「またゴルフ…?」
その一言に、言葉にならない怒りがこみ上げてくる。早朝から出かけていき、丸一日帰ってこない旦那さん。あなたは家のことや子どもの世話に追われているのに…。
そんな状況に「むかつく!」と感じてしまう自分を、「趣味にくらい、気持ちよく送り出してあげられないなんて、私はなんて心が狭い妻なんだろう」と責めてしまっていませんか?
たま夫婦のお悩み相談室、代表カウンセラーのたまです。
まず、あなたに一番に伝えたいこと。その怒りは、決してあなたの心が狭いからではありません。それは、あなたが家族を大切に思い、夫との時間を大切にしたいと願う気持ちの裏返し。そして、日々の不公平感に対する、心からの悲鳴なのです。だから、どうかご自身を責めないでくださいね。
この記事では、あなたの「むかつく!」という感情の正体を紐解きながら、夫と喧嘩せずにゴルフの回数を減らすための具体的な交渉術、そして、夫の趣味に振り回されずにあなた自身が心穏やかに過ごすための賢い思考法まで、丁寧にお伝えしていきます。
もう「私ばっかり…」と一人で我慢するのは、今日で終わりにしましょう。
旦那のゴルフ、なぜこんなにむかつく?あなたの心の悲鳴を言語化
まずは、あなたの心を支配する「むかつく!」という感情の正体を、一つずつ紐解いていきましょう。「そうそう、私が言いたかったのはこれ!」と、ご自身の気持ちに深く頷けるはずです。
理由①:「私だけが我慢…」休日のワンオペ育児がもたらす不公平感
夫にとっての休日は、ゴルフ仲間と気兼ねなく笑い合い、リフレッシュする特別な一日。一方で、あなたにとっての「夫がゴルフに行く休日」とは何でしょうか。
朝は夫を叩き起こし、朝食の準備と見送り。そこからは、待ったなしの家事と、片時も目が離せない子どものお世話。自分のペースでトイレに行くことすらままならない、心身ともにすり減らす「ワンオペ育児」という名の重労働です。
この圧倒的な不公平感と、「なぜ私だけがこんな思いを…」という理不尽さへの怒りが、あなたの心を支配する最大の原因なのです。
理由②:「家族よりゴルフが大事なの?」優先順位への深い悲しみ
怒りの仮面の下には、「自分は、家族は、大切にされていないのではないか」という、ナイフで抉られるような深い悲しみと寂しさが隠れています。
子どもが「パパは?」と聞くたびに、胸がチクリと痛む。貴重な休日を、家族とのかけがえのない時間よりも、ゴルフ仲間との付き合いを優先する夫の姿に、「私たち家族は、ゴルフ以下の存在なの?」と、愛情そのものを疑ってしまうのは当然のことです。
「むかつく」という感情は、その悲しみを隠すための、あなたの必死の鎧なのかもしれません。
理由③:「そのお金、家族に使えたのに…」家計への不満と価値観のズレ
ゴルフには、決して安くないお金がかかります。数万円のプレー代、高速代やガソリン代、新しいウェアやクラブ、そして打ち上げの飲み代…。
その金額を見るたびに、「このお金があれば、家族で温泉旅行に行けたのに」「美味しいレストランで外食できたのに」「子どもの将来のために貯金できたのに」と考えてしまう。
これは、家計を共に運営するパートナーとして、ごく自然で真っ当な感覚です。お金の使い方という、生活の根幹に関わる価値観のズレが、大きなストレスと不満の原因になります。
理由④:「心が狭いのかな…」自分を責めてしまう罪悪感
そして何よりあなたを苦しめているのが、「夫の趣味を笑顔で応援できない自分は、妻として失格なのかもしれない」という、重くのしかかる罪悪感です。
周りの友人やSNSで、夫の趣味を理解し、気持ちよく送り出す「デキた妻」の姿を見るたびに、「それに比べて私は…」と自分を責めてしまう。
でも、忘れないでください。あなたが感じている怒りや悲しみは、決してわがままなどではありません。
それは、あなたが家族を深く愛し、真剣に向き合っているからこそ生まれる、あまりにも正当な心の叫びなのです。
まずは見極め!それ、本当に「仕事の付き合いゴルフ」?
旦那さんがゴルフに行く理由として、最もあなたの心を複雑にさせるのが「仕事だから」という一言ではないでしょうか。ここからは、その言葉の真偽を冷静に見極め、あなたの心のモヤモヤを晴らすためのステップです。
「仕事だから」が、思考停止の免罪符になっていませんか?
「仕事だから、仕方ないだろ」
この一言は、まるで魔法の言葉のように、それ以上の話し合いを拒絶する力を持っています。あなたも「仕事なら、我慢しなくちゃ…」と、不満を飲み込んできたかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
その「仕事だから」という言葉が、夫婦の対話を放棄するための、思考停止の「免罪符」になってしまっている可能性はありませんか?
「付き合いゴルフ」か「趣味ゴルフ」かを見分けるチェックリスト
まずは、旦那さんのゴルフがどちらのタイプに近いのか、客観的にチェックしてみましょう。問い詰めるのではなく、さりげなく観察するのがポイントです。
- メンバーは誰?
- 【仕事寄り】取引先や、普段あまり接点のない上司が中心
- 【趣味寄り】気の合う同僚や、学生時代の友人ばかり
- 費用は誰が払う?
- 【仕事寄り】会社経費で落ちる、または接待される側
- 【趣味寄り】完全な自腹、または仲間内での割り勘
- 帰宅後の様子は?
- 【仕事寄り】「疲れた…」「気を使った…」など、愚痴や疲労感を口にする
- 【趣味寄り】「今日のスコアは…」「あのショットが…」と、楽しそうにゴルフの話ばかりする
- 頻度はどれくらい?
- 【仕事寄り】四半期に一度など、頻度が不定期で少ない
- 【趣味寄り】毎週のように、または月2回以上など、定期的で多い
- ゴルフ後の予定は?
- 【仕事寄り】プレー後はすぐに帰宅する、または簡単な食事で解散
- 【趣味寄り】夜遅くまで、長時間の飲み会や二次会に続くことが多い
これらの項目にいくつ当てはまるか、冷静に見てみましょう。「趣味ゴルフ」の要素が強いと感じたら、それは交渉の余地が大いにあるということです。
「本当に仕事ゴルフ」だった場合の、妻の心の持ち方
チェックの結果、「これは本当に断れない、大切な仕事の付き合いなんだな」と感じた場合。それでも残る「むかつく」気持ちと、どう向き合えばいいのでしょうか。
大切なのは、夫を「敵」ではなく「家族のために戦う仲間」と捉え直すことです。
「休日まで家族のために大変だね、ありがとう」と、まずは労いの言葉をかけてあげましょう。その上で、「あなたが頑張ってくれている分、私一人の負担が大きい日があるのも事実なの。だから、別の日に半日だけでも自由な時間をくれたら嬉しいな」と、代わりの協力をお願いしてみるのです。
「我慢」ではなく「協力」。
そう考えるだけで、あなたの心は少し軽くなるはずですよ。
【実践編】旦那と喧嘩せずにゴルフの回数を減らす交渉術
さて、ここからが本番です。感情的に不満をぶつけるのではなく、賢く、そして戦略的に、あなたの願いを叶えるための具体的な交渉術を3つのステップでお伝えします。
ステップ①:話し合いの「土台」を作る
いきなり「ゴルフやめて!」と切り出すのは、喧嘩の火種を自ら投下するようなもの。まずは、お互いが冷静に話せる「土台」をしっかりと作りましょう。
大切なのは、タイミングと場所選びです。
夫が疲れて帰ってきた平日の夜や、空腹時は避け、お互いに心と時間に余裕のある休日の昼間などが最適です。「今後の家族の時間について、少し話したいな」と、事前に議題を伝えておくと、夫も心の準備ができます。自宅だと感情的になりやすい場合は、カフェなど第三者の目がある場所を選ぶのも良い方法です。
ステップ②:「お願い」と「感謝」で伝える(Iメッセージの活用)
交渉の場では、「あなた(YOU)」を主語にして相手を責めるのではなく、「私(I)」を主語にして、あなたの気持ちを伝える「Iメッセージ」を使いましょう。
- NG例(YOUメッセージ): 「あなたはいつもゴルフばっかりで、家族を顧みない!」
- OK例(Iメッセージ): 「(私は)あなたがゴルフでいない週末、少し寂しいと感じているんだ。だから、もう少し家族で過ごす時間が増えたら嬉しいな」
さらに、「いつもお仕事ありがとう」という感謝の言葉を最初に伝えることで、夫はあなたの話を聞く耳を持ちやすくなります。「感謝」で心の扉を開き、「Iメッセージ」であなたの本当の気持ちを伝える。これが交渉の基本です。
ステップ③:お互いの妥協点と「代替案」を見つける
夫にゴルフを完全にやめてもらうのは、現実的ではないかもしれません。大切なのは、お互いが「これなら」と思える妥協点を見つけることです。
- 回数の交渉: 「毎週行くのはやめて、月1回にしてほしい」
- 時間の交渉: 「丸一日はなく、午前中だけのハーフラウンドにできないかな?」
- 条件の交渉: 「ゴルフに行く週は、翌週の休日に必ず家族サービスをすると約束してほしい」
また、「ゴルフに行かない代わりに、平日の夜に1時間だけ趣味の時間を作る」「会社の同僚と、ゴルフ以外のコミュニケーション(ランチなど)を増やしてもらう」といった代替案を一緒に考えるのも有効です。
夫の「息抜きしたい」という気持ちも尊重しつつ、あなたの願いも叶える。そんなWIN-WINの関係を目指しましょう。
夫がゴルフの日は「妻のご褒美デー」に!イライラしない心の守り方
交渉がうまくいっても、夫がゴルフに行く日がゼロになるわけではありません。それなら、発想を転換してみませんか?夫がゴルフでいない日を、「最悪の一日」から「最高の一日」に変えてしまう、とっておきの方法をご紹介します。
「夫の不在」を「自分の自由時間」と捉え直す
「夫がいない、ワンオペで大変な日」と考えるから、腹が立つのです。今日からその日を、「夫の世話から解放される、自由な一日」と名付けてみましょう。
夫の食事の心配も、脱ぎっぱなしの服にイライラすることもありません。テレビのチャンネル争いも起こりません。そう、その日はあなたと子どもだけの、気兼ねないパラダイスなのです。
事前に計画!「やりたいことリスト」で一日を満喫する
「ご褒美デー」を最高の一日にするためには、事前の計画が何よりも大切です。夫のゴルフが決まった瞬間に、ガッツポーズをして、あなたの「やりたいことリスト」を作りましょう。
- 普段は行けない、ちょっとお洒落なカフェで子どもとランチする。
- 夕食はデリバリーピザと決めて、昼間から子どもと一緒に映画三昧。
- 子どもが昼寝している間に、読みたかった本を読んだり、高級な入浴剤で半身浴を楽しんだりする。
- 夕飯の支度を放棄して、子どもと一緒にお惣菜を買いに行く。
大切なのは、「夫がいないから仕方なく…」ではなく、「夫がいないからこそ、これができる!」と、あなたがワクワクする計画を立てることです。
「お土産」をリクエストして、チーム感を演出する
最後に、ちょっとした上級テクニックを。夫を送り出すときに、「楽しんできてね!帰りにサービスエリアで美味しいお菓子があったら、お土産に買ってきてくれると嬉しいな」と、笑顔でリクエストしてみましょう。
これは、「ゴルフに行く夫」と「家で待つ妻」という対立構造を壊し、「外で楽しむ夫」と「家で楽しむ妻」という、対等な関係を作る魔法の言葉です。
夫も「お土産を選ぶ」という小さなミッションを持つことで、あなたのことを思い出す時間が増え、家族としてのチーム感を再認識するきっかけになりますよ。
まとめ
ここまで、本当にお疲れさまでした。
旦那さんのゴルフに「むかつく!」と感じてしまうのは、あなたが「家族」というチームを、そして旦那さんを、心から大切に思っている証拠です。決して、自分を責めないでくださいね。
大切なのは、「我慢」か「爆発」かの二択で考えないこと。
まずはあなたの心の悲鳴に気づき、夫と賢く交渉し、そして何より、夫の趣味に振り回されずに「自分のご機嫌」を自分でとる方法を知ることです。
夫のゴルフは、あなたにとって「最悪の休日」ではありません。
見方を変えれば、夫婦のコミュニケーションを見直す「きっかけ」であり、あなたが自分の自由を取り戻す「チャンス」でもあるのです。
この記事が、あなたの心が少しでも軽くなるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
あなたの休日が、笑顔あふれる素敵な一日になるよう、心から応援しています。