幼い頃から、一番安心できるはずの親御さんからそのような言葉をかけられて育ってきたのは、本当に悲しくてお辛い経験でしたね。よくここまで一人で耐えて、頑張って生きてこられましたね。
さて、今回悩まれている「人を信じること」についてですが、ご相談者様が求めているのは、正確には「信用」ではなく「信頼」ということでしょうかね。
「信用」というのは、実は条件を持っているものなんです。「あの人は約束を守ってくれるから信用できる」「一流企業に勤めているから信用できる」といった具合ですね。一方で「信頼」というのは、無条件のものです。ただありのままの相手を受け入れて、相手の存在そのものを認めるのが「信頼」です。ご相談者様は、人を「信頼」できる人になりたいと思っていらっしゃるのですよね。
そのために、まずは「ご自身のことを信頼する」ということをしていただきたいんです。学歴がどうとか、職業がどうとか、特技があるからといった条件ではなく、「自分は今の自分のままで素晴らしいんだ」と認めてあげること。それが、自分を信頼するということです。
また、他人に対して弱みを見せないように努力をされているとのことですが、それと同じことをご自身に対してもされていませんか?「自分の弱みを認めたくない」、もしくは「弱みのある自分はダメだ」と思っていらっしゃいませんでしょうか。まずはそのお気持ちに気づいて、ご自身に優しい手を添えてあげてくださいね。
それからもう一つ。よく「親は選べない」と言われますが、本当は少し違っていて、「その親のもとで学ぶべきこと」「この親でないとできない修行」があって、私たちはそこに生まれてきているという考え方もあるんです。
ご相談者様は、他ならぬその親御さんから「人を信頼することの意味」や「信頼する大切さ」を深く学ばれていますからね。「親のせいだ」と考えすぎず、ここに生まれたからこそ学べることを考えてみましょうか。
「自分の課題に気づいて、ステップアップしたい」という今のそのお気持ち、本当に素晴らしいですからね。応援しています。
たま先生の解説
心理のポイント
私が先ほど、「他人を信頼できるようになるためには、まずご自身のことを信頼してください」とお伝えしたのは、実は心の仕組みとして、私たちは「自分が自分をどう扱っているか」という基準を通してしか、他人の心を見ることができないからなんです。
これを心理学では「投影」と呼びます。幼少期に「役に立たないと愛されない(条件付きの愛情)」という環境で育つと、心の中に「ありのままの私では愛される価値がない」という強い思い込みが作られます。すると、自分が自分の弱さを許せていないため、他人が優しくしてくれても「こんなダメな私に無条件で優しくするなんて、何か裏(条件)があるに違いない」と防衛本能が働いてしまうのです。
この記事を読んでいる方の中にも、人の優しさを素直に受け取れず、いつも気を張って生きてきた方がいるかもしれません。そんなときは、相手を信じようと無理に努力するのではなく、まずは「自分の弱さ」を許すことから始めてみてください。
「完璧じゃなくてもいい」「役に立たなくても、ただ生きているだけで素晴らしい」。そうやって、自分自身に「無条件の善意」を向ける練習を重ねていくと、不思議なことに、他人の善意も「裏のない、ただの優しさ」として自然に受け取れるようになっていきます。誰かを信じる力は、自分を信じる力とイコールです。まずはご自身の心に、一番優しい言葉をかけてあげてくださいね。