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『辞めるのは負けで悔しい』理不尽な職場に潰された私の孤独

診断書と、鳴りやまない職場の通知

テーブルの上に置かれた「要休養」と書かれた診断書。その横で、裏返したスマホがブブッと短く震えた。

職場のグループチャットからの通知だ。

見なくても、また誰かが体調を崩したとか、トラブルの報告だとわかる。

発端は、部下による特定の職員へのいじめだった。被害者を守ろうと体制を作ろうとした私に対し、いじめを隠蔽しようとする部下たちは、上の課長をうまく丸め込み、私へ理不尽な介入と激しい攻撃を仕掛けてきたのだ。

直属の上司は見て見ぬふり。それどころか、面談のたびに泣き崩れて他人の悪口を言う部下たちの、感情の受け皿まで私に押し付けられた。

「私がなんとかしなければ」。そうやって一人で負担を背負い込み、必死に職場を守ろうとした結果、私の心はプツリと限界を迎えてしまったのだ。

「辞めるのは負け」という呪縛と孤独

真っ暗な部屋の中で、膝を抱えて息を潜める。私が休職に入った後、職場はすっかり不安定になっていると風の噂で聞いた。

若い女性

私の対応は、間違っていたのだろうか……

被害者を守ろうとした正当な行動だったはずなのに、思い出すだけで胃の奥がギリギリと痛む。

こんな理不尽な環境、いっそ辞めてしまえばいい。頭ではわかっているのに、「ここで辞めたら、奴らに負けたことになる」「逃げ出すようで悔しい」という思いが、私をこの泥沼に縛り付けていた。

復帰して、完全に感情を無にして淡々と働くべきか。でも、あそこに戻って私は息ができるのか。

誰にも助けてもらえない孤独感が、冷たく私の首を絞め続けていた。

勝ち負けじゃない。猫が教える「自分の幸せ」

フク フク

ニャんだ、その負け犬みたいな顔は。湿っぽくて寝られないニャ

不意に、足元からしゃがれた声がした。

驚いて顔を上げると、ふてぶてしい顔つきのちょっと太めの猫が、丸めたティッシュの横にどっかと座っていた。

若い女性

あ、あなたは……?

フク フク

オレ様はフクだニャ。お前、随分と窮屈な世界で生きてるニャア

フクは短い前足で器用に顔を洗いながら、私を鼻で笑った。

若い女性

だって、あんな奴らに負けて辞めるなんて悔しいじゃない……

フク フク

アホかニャ! 人生は勝ち負けのゲームじゃないニャ。お前がそこで『幸せに生きられるかどうか』が全てだニャ!

フクは大きなあくびをして、ビー玉のような目で私を真っ直ぐに射抜いた。

フク フク

お前が部下を守ろうとしたことは間違ってないニャ。でも、自分の心がぶっ壊れたら本末転倒だニャ

若い女性

じゃあ、私はどうすれば……

フク フク

そこで幸せになれないなら、サッサと逃げるのもアリだニャ。もし復帰するって決めるなら『職場の相談事は絶対に一人で受けない』『理不尽ならすぐ公的機関にチクる』って、自分を守るルールをガチガチに作っておくニャ。オレ様みたいに、もっと自分を大事にするニャ

フクは「ふんっ」と鼻を鳴らすと、窓の隙間からふらりと夜の闇へ消えていった。

若い女性

勝ち負けじゃなく、私の幸せ……

張り詰めていた糸がふっと緩み、熱い涙が頬を伝った。そうだ、私は私の人生を守ればいいんだ。

スマホを手に取り、まずは通知を完全にオフにする。ゆっくり休んでから、私が「幸せでいられる道」を考えよう。

深く息を吸い込むと、久しぶりに肺の奥まで空気が届いた気がした。

登場人物紹介:フク

フク

おう、俺の名前は「フク」だニャ。
たまお悩み相談室のWEB小説に、気まぐれでふらりと現れる猫だニャ。
ちょっと太めでふてぶてしい顔? うるさいニャ、これが俺のベスト・フォルムなんだから放っておけニャ。

俺の生き方は究極の「自分ファースト」だニャ。
美味しいおやつをもらった時しか喉は鳴らさないし、愛想笑いなんて絶対にしない。人間の社会にある「こうあるべき」とか「いい妻・いいお母さんでいなきゃ」なんていう謎のルール、俺たち猫には一切関係ないニャ。

なんで俺がアンタの前に現れるかって?
他人の顔色ばっかり伺って、自分を押し殺してボロボロになってる人間を見ると、なんだか見ててイライラするからだニャ。「自己犠牲」なんていう重たいもん背負ってるアンタに、俺が身も蓋もないツッコミを入れてやるニャ。

人間ってほんと、面倒くさい生き物だニャ。
嫌な時は噛む、寝たい時は寝る。それで嫌われるなら上等だニャ。アンタも俺みたいに、ガチガチに固まった肩の力を抜いて、もうちょっとワガママに生きてみろニャ🐾

※本記事は、「たまお悩み相談室」に寄せられた相談をもとに、相談者の個人が特定されないよう変更を加えながら構成しています。

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