平日の夜、あなたが家事や育児に追われている横で、スマホゲームに没頭する旦那さん。
貴重な週末、朝早くから一人で釣りやゴルフに出かけていき、あなたは丸一日ワンオペ育児…。
そんな旦那さんの姿に、腹の底から「むかつく!」という、どうしようもない怒りがこみ上げてきていませんか?
そして、そんな風にイライラしてしまう自分を、「夫の趣味くらい、笑顔で送り出してあげられないなんて、私は心が狭い妻なのかしら…」と、一人で責めて苦しくなってはいないでしょうか。
こんにちは。たま夫婦のお悩み相談室、代表カウンセラーのたまです。
まず、あなたに一番に伝えたいこと。
その怒りは、決してあなたの心が狭いからではありません。それは、あなたが家族というチームを大切に思っているからこそ生まれる、あまりにも正当な感情であり、心からの悲鳴なのです。だから、どうかご自身を責めないでくださいね。
この記事では、その怒りの正体から、夫と喧嘩せずに状況を改善するための具体的な交渉術、そして、夫の趣味に振り回されずにあなた自身が幸せになるための思考法まで、あなたの心がスッと軽くなるための処方箋を丁寧にお渡しします。
「旦那の趣味」なぜこんなにむかつく?あなたの心の悲鳴を言語化
まずは、あなたの心を支配する「むかつく!」という感情の正体を、一つずつ紐解いていきましょう。「そうそう、私が言いたかったのはこれ!」と、ご自身の気持ちに深く頷けるはずです。
理由①:「私だけが我慢…」時間と心の不公平感
夫は趣味の時間で心ゆくまでリフレッシュ。
一方のあなたは、その間も家事や育児に追われ、自分の自由な時間などない…。
この圧倒的な時間の非対称性が、「なんで私ばっかり我慢しなきゃいけないの!」という不公平感を生み、怒りの最大の原因になります。夫が趣味を楽しめば楽しむほど、あなたの心の中には「ずるい」という黒い感情が溜まっていくのです。
理由②:「そのお金、家族に使えたのに…」家計への不満と価値観のズレ
高額な道具を次々と買い揃えたり、趣味の遠征費や交際費に大きなお金を使ったり。
その金額を見るたびに、「そのお金があれば、家族旅行に行けたのに」「子どもの教育費に回せたのに」と考えてしまうのは、家計を共にするパートナーとして当然のこと。
生活の根幹であるお金に対する価値観のズレは、夫婦の間に深い溝を作ります。
理由③:「家族より趣味が大事なの?」優先順位への深い悲しみ
怒りの仮面の下には、「自分は、家族は、大切にされていないのではないか」という、ナイフで抉られるような悲しみが隠れています。
子どもが熱を出しているのに趣味の予定を優先したり、家族との約束よりも趣味の集まりを優先したりする夫の姿に、「私たち家族は、趣味以下の存在なんだ」と感じてしまう。
その寂しさが、やて怒りへと変わっていくのです。
理由④:夫としての「責任感の欠如」への失望
結婚し、子どもが生まれれば、独身時代とは違う責任が生まれます。
家事や育児をあなたに丸投げして、まるで学生のように趣味に没頭する夫の姿は、「夫として、父親としての責任感がないのでは?」という深い失望に繋がります。
「この人は、いざという時に頼りになるのだろうか…」という将来への不安が、今の「むかつく」という感情をさらに大きくしているのです。
その趣味、許せる範囲?「健全な趣味」と「危険な依存」の見極め方
旦那さんの趣味にむかつく一方で、「息抜きも必要だよね」と思う気持ちもありますよね。
ここでは、その趣味が夫婦にとってプラスになる「健全な趣味」なのか、それとも家庭を壊しかねない「危険な依存」なのか、冷静に見極めるためのチェックポイントをご紹介します。
「健全な趣味」の3つのサイン
あなたの旦那さんの趣味は、こちらに当てはまりますか?
- 家計の範囲内で楽しんでいる
お小遣いの範囲でやりくりし、生活費を圧迫していない。 - 家族との時間を大切にしている
趣味の時間と家族サービスの時間のバランスが取れており、あなたの不満が溜まる前に、きちんと埋め合わせをしてくれる。 - 家庭に良い影響がある
趣味を通じてストレスが発散され、機嫌が良くなったり、あなたに優しくなったりする。
これらに当てはまるなら、それは旦那さんにとっても、家族にとっても、良い影響を与える「健全な趣味」と言えるでしょう。
「危険な依存」を疑う3つのサイン
もし、こちらのサインに心当たりがある場合は、少し注意が必要です。
- お金の問題が発生している
生活費に手を出したり、あなたに内緒で借金をしたりしている。 - 嘘や約束破りが常態化している
趣味のために「仕事だ」と嘘をついたり、「今日は早く帰る」という約束を何度も破ったりする。 - 家族に八つ当たりする
趣味ができないと、イライラして不機嫌になったり、あなたや子どもに冷たく当たったりする。
これらは単なる「趣味」の域を超え、「依存」の状態に陥っている危険なサインかもしれません。
もし「依存」が疑われるなら…一人で抱え込まずに相談を
もし旦那さんの状態が「危険な依存」に近いと感じたら、それはあなた一人の力で解決できる問題ではないかもしれません。
ギャンブル依存症やアルコール依存症など、専門的な治療やカウンセリングが必要なケースもあります。
一人で抱え込まず、専門の相談機関や私たちのようなカウンセラーに、まずはあなたのつらい気持ちを打ち明けてみてくださいね。
【実践編】喧嘩せずに夫の趣味と向き合う3ステップ交渉術
感情的な言い争いを避け、夫婦双方が納得できる解決策を見つけるための、具体的で建設的な話し合いの方法を見ていきましょう。これは夫を打ち負かすための「戦闘」ではなく、お互いが心地よく暮らすための「交渉」です。
ステップ①:話し合いの「土台」を作る
いきなり不満をぶつけるのは、喧嘩の火種を自ら投下するようなもの。まずは、お互いが冷静に話せる「土台」をしっかりと作りましょう。
最高のタイミングと場所を選ぶ
夫が疲れて帰ってきた平日の夜や、空腹時は絶対に避けましょう。
おすすめは、心と時間に余裕のある休日の昼間です。
「今後の家族の時間について、少し話したいな。30分くらい時間もらえるかな?」と、事前に議題と所要時間を伝えてアポイントを取ります。夫も心の準備ができ、真剣に話を聞いてくれるはずです。
自宅だと感情的になりやすい場合は、カフェなど、あえて人目のある場所を選ぶのも良い方法です。
話し合いの目的を明確に伝える
「あなたを責めたいわけじゃないんだ。ただ、これからも仲良く暮らしていくために、お互いが気持ちよく過ごせるルールを一緒に考えたいの」と、ポジティブな目的を最初に伝えましょう。
これにより、夫は「攻撃される」という警戒心を解き、話し合いに応じやすくなります。
ステップ②:「私」を主語に、気持ちと事実を伝える(Iメッセージ)
交渉の場では、「あなた(YOU)」を主語にして相手を責めるのではなく、「私(I)」を主語にして、あなたの気持ちを伝える「Iメッセージ」を使いましょう。
NG例(YOUメッセージ)
- 「なんであなたはいつもお金の無駄遣いばかりするの!」
- 「あなたは家族より趣味が大事なんでしょ!」
これでは、夫はただ「責められた」と感じ、心を閉ざしてしまいます。
OK例(Iメッセージ)
- 「(私は)毎月〇〇円が趣味に使われているのを見ると、将来の貯金のことが少し不安になるんだ」
- 「(私は)あなたが趣味でいない週末、子どもと二人きりだと少し寂しいと感じることがあるの」
このように、「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じている」と伝えることで、夫も初めてあなたの気持ちに気づき、客観的な事実として受け入れやすくなります。
ステップ③:妥協点と「夫婦のルール」を決める
夫に趣味を完全にやめてもらうのは、現実的ではないかもしれません。大切なのは、お互いが「これなら」と思える妥協点を見つけ、具体的なルールに落とし込むことです。
時間のルール
「趣味は週に〇時間まで」「週末のどちらか半日だけ」など、具体的な時間を決めましょう。「趣味に行く週は、翌週の休日に必ず家族サービスをする」といった条件を付けるのも有効です。
お金のルール
「趣味に使えるお金は、お小遣いの範囲でお願いね」「月に〇円まで」と上限を決めましょう。「〇万円以上の高額なものを買うときは、一言相談する」という情報共有のルールも大切です。
夫婦でWIN-WINになるルール
「あなたが趣味に行く日は、私も気兼ねなく友人とランチに行くね」「趣味代を少し節約して、年末に家族旅行の予算に充てない?」など、夫だけが我慢するのではなく、あなたや家族にもメリットがある形を提案することで、夫も前向きにルールを受け入れやすくなります。
夫に期待するのに疲れたあなたへ。自分の「ご機嫌」をとる方法
夫と話し合っても、なかなか変わってくれない…。そんな時は、一度視点を変えてみましょう。
夫を変えようとエネルギーを注ぐのをやめて、「いかに自分が楽になるか」「いかに自分が楽しむか」へと、思考をシフトさせるのです。
夫が趣味の日は「私の自由時間」と名付ける
「夫がいない、ワンオペで大変な日」と考えるから、腹が立つのです。
今日からその日を、「夫の世話から解放される、自由なパラダイスな一日」と名付けてみましょう。
夫の食事の心配も、脱ぎっぱなしの服にイライラすることもありません。テレビのチャンネル争いも起こりません。そう、その日はあなたと子どもだけの、気兼ねない特別な一日なのです。
自分だけの「お楽しみリスト」を事前に計画する
「自由時間」を最高の一日にするためには、事前の計画が何よりも大切です。夫の趣味の予定が決まった瞬間に、心の中でガッツポーズをして、あなたの「お楽しみリスト」を作りましょう。
- 普段は子どもがいてゆっくり見られない、自分の好きな映画を観る。
- 夕食はデリバリーピザと決めて、料理をしないとことんダラダラする日と決める。
- 子どもが昼寝している間に、読みたかった本を読んだり、少し高級なパックで肌のお手入れをしたりする。
- 思い切って、自分の趣味や習い事を始めてみる。
大切なのは、「夫がいないから仕方なく…」ではなく、「夫がいないからこそ、これができる!」と、あなたがワクワクする計画を立てることです。
「お互い様」の精神で、自分の時間も確保する
夫が趣味に時間とお金を使うことを許容する代わりに、あなたも堂々と自分のための時間とお金を確保しましょう。
「あなたが趣味でリフレッシュするのと同じように、私も自分のために時間を使わせてもらうね」と宣言するのです。
- 友人とランチに行ったり
- 一人でカフェでのんびりしたり
- マッサージに行ったり
罪悪感を覚える必要は全くありません。これは、夫婦が対等なパートナーとして、お互いの人生を尊重するための、とても健全な考え方なのです。
まとめ
ここまで、本当にお疲れさまでした。
旦那さんの趣味に「むかつく!」と感じてしまうのは、あなたが「家族」というチームを、そして旦那さんを、心から大切に思っている証拠です。決して、自分を責めないでくださいね。
大切なのは、「我慢」か「爆発」かの二択で考えないこと。
まずは夫の趣味が健全な範囲かを見極め、冷静に話し合い、そして何より、夫の趣味に振り回されずに「自分のご機嫌」を自分でとる方法を知ることです。
旦那さんの趣味は、あなたにとってただのストレスの種ではありません。
見方を変えれば、夫婦のコミュニケーションを見直す「きっかけ」であり、あなたが自分の幸せを取り戻す「チャンス」でもあるのです。
この記事が、あなたの心が少しでも軽くなるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
あなたの毎日が、笑顔あふれる素敵なものになるよう、心から応援しています。