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「私もちゃんとしなきゃ」彼の背中を見るたび、息が詰まる〜同棲2ヶ月、完璧な彼を支え続けた私の限界と気づき〜

カリカリと響くペンの音が、私を追い詰める

深夜一時。静まり返ったリビングに、カリカリとペンを走らせる音だけが響いている。 洗い物を終え、冷たい水で濡れた手をタオルで拭きながら、私は机に向かう彼の背中をそっと見つめた。

結婚を前提に同棲を始めて2ヶ月。彼は仕事と並行して、難関資格の試験に向けて猛勉強を続けている。

そのストイックな姿勢は心底尊敬している。でも、睡眠時間すら削って机に向かう彼の姿を毎日間近で見ていると、得体の知れないプレッシャーが真綿のように私の首を絞めてくるのだ。

「……お茶、淹れようか?」 声すらかけられないほどの緊迫感。彼が頑張っているのだから、家事はすべて私がやらなきゃ。そう自分に言い聞かせるたび、心の奥底が少しずつ削られていく音がした。

弱音を吐けない「完璧なサポーター」という呪い

翌朝、彼を見送った後、私は一人リビングのテーブルでノートパソコンを開いた。画面に映るのは、転職活動のお祈りメール。

ため息をつきながらスマホに手を伸ばす。誰かに「疲れた」「不安だ」とこぼしたい。でも、すぐにその手を引っ込めた。

一番大変なのは、仕事も勉強も両立している彼だ。無職で転職活動中の私が、弱音なんて吐けるわけがない。

彼を応援したい気持ちに嘘はない。けれど、頑張り続ける彼を前にすると「私ももっとちゃんとしなきゃ」と自分を追い込んでしまう。

このまま試験日まで、私は自分の心を殺して「完璧な彼女」を演じきれるのだろうか。息苦しさと孤独感で、胸が押し潰されそうだった。

彼を「神棚」から降ろし、私を取り戻す

その日の午後、掃除機をかけ終えてソファに倒れ込んだ時、ふと、乾いた笑いがこぼれた。

……私、なんでこんなに無理してるんだろう。

無意識のうちに、私は彼を「神棚」のような高い場所に置き、自分を見下ろしていたのだ。彼は試験に向けて頑張っていて素晴らしい。でも、だからといって私が一方的に家事をすべて担い、自分を犠牲にする理由にはならないはずだ。

転職活動だって、先の見えない不安と戦う立派な挑戦だ。彼もすごいけれど、先の見えない不安と戦いながら毎日家事をこなしている私も、ちゃんとすごいじゃないか。

「お互い様、だよね」 誰もいない部屋で、ポツリと呟いた。

相手を尊敬することは大切だけど、対等であるべきパートナーを絶対的な上の存在にしてしまったら、心が息切れするのは当然だ。

今日彼が帰ってきたら、思い切って家事の分担を相談してみよう。彼を支えることばかりに必死になるのはお休みして、まずは私自身の人生と、今やるべきことを真ん中に置いてみよう。

閉じていたパソコンの画面をもう一度開くと、窓から差し込む午後日差しが、私の手元をほんのりと温かく照らしていた。

※本記事は、「たまお悩み相談室」に寄せられた相談をもとに、相談者の個人が特定されないよう変更を加えながら構成しています。

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