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更年期に記憶が飛ぶのは老化じゃない!認知症との違いと東洋医学的ケア

「あれ? 私、今なにをしようとしてたんだっけ?」

台所に立った瞬間、目的が頭からすっぽりと抜け落ちてしまう。

話している途中で言葉が出てこず、頭の中が真っ白になる。

そんな経験が増えて、「もしかして若年性認知症?」と不安に震えていませんか?

大丈夫ですよ。その物忘れは、あなたの能力が衰えたからでも、性格がだらしないからでもありません。

体が「今はこれ以上、情報を入れないで!」とサインを出しているだけなのです。

まずは深呼吸して、今のあなたの体の状態を一緒に紐解いていきましょう。

原因がわかれば、必要以上に怖がることはありません。

今の辛さがどこから来ているのか、まずはご自身の状態を客観的に知ることから始めてみませんか?

たま先生

たま先生(中森 万美子)

「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。

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更年期に記憶が飛ぶ原因は脳のエネルギー不足

「記憶が飛ぶ」という感覚は、本当に怖いものですよね。

まるで自分が自分でなくなっていくような、足元が崩れるような感覚に襲われるかもしれません。

でも、安心してください。

40代、50代の女性に起こるこの現象の多くは、脳が壊れたのではなく、一時的な「エネルギー不足」を起こしている状態です。

車で例えるなら、エンジンが故障したのではなく、ガソリンが足りなくてアクセルを踏んでも進まない状態。

これを私たちは「更年期」という体の変化の時期によくお見かけします。

まずは、一番の不安の種である「認知症」との違いについて、整理しておきましょう。

認知症と更年期による物忘れの決定的な違い

「私の母も認知症だったから、私もそうなのかもしれない」

そんなふうに、悪い方へ悪い方へと考えてしまう夜もあるでしょう。

しかし、更年期特有の物忘れと、認知症の物忘れには、明確な違いがあると言われています。

それは、「ヒントがあれば思い出せるかどうか」です。

更年期の物忘れは、記憶の「引き出し」が開かなくなっている状態です。

中身はちゃんとあるのに、鍵がかかっていて取り出せない。

だから、「ほら、あの時の」とヒントをもらったり、時間が経ってふとした瞬間に「あ! そうだった!」と思い出せたりします。

「忘れたこと自体を覚えている」のも特徴ですね。

一方で、認知症の場合は、記憶の「引き出し」そのものが弱くなっていく状態に近いと説明されることがあります。

体験したこと自体を思い出しにくくなり、ヒントがあっても難しいケースが少なくありません。

もしあなたが、「忘れてしまった自分」に焦りや不安を感じているなら、それは脳の働きが保たれているサインとも考えられています。

「忘れた」と認識できている自分を、まずは褒めてあげてくださいね。

女性ホルモンの減少が引き起こす脳のガス欠状態

では、なぜ更年期になると、記憶の引き出しが開かなくなるのでしょうか?

そこには、女性ホルモンである「エストロゲン」が深く関わっています。

エストロゲンは、実は子宮や卵巣だけでなく、脳にとっても大切な「保護者」のような役割を果たしています。

脳内の神経伝達物質をサポートし、記憶の中枢である「海馬(かいば)」の働きを助けたり、脳の血流を良くしたりしてくれているのです。

ところが、更年期に入ると、このエストロゲンが急激に減少します。

今までエストロゲンに守られていた脳は、突然のサポート終了に戸惑い、一時的にパニックを起こしてしまいます。

情報の伝達がスムーズにいかなくなり、「あれ、名前が出てこない」「さっき聞いたばかりなのに」という通信エラーが頻発するのです。

これは、脳の機能が低下したというよりは、環境の変化に脳がまだ適応できていない過渡期の混乱と言えます。

体が新しいバランスを見つけるまでの間、少しだけ脳が「ガス欠」を起こしやすくなっているのです。

記憶が飛ぶのは性格や能力の問題ではない

「私がしっかりしていないからだ」

「最近、気が緩んでいるんじゃないか」

「仕事ができない人間になってしまった」

そんなふうに、ご自身の性格や能力のせいにして、自分を追い詰めてはいませんか?

真面目で責任感の強い方ほど、この「記憶が飛ぶ」という症状を、自分の怠慢だと捉えてしまいがちです。

そして、ミスをしないようにと必死にメモを取り、緊張し、さらに脳を疲れさせてしまうという悪循環に陥っている方を私はたくさん見てきました。

今のあなたの状態は、長年休まず走り続けてきた体が、「少しペースを落として」と訴えているサインです。

決して、あなたがダメになったわけではありません。

風邪を引いたら熱が出るように、更年期という時期には、一時的に記憶が飛びやすくなることがある。

ただそれだけの、生理的な現象なのです。

「今はそういう時期なんだ」と、少しだけ開き直ってみることも、脳をリラックスさせるための大切なケアの一つですよ。

東洋医学で読み解く記憶力低下のメカニズム

西洋医学ではホルモンの変化として説明されるこの状態を、東洋医学の視点から見てみると、また違った景色が見えてきます。

東洋医学では、心と体はつながっていると考えます。

記憶が飛ぶという現象も、脳だけの問題ではなく、全身のバランスの乱れとして捉えるのです。

ここでは、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という東洋医学のものさしを使って、あなたの体の中で何が起きているのかを紐解いていきましょう。

脳に栄養が届かない血虚という状態

東洋医学には「血(けつ)」という概念があります。

これは単なる血液だけでなく、全身に栄養と潤いを運び、精神活動を支えるエネルギーのようなものです。

思考力や記憶力、集中力といった脳の働きも、この「血」によって支えられています。

更年期の女性に非常に多いのが、この「血」が不足している「血虚(けっきょ)」という状態です。

毎月の月経、出産、授乳、そして日々の家事や仕事での頭脳労働。女性の人生は、常に「血」を消耗し続けています。

さらに、更年期特有ののぼせや多汗などの症状も、体内の潤いを奪っていきます。

血が不足すると、体は生命維持に重要な心臓などの臓器へ優先的に血を送ろうとします。

その結果、脳への配給が後回しになり、脳が栄養不足になってしまうのです。

頭がボーッとする、集中力が続かない、記憶が定着しない。これらはすべて、脳が「腹ペコ」で働けない状態だと思ってください。

十分な材料がないのに、「もっと働け!」と脳にムチを打っても、良い結果は出ませんよね。

老化ではなく生命力が消耗している腎虚のサイン

もう一つ、更年期と深く関わるのが「腎(じん)」の働きです。

東洋医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓とは少し異なり、生命エネルギーを貯蔵し、成長・発育・生殖、そして老化をコントロールする場所と考えられています。

また、「腎は髄(ずい)を生じ、脳に通ず」という言葉があるように、脳の働きを根底で支えているのも「腎」の力です。

年齢を重ねると、誰でもこの腎のエネルギー(腎気)が少しずつ減っていきます。

これを「腎虚(じんきょ)」と呼びます。

更年期は、この腎気がガクンと減りやすい時期なのです。

腎が弱ると、脳髄(のうずい)を十分に養うことができなくなります。

その結果、新しいことを覚えるのが億劫になったり、昔のことは覚えているのに直近のことが覚えられなくなったりします。

これは「老化」という言葉で片付けると寂しいですが、言い換えれば「生命力のバッテリー残量が減っている」状態です。

バッテリーが減っているスマートフォンが省エネモードになるように、あなたの体も脳の機能を一部制限して、エネルギーを節約しようとしているのかもしれません。

頑張り屋の人ほど陥りやすい思考のフリーズ

「血虚」も「腎虚」も、頑張り屋の女性ほど陥りやすい傾向があります。

  • 仕事で常に気を張っている
  • 家族のために自分のことは後回し
  • 悩み事があっても、誰にも言わずに一人で抱え込む。

こうした「気遣い」や「我慢」は、想像以上に「気(エネルギー)」と「血」を消耗します。

東洋医学では「思い悩めば気結(きけつ)し、血を消耗する」と言われます。

考えすぎや心配事は、血を激しく使い果たしてしまうのです。

記憶が飛ぶ、頭が真っ白になるという「フリーズ」現象は、使いすぎた脳を強制的に休ませようとする、体の防衛反応(ブレーカーが落ちる状態)とも言えます。

自分を責める前に、「ああ、私、ちょっと頑張りすぎていたんだな」と、体の声に耳を傾けてあげてください。

あなたの体は、あなたを守るために、あえてスイッチを切っているのかもしれませんよ。

記憶が飛ぶ不安を和らげる毎日のセルフケア

原因がわかったところで、次は具体的なケアについてお話ししましょう。

「ケア」と言っても、難しい勉強をしたり、高価なサプリメントを飲んだりする必要はありません。

大切なのは、消耗してしまった「血」や「腎」を補い、脳を休ませてあげること。

日々の暮らしの中で、ほんの少し意識を変えるだけでできる、優しい養生法をご紹介します。

脳を強制的に休ませる1分間の深呼吸

頭の中が真っ白になったり、パニックになりそうな時。

あるいは、仕事の合間に「もう無理!」と感じた時。

そんな時は、脳を強制的にクールダウンさせる呼吸法を試してみてください。

脳が情報の処理に追われている時、呼吸は浅く、速くなっています。

これを意識的に深くすることで、自律神経を整え、脳への酸素供給をスムーズにします。

やり方はとてもシンプルです。

  1. まずは息を吐き切る
  2. 鼻からゆっくり吸う
  3. 少し止める
  4. またゆっくり吐く

これを3回〜5回繰り返すだけで、たった1分ほどです。

「記憶が飛んだ!」と焦った時こそ、その場で立ち止まり、この呼吸を行ってみてください。

霧が晴れるように、少しずつ落ち着きを取り戻せるはずです。

減った血を補うための赤い食材と黒い食材

食事は、体を作る基本であり、最高の薬です。

脳の栄養不足(血虚)とエネルギー不足(腎虚)を補うために、色のついた食材を意識して取り入れてみましょう。

赤い食材(血を補う)

クコの実・なつめ・赤身の肉や魚(マグロ、カツオ)・レバー・人参・トマトなど

「血」の材料となる鉄分やタンパク質を含むものが多く、脳に栄養を届けます。

おやつにナッツやドライフルーツ(特になつめ)をつまむのもおすすめです。

黒い食材(腎を補う)

黒ごま・黒豆・黒きくらげ・海藻類(昆布、ひじき)・黒米など

東洋医学では「黒いものは腎に効く」と言われています。

生命力を底上げし、エイジングケアにもつながる食材です。

メモを取るよりもまずは睡眠を優先する勇気

記憶力が落ちたと感じると、多くの人は手帳やスマホにメモを残すことに必死になります。

もちろん、メモは有効な手段ですが、それ以上に大切なのが「睡眠」です。

脳は、寝ている間にその日取り込んだ情報の整理整頓を行い、記憶として定着させます。

また、脳内に溜まった老廃物を洗い流す「掃除」の時間でもあります。

睡眠不足のままメモを取っても、そのメモを見返すことさえ忘れてしまうのは、脳の掃除が追いついていないからです。

「やらなきゃいけないことがたくさんあるのに、寝てなんていられない」そう思う気持ちもわかります。

でも、効率が落ちた状態でダラダラと作業を続けるよりも、思い切って30分早く布団に入ってみてください。

夜の11時から深夜3時の間は、東洋医学でも「血」を作り出し、体を修復するゴールデンタイムです。

この時間にしっかりと目を閉じていることが、翌日の脳のパフォーマンスを変えます。

ひとりで抱え込まずに体の声を数値で確認しよう

「記憶が飛ぶ」という症状の裏には、あなたの体が必死に訴えている「休みたい」「栄養がほしい」というメッセージが隠れていました。

それは決して、あなたが劣化したわけでも、怠けているわけでもありません。

長い間、家族のため、仕事のために走り続けてきた勲章のようなものです。

その物忘れは体が求めている休息のサイン

更年期という時期は、人生の折り返し地点での「ピットイン」の時間です。

タイヤを交換し、ガソリンを補給し、メンテナンスをする。

そうすることで、また次のステージを元気に走ることができるようになります。

今起きている物忘れや不調は、「ちょっとメンテナンスが必要だよ」と、体が教えてくれている合図なのです。

だから、どうか怖がらないでください。

そして、一人で抱え込んで悩まないでください。

原因がわからずに「どうして?」と怯えている時間が、一番辛く、ストレスになります。

今の自分を知るためのセルフチェック

「更年期」という言葉を認めるのは、少し勇気がいることかもしれません。

「まだ私は若い」と思いたい気持ち、痛いほどわかります。

でも、もし今の不調が更年期によるバランスの乱れだとわかれば、対策は驚くほどシンプルになります。

闇雲に不安がるのではなく、まずはご自身の今の状態を「数値」として客観的に見てみませんか?

これは病気の診断ではありません。

今のあなたの体の中で、気・血・水やホルモンのバランスがどうなっているのか、その傾向を知るための「現在地確認」です。

誰にも知られずに、スマホで簡単にチェックできます。

結果を見ることで、「なんだ、そういうことだったのか」と、肩の荷が下りるかもしれません。

今の自分を「知る」ことが、霧を晴らす最初の一歩です。

ぜひ、ご自身の体の声に耳を傾けてみてください。

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