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ずっと続くその「気持ち悪さ」、実は更年期のサインかも?東洋医学で紐解く「気の逆流」と心のお守り

「二日酔いでもないのに、朝から胃がムカムカする」「パソコンを見ていると、急に船酔いのようなフワフワ感に襲われる」…そんな症状に悩んでいませんか?

病院に行くほどではないけれど、地味に辛いこの感覚。「私の体調管理が悪いから」「精神的に弱いから」と自分を責めてしまいがちですが、それは違います。

今日は、その「正体不明の気持ち悪さ」について、東洋医学の視点からお話しします。理由がわかれば、もう怖くありませんよ。

読み進める前に、まずは今の自分の「体の天気」を知っておきませんか?

今の辛さが「あなたのせいではない」ことが、数値を見るだけですぐに分かります。

たま先生

たま先生(中森 万美子)

「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。

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病院へ行くほどじゃないけど…「更年期特有の気持ち悪さ」の正体

「なんだか最近、調子が悪い気がする」

そう感じていても、熱があるわけでもないし、激痛があるわけでもない。「ただなんとなく、気持ち悪い」。そんな状態だと、誰かに相談するのもためらってしまいますよね。

でも、私の鍼灸院にいらっしゃる患者さんの多くが、あなたと同じように言葉にしづらい「不快感」を抱えていらっしゃいます。まずは、あなたが感じているその辛さが、決して「気のせい」ではないことを確認していきましょう。

朝のムカムカ、食後の胃もたれ、乗り物酔いのような浮遊感

例えば、こんなことはありませんか?

朝起きると、胃が重い
前の晩に暴飲暴食をしたわけでもないのに、朝起きた瞬間から胃のあたりがドンヨリしている。

喉の奥の違和感
常に喉に飴玉か梅干しの種が詰まっているような感じがして、飲み込もうとしても飲み込めない(これを東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」と呼びます)。

謎の乗り物酔い
昔は平気だったのに、電車やバス、あるいはスマホの画面をスクロールしただけで、グラグラと世界が回るようなめまいや吐き気を感じる。

これらは、「病気」という名前がつく手前にある、体からの精一杯のサインであることが多いのです。胃薬を飲んでもなかなかスッキリしないのは、胃そのものが悪いのではなく、もっと根本的なバランスが崩れているからかもしれません。

さっきまで元気だったのに…急なイライラとセットで来る「吐き気」

そして、更年期世代の女性を特に苦しめるのが、感情と連動する「気持ち悪さ」です。

さっきまで家族と普通に話していたのに、些細な一言でマグマのような怒りが込み上げてくる。そして、激しくイライラした直後に、みぞおちがギュッと締め付けられるような吐き気に襲われる…。

その後でやってくるのは、「こんなに感情的になるなんて、私、性格が悪くなったのかな」「ヒステリーを起こす自分が気持ち悪い」という、自分自身への嫌悪感ではないでしょうか。

辛いですよね。でも、安心してください。

そのイライラも、その後の吐き気も、あなたの性格が変わったからではありません。

体が急激な変化に対応しようとして、一時的に交通渋滞を起こしているだけなのです。

なぜこんなに気持ち悪くなるの?医学と東洋医学で見る「辛さの原因」

「私の性格のせいじゃないなら、一体なぜ?」

その疑問を解くカギは、医学的な「自律神経」の働きと、東洋医学的な「気(エネルギー)」の流れにあります。

このメカニズムを知れば、「なんだ、私の体が頑張りすぎているだけなんだ」と、自分を許してあげられるはずですよ。

【医学的視点】自律神経の乱れが引き起こす「脳の誤作動」

私たちの体は、脳にある「視床下部(ししょうかぶ)」という司令塔がホルモンの指令を出しています。

40代以降、卵巣の機能が少しずつ変化し始めると、脳が「ホルモンを出して!」と指令を出しても、卵巣が以前のようには応えられなくなります。

すると、司令塔である脳はパニックを起こします。「なんで言うことを聞かないの!?」と興奮状態になり、その混乱がすぐ隣にある「自律神経」に飛び火してしまうのです。

自律神経は、胃腸の働きや血流をコントロールしている大切なシステムです。

脳のパニックによって、体を活発にする「交感神経」が過剰に働くと、胃腸は緊張して動きを止めてしまったり、逆に痙攣(けいれん)したりします。

つまり、あなたの感じている吐き気や気持ち悪さは、脳の誤作動によって胃腸がびっくりしている状態。あなたがストレスに弱いからではなく、脳と卵巣の連携プレーが一時的にうまくいっていない物理的な現象なのです。

【東洋医学的視点】エネルギーが逆走する「気逆(きぎゃく)」とは?

東洋医学の視点で見ると、さらに景色がはっきりと見えてきます。

あなたの今の状態は、「気逆(きぎゃく)」という言葉で説明がつきます。

私たちの体には「気(き)・血(けつ)・水(すい)」が巡っていますが、そのうちのエネルギーである「気」は、本来、頭から足元へと「下半身に向かって降りていく」のが健康な状態です。

しかし、更年期(あるいはプレ更年期)に入り、体のバランスが崩れると、下に降りるべき気が行き場を失い、あろうことか「上に向かって逆流」し始めます。

  • 気が胃から喉へ逆流する → 吐き気、ゲップ、喉のつかえ
  • 気が頭へ逆流する → のぼせ、ホットフラッシュ、めまい、イライラ

想像してみてください。一方通行の道路を、たくさんの車が逆走している状態です。これでは事故(不調)が起きるのも無理はありませんよね。

さらに、東洋医学には「肝胃不和(かんいふわ)」という言葉もあります。

ストレスを受け止める「肝(かん)」の気が高ぶりすぎると、そのエネルギーが消化器である「胃」を攻撃してしまうのです。

「イライラすると吐き気がする」のは、まさにこの現象。心と体は繋がっているからこそ起こる、必然的な反応なのです。

あなたの能力不足でも、性格が変わったわけでもありません

ここまで読んで、「なんだか難しそう」と思われたかもしれませんが、覚えておいてほしいことは一つだけ。

今の不調は、あなたの能力不足でも、性格の歪みでもないということです。

体の内部で起きている「気の交通渋滞」や「自律神経のパニック」が、たまたま「気持ち悪さ」という形で表面化しているだけ。

それは、「少し休んで、体のメンテナンスをしてね」という、体からの愛あるメッセージなんですよ。

今すぐできる!「気持ち悪さ」をその場で和らげる養生テクニック

原因がわかったところで、日々の生活の中でできる「養生(ようじょう)」をご紹介します。

「治療」と構える必要はありません。ほんの少し、体に意識を向けてあげるだけで、逆流した気はまたスムーズに流れ始めます。

上に上がった気を下ろす「グラウンディング呼吸法」

「気逆」で上に上がってしまったエネルギーを、意識的に下に下ろす呼吸法です。気持ち悪い時や、イライラした瞬間に試してみてください。

  1. 椅子に浅く座り、足の裏を床にぺったりとつけます。
  2. 鼻から軽く息を吸います。
  3. 口から細く長く息を吐きながら、「頭にあるモヤモヤしたものが、背骨を通って、足の裏から地面に流れ出ていく」イメージを持ちます。
  4. 吐き切ったら、自然に吸う。これを5回ほど繰り返します。

ポイントは「吐く息」に集中すること。息を吐くことで副交感神経が優位になり、胃腸の緊張もふっと緩みます。

吐き気止めのツボ「内関(ないかん)」と「太衝(たいしょう)」

いつでもどこでも押せる、あなただけの「お守り」のようなツボを知っておきましょう。

内関(ないかん)

場所: 手のひら側、手首のシワから指3本分ひじ側へ進んだところ。

効果: 吐き気、胃の不快感、乗り物酔いに効果的と言われています。親指でじわーっと、少し強めに押してみてください。

太衝(たいしょう)

場所: 足の甲、親指と人差し指の骨が交わるところ(V字の谷間)の少し手前のくぼみ。

効果: 「イライラ」を鎮め、気の巡りをスムーズにする代表的なツボです。ここを押して痛い人は、頑張りすぎている証拠かもしれません。

「ま、いっか」を口癖に。心を緩める魔法

更年期の症状が強く出やすい方は、真面目で責任感が強く、頑張り屋さんな女性が多い傾向にあります。

「ちゃんとしなきゃ」「私がやらなきゃ」

そんなふうに無意識に体を固くしていませんか?

体が変化している時期は、心も少しだけ「省エネモード」に切り替えるチャンスです。

家事が少し残っていても、仕事で小さなミスがあっても、「ま、いっか。今はそういう時期だし」と、心の中でつぶやいてみてください。

完璧を目指さないこと。自分に60点をあげられるようになること。

それが、高ぶった神経を鎮める一番の「薬」になることもあります。

ひとりで抱え込まないで。まずは「数値」で自分の状態を知ることから

ここまで、東洋医学の視点で「気持ち悪さ」の正体をお話ししてきました。

少しでも「私だけじゃなかったんだ」と、心が軽くなっていただけたら嬉しいです。

「更年期」と認めるのが怖いあなたへ

正直なところ、「更年期」という言葉を受け入れるのには、勇気がいりますよね。

「老化」や「女の終わり」のような気がして、認めたくない気持ち、痛いほどわかります。

でも、東洋医学では更年期を「その人の役割が変わる、次のステージへの準備期間」と捉えます。決してネガティブな終わりではありません。

「何が起きているかわからない」という状態が、一番不安を大きくします。

逆に言えば、自分の体の状態さえ把握できれば、対策はいくらでも立てられるのです。

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このセルフチェックは、病名を決めるものではありません。

今のあなたの体が「晴れ」なのか「雨」なのか、あるいは「台風」が近づいているのかを知るための「体の天気予報」のようなものです。

「なんでこんなに辛いの?」と自分を責めるのは、もう終わりにしましょう。

あなたのその辛さが数値化されることで、「なーんだ、私のせいじゃなくて、体のバランスのせいだったんだ」と、肩の荷が下りる瞬間が必ず来ます。

たった1分で終わります。

まずは自分を知ることから、一緒に始めてみましょう。

そのイライラや不調、
性格のせいじゃありません。

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