解いていきましょう。「そうそう、私が言いたかったのはこれ!」と、ご自身の気持ちに深く頷けるはずです。

理由1:赤ちゃんにうつるかも…という「本能的な恐怖」

あなたのイライラの根底にある、最も大きな原因。それは、お腹の赤ちゃんをウイルスから守りたいという、母親としての「本能的な恐怖」です。 妊娠中は免疫力が低下しやすく、もし風邪をひいても気軽に薬を飲むことができません。

「もし赤ちゃんに何かあったら…」と最悪の事態を考えてしまうのは当然のこと。その恐怖が、「無防備にウイルスを持ち込んできた旦那さん」への強い怒りとなって表れるのです。

理由2:頼れるはずの味方が「お荷物」になる絶望感

心も身体も不安定な妊娠中、あなたは旦那さんのことを、一番の味方であり、頼れる支えだと思っているはずです。 それなのに、その唯一の支えが、ある日突然、看病が必要な「お荷物」に変わってしまう…。

この裏切られたような気持ちと、「なんで私が支えなきゃいけないの…」という深い絶望感が、怒りとなってこみ上げてくるのです。

理由3:家事や看病の負担が増える「理不尽さ」

つわりや体の重さで、自分のことだけで精一杯。そんな状況で、なぜ体調を崩した旦那さんの分の家事や看病まで、自分が背負わなければならないのでしょうか。

「俺、病人だから」とばかりに、当然のように身の回りの世話を要求されると、「理不尽だ!」と感じて腹が立つのも無理はありません。

理由4:父親になる「自覚のなさ」への失望

「妊娠中の妻がいる」という、家族にとって最も大切な時期に、なぜ体調管理を怠るのか。その無防備な姿が、あなたには「父親になる自覚がなさすぎる」と映ってしまいます。

「俺もつらい」というアピールを聞くたびに、「この人は、産後の本当に大変な時期に、ちゃんと頼りになるんだろうか…」と、旦那さんへの失望と、これからの夫婦生活への大きな不安が、怒りとなって爆発してしまうのです。

理由5:ホルモンバランスの乱れという「不可抗力」

最後に、忘れてはならないのが、妊娠によるホルモンバランスの急激な変化です。これは、あなたの意思とは関係なく、感情のコントロールを難しくさせる「不可抗力」。

普段なら笑って流せるような旦那さんの些細な言動にも、過敏に反応してイライラしてしまうのは、決してあなたの心が狭いからではないのです。

これまでの4つの真っ当な理由に、この不可抗力が加わることで、怒りの感情が何倍にも増幅されてしまうのです。

まずは赤ちゃんを守る!今日からできる家庭内感染対策

あなたの感情が自然なものだと分かったところで、次はその不安を具体的な行動に変えていきましょう。赤ちゃんを守るために「自分でできることがある」と思うだけで、少し心が落ち着くはずです。

物理的な距離を確保する(部屋の分離・マスクの徹底)

最も効果的なのは、ウイルスとの接触を減らすことです。可能であれば旦那さんには別の部屋で寝てもらいましょう。もし同じ部屋で寝る場合は、頭の位置を逆にするだけでも効果があります。旦那さんはもちろん、あなたも家の中ではマスクをして過ごし、ウイルスの飛散と吸い込みを両方ブロックしましょう。食事の時間をずらしたり、日中は別の部屋で過ごしたりと、同じ空間にいる時間をできるだけ短くする工夫も大切です。

こまめな換気とタオルの分離

ウイルスが部屋に留まるのを防ぎ、接触感染のリスクを減らしましょう。1〜2時間に1回は窓を2か所以上開けて、空気の通り道を作るのがポイントです。また、見落としがちですが、洗面所やトイレ、キッチンのタオルの共有は絶対にやめましょう。ペーパータオルを使うのもおすすめです。旦那さんがよく触るドアノブやスイッチは、アルコールスプレーなどでこまめに拭いておくとさらに安心です。

旦那さん自身にしてほしいことリスト

「あれもこれも言わなきゃ…」とあなたがイライラしないために、旦那さんには具体的に「これをお願い」と伝えてみましょう。例えば、ご自身の症状(熱、咳、喉の痛みなど)をちゃんと報告してもらう、使った食器は自分で洗うか食洗機まで運んでもらう、鼻をかんだティッシュは蓋付きのゴミ箱にすぐ捨ててもらう、などです。もちろん、こまめな手洗いやうがい、手指の消毒、咳やくしゃみをするときは肘の内側で口元を覆うといった基本的なこともお願いしましょう。「父親として、赤ちゃんを守るためのミッションだよ」と伝えてみると、旦那さんも少し意識が変わるかもしれません。

イライラを爆発させない!旦那への上手な「伝え方」

感染対策は万全。でも、心の中のイライラはなかなか消えませんよね。 ここで感情のままに「むかつく!」とぶつけてしまうと、旦那さんも意固地になり、夫婦喧嘩に発展してしまいます。そうならないために、あなたの気持ちを上手に伝える3つのコツをご紹介します。

「主語」を意識するだけで、伝わり方が変わる

喧嘩のとき、私たちはつい相手を主語(YOU)にして「なんであなたはマスクをしてくれないの!自覚が足りないんじゃない?」「あなたはいつもだらしないから風邪をひくのよ!」などと責めてしまいがちです。これでは、相手は「攻撃された」と感じ、心を閉ざしてしまいます。 こんな時こそ、主語を「私(I)」に変えてみましょう。

「(私は)赤ちゃんにうつらないか本当に心配だから、マスクをしてくれると(私が)すごく安心できるな」「(私は)あなたの体調が悪いと、不安でいっぱいになっちゃうんだ」というように、「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じている」と伝えることで、相手はあなたの気持ちを初めて理解し、素直に耳を傾けてくれるようになります。

「心配」と「お願い」をセットで伝える

イライラしている時でも、ほんの少しだけ「あなたの体調も心配している」という気持ちを添えるのがポイントです。「あなたの熱、高くて心配だよ。その上で、ひとつお願いがあるんだけど、使ったコップはすぐに洗ってくれると助かるな」というように、最初に相手への気遣いを見せることで、クッション言葉の役割を果たし、その後の「お願い」がとても通りやすくなります。

やってくれたことには「ありがとう」を忘れずに

旦那さんがあなたの要望に応えてくれたら、たとえそれが「当たり前」のことだとしても、「マスクしてくれて、ありがとう。すごく安心した」「食器、自分で運んでくれてありがとう。助かったよ」と声に出して伝えましょう。感謝の言葉は、旦那さんにとって「自分の行動は、妻と赤ちゃんを守ることに繋がっているんだ」という実感を与えます。この小さな成功体験の積み重ねが、旦那さんの父親としての自覚を育てていくのです。

これは「産後の予行演習」。夫婦の絆を深めるチャンスに変えるには

今は「最悪のタイミングで…」と感じているかもしれませんが、少し視点を変えてみましょう。実はこの出来事、これから始まる赤ちゃんとの生活に向けた、最高の「予行演習」になるのです。

夫の「父親としての自覚」を育てる機会と捉える

男性は、なかなか父親になる実感が湧きにくいと言われています。ですが、「妊娠中の妻と、お腹の赤ちゃんを、ウイルスから守る」という具体的なミッションは、旦那さんの中に眠る「守るべき存在」への意識を強く刺激します。 あなたが上手に「お願い」や「ありがとう」を伝えることで、旦那さんは「自分が家族を守っている」という自信と責任感を持ち始め、父親としての自覚がぐんぐん育っていきます。

我が家の「緊急時ルール」を作るきっかけにする

赤ちゃんが生まれれば、夫婦どちらかがダウンすることは、これから何度も起こり得ます。「家族が体調を崩した時、我が家はどう協力し合う?」「家事や育児は、どう分担する?」この機会に、旦那さんの体調が回復してからで構わないので、一度ゆっくり話し合ってみましょう。ここで作った「緊急時ルール」は、産後の大変な時期に、きっとあなたたち夫婦を助けてくれる大切なお守りになります。

どうしても一人で抱えきれないときは

そうは言っても、妊娠中の心と身体で、旦那さんの看病までするのは本当に大変なことです。一人で頑張りすぎる必要は全くありません。親や兄弟、友人に頼ったり、食事はデリバリーや総菜を活用したり、ネットスーパーで買い物を済ませるなど、使えるものは何でも使って、上手に手を抜きましょう。また、夫婦二人だけではどうしても解決の糸口が見えないときは、私たちのようなカウンセラーに相談するのも一つの方法です。第三者だからこそ見える客観的な視点で、お二人の関係をより良くするためのお手伝いができますよ。

たま夫婦のお悩み相談室

まとめ

ここまで、本当にお疲れさまでした。 たくさんの情報に触れて、少し気持ちが整理されたでしょうか。最後に、これだけは忘れないでほしい大切なことをお伝えしますね。

妊娠中に旦那さんの風邪に「むかつく!」と感じてしまうのは、あなたが赤ちゃんを深く愛している証拠。決して、自分を責めないでください。

その上で、まずは具体的な感染対策で、あなたと赤ちゃんの安全をしっかり確保しましょう。そして、ほんの少し伝え方を工夫するだけで、あなたの気持ちはきっと旦那さんに届きます。

今回の出来事は、決してただの災難ではありません。これから始まる、もっと大変で、もっと幸せな毎日のための、大切な「産後の予行演習」です。この山を乗り越えたとき、お二人の絆は、夫婦から「家族」へと、もっと強く、もっと確かなものになっているはずです。

一人で頑張りすぎないで、周りを上手に頼りながら、ご自身の心と身体を一番に大切にしてくださいね。あなたのマタニティライフが、穏やかで安心できるものであるよう、心から願っています。