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『これは不倫の罰なんだ』物が二重に見える右目と、私の罪悪感

パソコンの画面と、二重に見える私の罪

エクセルの細かい数字が、ぐにゃりと滲んで二重に重なる。

私は慌てて右目を擦ったが、視界のピントは一向に合わない。処方された薬を水で流し込んでも、一向に良くならない目の不調。

このままでは仕事に支障をきたし、居場所を失ってしまうのではないかという焦りが募る。

若い女性

あぁ、まただ……

ため息をつくと同時に、デスクの端に置いたスマホが短く震えた。

若い男性

今夜、少しだけ会える?

画面に表示された彼からのメッセージを見た瞬間、心臓が嫌な音を立てて跳ねた。

2年前から続く、誰にも言えない関係。彼と過ごす時間は満たされる一方で、私の心をじわじわと蝕んでいる。

二重に見えるこの視界は、まるで嘘で塗り固められた私の二重生活そのものを表しているかのようだった。

誰にも言えない「罰」の恐怖

暗い部屋に帰り、鏡の前に立つ。そこには、不安で顔をこわばらせた40代の女の顔があった。

右目を手で覆い、左目だけで自分を見つめる。

若い女性

これは、罰が当たったんだ

ぽつりと呟いた言葉が、冷たい洗面所に響く。

家族を裏切り、平然と嘘をつき続けている私への、見えない大きな力からの天罰なのだ。そう思うと、体の奥底から冷たい恐怖が這い上がってきた。

いくら薬を飲んでも効かないのは当然だ。罪を抱えたままの私に、治る資格なんてないのだから。

誰にも相談できない孤独の中で、私は「罰」という見えない鎖にぐるぐると縛り付けられ、息をすることすら苦しくなっていた。

猫が教えてくれた、因果の終わらせ方

フク フク

ニャんだ、焦点の合わない目でメソメソと、見苦しいヤツだニャ

突然、背後からしゃがれた声がした。驚いて振り返ると、ふてぶてしい顔つきの、ちょっと太めの猫が洗濯機の上に座っていた。

若い女性

え……? どこから入ったの?

フク フク

オレ様はフクだニャ。お前、勝手に何かのせいにして悲劇のヒロインぶってるニャ?

フクは前足で器用にヒゲを整えながら、私を鼻で笑った。

若い女性

だって、これは不倫の罰よ。私が悪いことをしてるから……

フク フク

アホかニャ! 目がおかしいなら、諦めずに別の医者に診てもらうのが先だニャ!

フクは大きなあくびをしてから、ビー玉のような目で私を真っ直ぐに射抜いた。

フク フク

そもそも『罰』だの『因果』だの、結果が出たらそれでおしまいだニャ。受け止めたらそこから先は何もないニャ。お前が怯えているのは、罰じゃなくて『自分は悪いことをしている』っていうお前自身の本心だニャ

ハッとした。

私は罰を恐れていたのではない。自分自身の罪悪感から目を背けたかっただけなのだ。

フク フク

その『良くない』って気持ちを持ったまま、この先もコソコソし続けるのか。それともやめるのか。決めるのは神様じゃなくて、お前自身だニャ

フクの言葉は非常識で容赦なかったが、不思議と私の胸のつかえをスッと下ろしてくれた。

若い女性

自分で、決める……

私が呟くと、フクは「自分のケツくらい自分で拭くニャ」と尻尾を振り、幻のようにスッと暗がりへ消えていった。

まずは明日、別の眼科をしっかり探そう。そして、自分の心の中にある「良くない」という思いと、ごまかさずに向き合おう。

二重に見えていた私の人生のピントが、少しだけ合い始めた気がした。

登場人物紹介:フク

フク

おう、俺の名前は「フク」だニャ。
たまお悩み相談室のWEB小説に、気まぐれでふらりと現れる猫だニャ。
ちょっと太めでふてぶてしい顔? うるさいニャ、これが俺のベスト・フォルムなんだから放っておけニャ。

俺の生き方は究極の「自分ファースト」だニャ。
美味しいおやつをもらった時しか喉は鳴らさないし、愛想笑いなんて絶対にしない。人間の社会にある「こうあるべき」とか「いい妻・いいお母さんでいなきゃ」なんていう謎のルール、俺たち猫には一切関係ないニャ。

なんで俺がアンタの前に現れるかって?
他人の顔色ばっかり伺って、自分を押し殺してボロボロになってる人間を見ると、なんだか見ててイライラするからだニャ。「自己犠牲」なんていう重たいもん背負ってるアンタに、俺が身も蓋もないツッコミを入れてやるニャ。

人間ってほんと、面倒くさい生き物だニャ。
嫌な時は噛む、寝たい時は寝る。それで嫌われるなら上等だニャ。アンタも俺みたいに、ガチガチに固まった肩の力を抜いて、もうちょっとワガママに生きてみろニャ🐾

※本記事は、「たまお悩み相談室」に寄せられた相談をもとに、相談者の個人が特定されないよう変更を加えながら構成しています。

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