夫婦喧嘩がエスカレートして、思わず「警察」という言葉が頭をよぎる…。
今、この記事を読んでいるあなたは、本当に苦しくて、怖い思いをされているのではないでしょうか。パートナーとの間に流れる張り詰めた空気の中、「もう限界かもしれない」と、周りには相談できずに、たった一人でスマホを握りしめているのかもしれませんね。
たま夫婦のお悩み相談室、代表カウンセラーのたまです。 まず、勇気を出してこの記事にたどり着いてくださったこと、本当にありがとうございます。その行動こそ、ご自身の心と安全を守るための、とても大切な一歩です。
「警察を呼んだら、大ごとになってしまうのでは…」
「ご近所さんの目が気になる…」
「このくらいのことで呼んでいいのだろうか…」
たくさんの不安が頭を駆け巡り、どうしたら良いか分からなくなってしまいますよね。
この記事では、あなたの安全を守ることを第一に、警察を呼ぶべきかの明確な判断基準から、実際に呼んだ後の具体的な流れ、そして何より、二度とそんなつらい思いをしないための根本的な解決策まで、カウンセラーの視点から順を追って丁寧にお話しします。
大丈夫、あなたは一人ではありません。 まずはこの記事を読んで、少しだけ心を落ち着けてください。一緒に、あなたにとって一番良い道を探していきましょう。
ためらわないで!警察を呼ぶべき危険な夫婦喧喧嘩の3つのサイン
「もしかしたら、私が我慢すれば丸く収まるかもしれない」
「これはどこの家庭にでもあること。大げさにしたくない」
そう思ってしまう気持ち、とてもよく分かります。ですが、あなたのその「危険だ」という直感は、何よりも大切な心のサインです。どうか、ご自身の安全を最優先に考えてください。
ここに挙げる3つのサインのいずれか一つでも当てはまるなら、それはあなたやご家族の安全が脅かされている証拠。ためらわずに警察(110番)や相談窓口に助けを求めてください。
【サイン1】身体的な危険を感じる(暴力・物の破壊)
相手からの直接的な暴力はもちろん、物が壊されるような間接的な暴力も、あなたへの強い威嚇であり、非常に危険なサインです。
- 少しでも手を出された(殴る、蹴る、髪を引っ張る、突き飛ばすなど)
- 物を投げつけられた、または目の前で物を壊された(壁を殴る、家具を蹴るなど)
- 家にあるもので脅された(包丁などの刃物、鈍器になるようなものなど)
- 首を絞められたり、押さえつけられたりして身体の自由を奪われた
「怪我はなかったから大丈夫」ではありません。一度でも振るわれた暴力は、エスカレートする危険性が非常に高いことを覚えておいてください。
【サイン2】精神的な恐怖で支配されている(暴言・脅迫)
目に見える傷はなくても、言葉の暴力は心を深く傷つけ、正常な判断能力を奪っていきます。「自分が悪いんだ」と思い込まされていませんか?
- 「殺してやる」「死ね」など、命の危険を感じる言葉を言われた
- 「お前は価値がない」「誰のおかげで生活できてるんだ」など、人格を否定され続ける
- 「実家にバラすぞ」「別れるなら子どもには二度と会わせない」などと脅されている
- 友人との連絡や外出を厳しく制限されたり、携帯電話をチェックされたりする
このような精神的な支配は、あなたを孤立させ、逃げる気力さえも奪ってしまいます。
【サイン3】子どもに危害が及んでいる、または及びそう
もしお子さんがいるご家庭なら、その子の安全は絶対に守らなくてはなりません。たとえ子どもに直接手を上げていなくても、夫婦喧嘩を見聞きさせること自体が「心理的虐待(面前DV)」にあたります。
- 子どもの前で激しい口論や暴力が繰り返されている
- 喧嘩の仲裁に入った子どもが、突き飛ばされるなどの危害を加えられた
- 八つ当たりのように、子どもに暴言を吐いたり、乱暴な態度をとったりする
- 喧嘩が始まると、子どもが怯えて部屋の隅で固まっていたり、泣き出したりする
大人の怒鳴り声や暴力は、子どもの心と脳の発達に深刻な影響を与えます。お子さんを守るためにも、すぐに行動を起こす必要があります。
もし警察を呼んだら…その後の流れと知っておくべきこと
危険なサインに気づき、いざ通報するとなっても、「電話で何を話せばいいの?」「警察が来たらどうなるの?」という不安は尽きませんよね。 ここからは、実際に警察を呼んだ後の具体的な流れを4つのステップで解説します。事前に流れを知っておくだけでも、心の準備ができますよ。
ステップ1:110番通報で、落ち着いて伝えるべきこと
恐怖や混乱でパニック状態にあるかもしれませんが、大丈夫。電話に出た警察官が、必要な情報を順に質問してくれます。もし可能であれば、次のことを伝えられるとスムーズです。
- 「事件ですか?事故ですか?」→「事件です」と答える
- 何があったか(例:「夫から暴力を受けています」「夫婦喧嘩で、相手が暴れています」)
- 今の場所(住所が分からなければ、近くの目標物でもOK)
- あなたの名前と、相手の名前
- けが人の有無
- 相手が刃物などを持っているか
もし声を出せる状況でなければ、電話を繋いだままにしておくだけでも、警察は異変を察知して駆けつけてくれる場合があります。とにかく、まずは電話をかけることが大切です。
ステップ2:警察官の到着と事情聴取
通報後、数分から十数分で警察官が到着します。まずはあなたとパートナーを落ち着かせ、安全を確保することが最優先されます。 その後、何があったのか事情を聞かれますが、基本的にはあなたとパートナーを別々の場所で、一人ずつ話を聞いてくれます。相手に気兼ねすることなく、ありのままの事実を話してください。
- いつから、どんなことがあったのか
- けがをしている場合は、その状況
- 壊された物があれば、それも伝える
興奮してうまく話せなくても構いません。警察官は専門家として、冷静にあなたの話に耳を傾けてくれます。
ステップ3:警察官によるその場での対応と措置
事情聴取や現場の状況から、警察官がその場で必要な対応を判断します。
- 口頭での注意・警告: 暴力行為などがなく、双方の言い分に大きな食い違いがない場合、その場で注意や警告を与えて終結することもあります。
- 当事者の引き離し: 喧嘩が収まらない場合、どちらか一方(または双方)を一時的にその場から退去させるなど、物理的に距離を置かせる措置をとることがあります。
- 被害届の提出と専門機関の紹介: 明らかな暴力行為(DV)が確認された場合、被害届を提出するかどうか尋ねられます。また、配偶者暴力相談支援センターなどの専門機関を紹介してくれます。
- 加害者の逮捕: 暴力がひどく緊急性が高いと判断されれば、加害者は現行犯逮捕されることもあります。
ステップ4:気になる「相談記録」と「前科」の問題
「警察を呼んだら、相手に前科がついてしまうのでは?」と心配される方は少なくありません。これは大きな誤解です。
相談記録
通報すると、警察には「こういう相談があった」という「相談記録(申告受理簿)」が残ります。これは犯罪歴ではなく、あくまで公的な記録です。この記録は、後に離婚調停などでDVの証拠として役立つこともあります。
前科
「前科」とは、刑事裁判で有罪判決を受けた場合にのみつくものです。夫婦喧嘩で警察を呼んだだけで、いきなり相手に前科がつくことはまずありません。
警察を呼ぶことは、相手を罰するためではなく、「あなたと家族の安全を守るため」の正当な行為です。過度に心配せず、ご自身の安全を第一に行動してくださいね。
喧嘩がエスカレートする前に。警察を呼ばないためのクールダウン方法
今すぐ警察を呼ぶほどではないけれど、このままでは危険かもしれない…
と感じている方もいらっしゃるでしょう。
怒りの感情に飲み込まれそうになったとき、お互いが冷静さを取り戻すための「お守り」のような方法を知っておくことは、とても大切です。
もちろん、相手が聞く耳を持たなかったり、逃してくれなかったりする場合は、迷わずその場を離れて安全を確保してくださいね。
まずは物理的に「距離」をとるアンガーマネジメント
怒りの感情のピークは、長くても6秒と言われています。カッとなったときは、とにかくその場を離れてお互いに一人になる時間を作ることが、最もシンプルで効果的な方法です。
これを「タイムアウト」と言います。事前に夫婦で「これ以上は危険だと感じたら、どちらからでもタイムアウトを宣言しよう」とルールを決めておけると理想的です。
- 宣言する: 「少し頭を冷やしたいから、15分だけ別の部屋に行きます」と相手に伝える。
- 離れる: 別の部屋やトイレに行く、ベランダで外の空気を吸う、家の周りを少しだけ散歩するなど、物理的に距離をとる。
- クールダウンする: 深呼吸をしたり、冷たい水を飲んだりして、気持ちを落ち着けることに集中する。
タイムアウトは「話し合いからの逃げ」ではありません。お互いを傷つけ合う最悪の事態を避けるための、賢明な戦略なのです。
「I(アイ)メッセージ」で、非難ではなく気持ちを伝える
喧嘩のとき、つい相手を主語にして非難してしまいませんか?
(NG例)Youメッセージ
「あなたはいつも約束を破る!」「なんで分かってくれないの!」
このように相手を主語にすると、相手は「責められた」「攻撃された」と感じ、反発したり心を閉ざしてしまったりします。
そこで試してほしいのが、主語を「私」にする「I(アイ)メッセージ」です。
(OK例)Iメッセージ
「(あなたが約束を忘れると)私は悲しい気持ちになる」「(そう言われると)私は大切にされていないように感じて寂しい」
「どうして」「なんで」という非難ではなく、「私はこう感じている」と自分の気持ちを伝えることで、相手もあなたの気持ちを理解しやすくなります。感情的なぶつかり合いを避け、建設的な話し合いへの第一歩になりますよ。
警察は緊急避難所。根本解決のためには専門家との対話を
警察への通報やクールダウンの方法は、いわば「応急処置」です。その場の危険を回避することはできますが、なぜ喧嘩がそこまでエスカレートしてしまうのか、という根本的な問題を解決してくれるわけではありません。
火種が残っている限り、残念ながら同じことは繰り返されてしまいます。二度とつらい思いをしないためには、専門家の力を借りて、問題の根本と向き合うことがとても大切です。
警察の役割と、カウンセリングの役割の違い
警察とカウンセラーでは、その役割が全く異なります。
警察の役割
事件性があるか、今そこに危険があるかを見て、「その場の安全を守る」のが仕事です。夫婦関係の悩みを聞いたり、仲直りの手伝いをしたりすることはありません。
カウンセリングの役割
夫婦関係の専門家として、「なぜ問題が起きるのか、その原因を探り、関係性を改善していく」お手伝いをします。どちらが正しいかをジャッジするのではなく、お互いが本音で対話できる安全な場を提供します。
警察は「緊急避難所」、カウンセリングは「関係性の再構築を目指す場所」と考えると分かりやすいかもしれません。
まずは頼れる公的な相談窓口
「専門家」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれませんね。そんなときは、まず無料で匿名相談もできる公的な窓口を頼ってみてください。
配偶者暴力相談支援センター(DV相談プラス):#8008(はれれば)
全国共通の番号で、24時間いつでも専門の相談員に繋がります。チャットやメールでの相談も可能です。
お住まいの市区町村の相談窓口
「〇〇市 配偶者暴力相談」などで検索すると、女性センターや福祉課などが見つかります。具体的な支援に繋がりやすいのが特徴です。
一人で抱え込まず、「こんなことで…」と思わずに、まずは電話を一本かけてみてください。
なぜ「第三者」であるカウンセラーが必要なのか?
友人や親に相談するのも一つの方法ですが、どうしてもあなたの味方になって話を聞いてくれるため、客観的な解決が難しくなることもあります。その点、専門のカウンセラーは「公平な第三者」であることに大きな意味があります。
- 客観的な視点: どちらか一方に偏ることなく、お二人の状況を客観的に分析します。
- 専門的な知識: コミュニケーションの癖や、すれ違いの背景にある心理的な要因を見つけ出します。
- 安全な対話の場: 感情的な非難の応酬になることを防ぎ、お互いが安心して本音を話せる場を作ります。
当事者同士ではヒートアップしてしまう話し合いも、専門家が間に入ることで、驚くほど冷静に進められるケースは少なくありません。
自宅で安心、たま夫婦のオンラインカウンセリング
もし、あなたが今、
- 誰にも知られず、プライバシーを守って相談したい
- 仕事や育児が忙しく、決まった時間に外出するのが難しい
- パートナーには知られず、まずは自分一人で気持ちを整理したい
- 対面だと緊張してしまうので、リラックスできる自宅から話したい
このようにお考えでしたら、ぜひ一度、私たちのオンラインカウンセリングを頼ってみてください。
私たちのカウンセリングは、何かを強制する場所ではありません。まずは、あなたのつらいお気持ちを、ありのままお話しいただくことから始まります。それだけでも、きっと心は軽くなるはずです。
「こんなことで相談していいのかな…」なんて思う必要はありません。あなたのそのお悩みこそ、私たちが向き合いたいものです。
「夫婦喧嘩と警察」に関するQ&A
最後に、多くの方が疑問に思われる点について、Q&A形式でお答えしますね。
Q1. どの程度の行為から「DV(ドメスティック・バイオレンス)」になりますか?
A1. DVと聞くと、殴る・蹴るといった身体的な暴力をイメージされる方が多いですが、それだけではありません。DVには様々な形があります。
- 身体的DV: 暴力行為全般。物を投げつける行為も含まれます。
- 精神的DV: 人格を否定する暴言、脅迫、無視、行動の監視など、心を傷つける行為。
- 経済的DV: 生活費を渡さない、外で働くことを許さない、お金の使い道を細かくチェックするなど、経済的に支配する行為。
- 社会的DV: 実家や友人との付き合いを制限するなど、社会的に孤立させる行為。
- 性的DV: 望まない性行為を強要するなどの行為。
これらのうち一つでも当てはまれば、それはDVと言えます。「このくらいはDVじゃないかも」とご自身で判断せず、専門機関にご相談ください。
Q2. 警察を呼んだことが原因で、離婚の際に不利になりますか?
A2. いいえ、不利になることはありません。むしろ逆です。
警察に通報したという「相談記録」は、相手からの暴力やDVがあったことを示す客観的な証拠の一つとして、離婚調停や裁判で有利に働く可能性があります。慰謝料を請求する際にも、重要な判断材料となり得ます。 ただし、明らかに事実と異なる内容で通報する「虚偽申告」は、ご自身の立場を悪くする可能性があるので、それは絶対にやめましょう。
Q3. 相手から「警察を呼んだら離婚だ」と脅されています。どうすればいいですか?
A3. とても怖い思いをされていますね。その言葉は、相手があなたを支配し、コントロールするための「脅し」であり、精神的なDVの一つです。
その脅しに屈して、危険な状況に身を置き続ける必要は全くありません。あなたの安全が何よりも最優先です。 「警察を呼んだら離婚されるかもしれない」という恐怖も、一人で抱え込まずに、弁護士や公的な相談窓口(DV相談プラスなど)に「こう脅されている」という事実も含めて相談してください。あなたを守るための具体的な方法を、きっと一緒に考えてくれます。
【まとめ】あなたの安全と心の平穏が、何よりも大切です
ここまで長い文章を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。 たくさんの情報に触れて、少しお疲れかもしれませんね。最後に、これだけは忘れないでほしい大切なことをお伝えします。
まず、あなたの心と身体の安全が、何よりも優先されるべきだということ。危険を感じたときは、ためらわずに警察を呼んでください。それは、決して大げさなことではありません。
そして、警察への通報はあくまで緊急避難であり、夫婦関係の根本的な問題を解決するものではない、ということも心の片隅に置いておいてください。何度も同じ苦しみを繰り返さないためには、なぜ喧嘩がエスカレートしてしまうのか、その原因と向き合う必要があります。
今日、勇気を出して情報を探し、この記事を読んでくださったあなたの一歩は、ご自身の未来を変えるための、とても価値のある大きな一歩です。
どうか、「自分が悪いんだ」とご自身を責めないでください。 一人で抱え込まず、私たちのような専門家を頼ってください。
あなたの未来が、穏やかで安心できるものになるよう、心から願っています。いつでも、あなたの味方です。