私が先ほど『大切なのは、どのくらい汚いかではなくて、あなたの心がはっきり反応したこと』とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、とても大事なことが隠れているからなんです。
私たちは、頭で『これくらい許せるはず』と考えるよりも先に、心と体が正直に反応してしまう生きものなんです。
玄関で固まってしまった、あの一瞬。
あれは、あなたの中の『大切にしたいもの』が、思わず声をあげた瞬間だったのだと思います。
人が誰かと暮らしていくとき、本当にぶつかるのは、実はお金でも、性格の大きな違いでもなく、こうした毎日の小さな感覚のズレだったりするんです。
食べ終わった容器をそのままにするのか、すぐ片づけるのか。
その一つひとつは小さくても、毎日積み重なっていくと、いつのまにか心をすり減らしていってしまうことがあるんですね。
はじめは気にならなかったことが、ある日ふいに、どうしても我慢できなくなってしまう。
そういうことも、決してめずらしくないんですね。
付き合っているうちは、たまに会うだけですから、多少のことは『まあ、いいか』と流せてしまいます。
でも、同じ屋根の下で毎日となると、その『まあ、いいか』が、だんだん効かなくなっていくんですね。
だからこそ、今あなたが感じている違和感は、未来のあなたを守ってくれる、大切なセンサーなんです。
しかも、一緒に暮らす前のこの段階で気づけたというのは、本当は、とても幸運なことなんですよ。
ここでもう一つ、覚えておいてほしいことがあります。
『引いてしまった自分は、心が狭いのかな』と、ご自分を責めないでほしいんです。
あなたは、彼を嫌いになったわけではありません。
ただ、自分が心地よく過ごせる暮らしを、ちゃんと分かっているだけなんですよ。
それは、わがままではなく、自分を大切にできている証なんです。
これを読んでくださっている、優しくて、相手のいいところもちゃんと見ようとしているあなたへ。
好きという気持ちと、これは無理かもしれないという気持ちは、同時に存在していて、いいんです。
その二つを抱えたまま、少し時間をかけて、彼の変化や、ご自分の心の声を見つめてみてくださいね。
答えは、誰かが決めるものではなく、あなたの中から、ゆっくり浮かんでくるものですから。
焦らなくて、大丈夫ですからね。