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同居介護のつらさを一人で抱えないで|カウンセラーが伝える「心を守る」向き合い方

同居で親(実親・義親)の介護が始まった、あるいはもうずっと続いている。「もう限界」「でも誰にも言えない」「自分がどんどん消えていく気がする」。

そんな気持ちを抱えたまま、今日この画面を開いてくださったあなたへ、まずお伝えしたいことがあります。

同居介護のつらさは、あなたが甘いから、愛情が足りないから生まれているのではありません。同居介護には、他の介護にはない特有の「重さ」があって、その重さに長く耐え続ければ、誰だって心は疲弊していきます。

この記事は、介護保険制度やサービスの解説書ではありません。カウンセラーの立場から、同居介護者の心に何が起きているのかを整理し、自分自身を壊さずに介護と向き合うためのヒントを、じっくりお伝えしていく場所です。

読み終わったとき、少しだけ息がしやすくなっていたら、うれしく思います。

目次

この記事の監修者
たま先生(中森 万美子)
たまお悩み相談室 代表カウンセラー
たま先生(中森 万美子)

年間500件以上のお悩みに寄り添うカウンセラー。解決を押しつけるのではなく、ご相談者様にとって「心を整える場所」となることを目指したサポートを行っている。SNS総フォロワー数は4万人を超え、著書『40歳からの幸せの法則』の執筆や、FM845のラジオパーソナリティ、大学やカルチャーセンターでの講師など幅広く活動中。

同居介護がつらいのは、あなたが甘いからではありません

「こんなに苦しいのは、私が未熟だからかもしれない」「もっと愛情を持って接するべきなのに」。同居で介護をされている方とお話しすると、必ずと言っていいほど、こうした自責の言葉が出てきます。

でも、カウンセラーとして断言できるのは、あなたが苦しいのは、あなたのせいではないということ。まずは、その「つらさの正体」を一緒に整理していきましょう。

同居介護には「3つの特有の重さ」がある

同居介護のつらさは、通いの介護とはまったく別物です。私は相談を受けるたびに、その違いを痛感します。

時間的な境界が失われる重さ

介護職の方であれば、仕事として介護をし、勤務時間が終われば家に帰って自分の生活を取り戻せます。通い介護なら、訪問と訪問のあいだに休息の時間があります。

でも同居介護は、朝起きた瞬間から夜眠るまで、いえ、眠っているあいだも、耳が介護対象者の物音を拾うようにチューニングされてしまいます。

「いま何もしていない時間」ですら、心が休まらない。それが同居介護の時間なんです。

空間的な逃げ場がない重さ

自分の家なのに、自分が安らげる場所がない。リビングに行けば介護のあれこれが目に入り、キッチンに立てば食事の準備が待っている。

自室に逃げ込んでも、声をかけられれば応じなくてはいけない。外出中ですら「いま転んでいないか」「いつ電話がかかってくるか」という緊張が抜けません。

家が仕事場のようになってしまった状態が、何年も続くこともあるのです。

社会からの理解が薄い重さ

「一緒に住んでいるんだから、そんなに大変じゃないでしょう?」「通いでやってる人のほうが、交通費もかかって大変だよ」。こうした言葉を、悪気なく投げかけられた経験はありませんか。

同居だからこそ省ける手間はあります。でも、同居だからこそ逃げ場がなく、消耗が積み重なる面もある。その見えにくさを、社会がまだ理解しきれていません。

この3つの重さが、毎日毎日、薄い紙を積み重ねるように、あなたの心と身体に乗っていくんです。疲れて当たり前なんですよ。

実親の介護と義親の介護、つらさの種類は違います

同居介護と一口に言っても、介護対象が実の親か、配偶者の親かで、心にかかる負荷の種類はまったく違います。どちらがつらい、と比べるものではありません。

ただ、「自分のつらさの正体」を理解するヒントとして知っておくと、自分を責めずに済みます。

実親の介護でよく聞くのは、「昔の親の姿とのギャップ」に心が痛むことです。強かった母が弱々しくなり、厳格だった父が子どものようになる。その変化を、毎日いちばん近くで見続けるのは、想像以上に消耗します。

「介護しているのはこの人であって、私の知っている親ではない」と頭では分かっていても、感情が追いつかない。長年の親子関係のもつれや、まだ言えていない本音が、介護をきっかけに噴き出してくることもあります。

義親の介護でよく聞くのは、「役割としての圧力」による息苦しさです。「嫁がやるのが当たり前」という雰囲気、夫の兄弟姉妹からの無言の期待、何かあったときに矢面に立たされる立場。

愛情というより責任で介護が始まることが多く、心のどこかに「なんで私が」という疑問が常にくすぶっています。夫が間に入ってくれないと、その疑問は怒りに変わっていきます。

どちらの介護でも、疲弊していいんです。「実の親なんだから」「嫁なんだから」という言葉で、自分の気持ちを押し込めないでくださいね。

「介護者なのにつらいなんて言えない」の正体

「介護するのは当然のこと」「愛情があるなら苦しくないはず」。この言葉に縛られて、つらさを言葉にできない方が本当に多くいらっしゃいます。

カウンセリングの場でようやく泣き出して、「こんなこと誰にも言えなかった」とおっしゃる方を、私は何度も見てきました。

なぜ言えないのかというと、言ったら「冷たい人」「ひどい嫁(娘)」というレッテルを貼られるのでは、という恐れがあるからです。

実際、愚痴をこぼしたら「でも大事なお母さんでしょう?」と返された、という話もよく聞きます。そうやって一度でも拒絶されると、人は二度目から口を閉じてしまうものなんです。

でも、つらさを言葉にできないまま抱え続けると、心は少しずつ固まって、やがて感じる力そのものを失っていきます。「何も感じない」「涙も出ない」状態になったら、それはもう、かなり深いところまで疲労が届いているサインです。

この記事を読んでくださっているあなたが、今どの段階にいるのか、自分でも分からなくなっているかもしれません。まずは、「つらいと思っていい」「誰かに話していい」ということを、自分に許可するところから始めてみてください。

同居介護で静かに壊れていく「5つの関係」

同居介護で消耗するのは、介護そのものだけではありません。介護が続くあいだに、あなたを取り巻く人間関係が少しずつ形を変えていきます。

ここでは、同居介護の中で壊れやすい5つの関係を整理します。心当たりがあるかどうか、確認してみてください。

①自分自身との関係|「私」が消えていく感覚

同居介護で最初に壊れるのは、多くの場合「自分との関係」です。趣味に使っていた時間が消え、友人との約束が減り、鏡を見て自分の顔が老けたことに気づいて愕然とする。

「私は何のために生きているんだろう」という疑問が頭をよぎる回数が増えたら、それは、自分自身が遠くなってしまったサインです。

この感覚は、介護が長引くほど深くなります。そして、自分との関係が壊れているときは、他のすべての関係にも余裕を持てなくなります。

だからこそ、「自分との時間」を意識的に取り戻すことが、他の関係を守るためにも重要なんです。

②夫(パートナー)との関係|温度差が生む孤独

夫の親の介護を妻が主に担っているケースでも、妻の親を同居で介護しているケースでも、「夫婦のあいだに温度差がある」ことは、よく相談を受けるテーマです。

夫からすれば、昼間は仕事でいないし、介護の実態を肌で知らない。「大変だね」の一言で済ませてしまう。妻からすれば、一日中神経をすり減らしているのに、夫はテレビを見ながらご飯を食べている。

この温度差は、積み重なると深い孤独になります。介護の話題を避け合うようになり、日常会話が減り、やがて「この人は私の苦しさを分かろうとしない」という確信に変わっていく。ここまで来ると、夫婦関係そのものが危険水域に入ります。

③兄弟姉妹との関係|「同居しているから」の押しつけ

実親の介護でも、義親の介護でも、「同居している人が主介護者になる」という暗黙の前提が、家族のあいだで成立していることが多くあります。

別居の兄弟姉妹は、ときどき顔を出す程度で、金銭的な援助も曖昧なまま。「ありがとう」の一言も、いつのまにか言われなくなる。

その状態で何年も介護を続けていると、兄弟姉妹への怒りが静かに蓄積していきます。「私ばかりがこんなに苦しんでいるのに」「あの人は何もしない」。

この感情を抱えることに、罪悪感を感じなくて大丈夫です。それは、公平でない負担配分に対する、まっとうな反応なんです。

④子どもとの関係|母として向き合えない罪悪感

もしあなたが、まだ子育て中の世代で同居介護もされているのなら、「介護と子育てのあいだで引き裂かれる感覚」は、ものすごい重みだと思います。

子どもの話をゆっくり聞いてあげたいのに、義母の呼び出しがかかる。授業参観に行きたいのに、介護の用事で行けない。子どもの前で疲れた顔を見せまいと頑張るほど、自分の中で「母親失格」の自責がふくらんでいく。

子どもは子どもで、母親が疲弊していることを敏感に察します。「お母さんの邪魔をしたくない」と、本音を言わなくなることもあります。

この連鎖を止めるには、介護の負担をどこかで軽くするしかありません。一人で抱え続ける限り、どうしても壊れていく関係があるんです。

⑤介護対象者との関係|愛情と苛立ちの同居

そして、もっとも扱いづらい感情が、介護対象者そのものに対する複雑な気持ちです。大切な親(義親)のはずなのに、顔を見るとイライラする。手を貸しながら「なんでこんなに言うことを聞いてくれないんだろう」と思う自分に、後から強烈な罪悪感が襲ってくる。

これは、あなたが薄情になったのではありません。介護という長期戦の中で、脳が自分を守るために、感情の出力を鈍らせたり鋭くしたりしているんです。

カウンセリングで「介護対象者に対して、ときどき憎しみを感じてしまう」と打ち明けてくださる方は、決して珍しくありません。そうした感情を持つ自分を否定しないことが、関係を壊さない第一歩です。

心が限界に近づく、同居介護のサイン

自分がいまどこまで疲れているのか、同居介護の渦中にいると、自分では見えなくなってしまいます。

ここでは、カウンセリング現場で「限界が近いサイン」としてよく見聞きするものを整理しておきます。いくつ当てはまるか、チェックしてみてください。

身体に現れるサイン|不眠・体重・頭痛

  • 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、眠りが浅い
  • 体重が3kg以上、増えた/減った
  • 頭痛、肩こり、胃の不調が慢性化している
  • お酒の量が増えた、甘いものがやめられない

身体は、心よりも先に悲鳴を上げます。「最近、なんか調子悪いな」を放置していると、ある日突然、起き上がれなくなることがあるんです。

身体のサインは、心からのSOSだと思ってください。

感情に現れるサイン|涙・無感覚・瞬間的な怒り

  • 理由もなく涙が出る、逆に感情が湧かない
  • 些細なことで激しい怒りが沸騰する
  • 笑っていない自分に気づく
  • 楽しいと感じる時間がほとんどない

特に注意したいのは、「何も感じない」という無感覚状態です。「つらい」と感じているうちはまだ大丈夫。感情が凍りついたときが、本当にあぶないときなんです。

介護対象者への気持ちが変わってきたとき

  • 顔を見ると反射的にため息が出る
  • 「早くいなくなってほしい」という考えがよぎる
  • 手を上げそうになった、大声を出した
  • 介護のあとに自己嫌悪で眠れない

これらが出てきたら、ひとりで抱える段階を超えています。介護虐待は、悪い人が起こすものではありません。追い詰められたやさしい人ほど、「あと一歩」で踏み越えてしまう危険があります。

この段階に来ているなら、次の章の「第三者を頼る」に今日から動き出してほしいんです。

家族全体に広がっていく変化

  • 夫婦の会話が介護のことしかなくなった、あるいは会話自体がなくなった
  • 子どもが甘えてこなくなった、顔色をうかがうようになった
  • 兄弟姉妹との連絡を避けるようになった
  • 自分の実家・友人とも疎遠になった

介護の負担は、あなた一人にとどまりません。あなたが疲弊するほど、家族全体の空気が重くなります。「自分だけの問題だから」と抱え込むのは、もう限界に近いかもしれません。

「いい介護者の呪縛」からあなた自身を守る

同居介護で消耗が止まらない方の多くは、真面目で、責任感が強く、人を大事にする方です。だからこそ、「いい介護者でなければいけない」という見えない呪縛に縛られやすい。

ここでは、その呪縛を解いていくための考え方をお伝えします。

「全部やらねば」を解く3つの問いかけ

自分の中に、「本当はこう思っている」という声を取り戻すために、次の3つを自問してみてください。

本当に私じゃなきゃいけないことは、どれですか?

毎日の介護の中には、ヘルパーさんでもできること、家族の誰かでもできること、お金で解決できることが、実は多く含まれています。

「全部自分でやらねば」と思っているタスクを紙に書き出して、「私じゃなきゃいけないもの」「他の人でもいいもの」に分けてみるだけで、肩の荷が軽くなります。

私が倒れたら、誰が一番困りますか?

答えは、介護対象者です。あなたが倒れたら、介護そのものが続けられなくなります。つまり、あなたの健康を守ることは、介護対象者のためでもあるんです。

自分を大事にすることに、罪悪感を感じる必要はまったくありません。

10年後の自分は、いまの自分に何と言うでしょう?

いま無理を重ね続けた先に、10年後のあなたは何を抱えているでしょうか。壊れた健康、壊れた家族関係、消えてしまった自分の人生。

それを10年後の自分が見たら、きっと「もっと早く助けを求めてほしかった」と言うはずです。

境界線の引き方|3つの軸で決める

「いい介護者の呪縛」から自由になるためには、具体的な境界線を引くことが有効です。

たとえば時間の境界線として、「夜9時以降は呼ばれても応じない」のように、自分の休息時間を明確に決めるのが第一歩。身体と心を回復させる時間を、あえて守る線として引いておきます。

内容の境界線は、「金銭管理は兄に任せる」「通院同行はヘルパーさんに頼む」といった形で、自分が抱え込まない業務を家族やサービスに振り分けていくイメージです。

そして感情の境界線は、一番大切かもしれません。「介護対象者の怒りは、病気からくるもので、自分が受け止めるものではない」と、心の中で線を引いておく。これだけで、毎日の消耗がずいぶん軽くなります。

境界線は、冷たさではありません。続けていくための「生活の技術」です。最初は罪悪感が出ますが、引いてみて数週間経つと、自分にゆとりが戻ってきて、かえって優しく接する余裕が生まれることに気づきます。

制度・サービスを使うのは「甘え」ではありません

訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタル、配食サービス。これらはすべて、介護者と介護対象者の生活を守るために国が用意している仕組みです。使うのに遠慮はいりません。

でも実際には、「デイサービスに預けるのは、見捨てるみたいで申し訳ない」「ヘルパーさんを頼むと、親戚に何を言われるか」と、心理的なブレーキがかかる方がとても多い。

私はそのたびに、こうお伝えしています。「使える仕組みを使って、あなたの心の余裕を確保することは、介護対象者にとっても一番幸せな選択です。疲れ切った家族の介護を受け続けるのは、介護対象者にとってもつらい時間です」

まずはケアマネジャーさんに、いま使えそうなサービスを全部洗い出してもらってください。組み合わせ方を工夫すれば、あなたの自由時間が確実に増えます。

家族関係を壊さないための、対話のヒント

同居介護を続けていくうえで、避けて通れないのが、家族との難しい会話です。気を遣って言えずにいた本音を、どう伝えたらいいのか。3つの場面ごとに、対話のヒントをお伝えします。

夫との温度差を埋める話し方

夫との温度差を感じたとき、つい「あなたは何も分かってない!」とぶつけてしまいたくなります。でも、怒りでぶつけると夫は身を守るモードに入り、会話が成立しません。

おすすめしたいのは、「事実+感情+お願い」の3点セットで話すことです。たとえばこんな風に。

「今日は朝から義母が5回呼んだ。正直、自分が透明になっていく感じがつらい。週末だけでも、1時間でいいから、あなたに代わってほしい」

事実で始まり、感情を素直に伝え、最後に具体的なお願いで締める。これは、夫を攻めるのではなく、自分の状態を共有する話し方です。

夫にも「自分ができることは何か」が明確になり、動きやすくなります。何度か繰り返すうちに、夫の中で「これは自分ごとだ」というスイッチが入ることがあります。

兄弟姉妹に「分担」を切り出す言葉

兄弟姉妹に分担を求めるのは、もっとも心理的ハードルが高い会話かもしれません。「今までやってきたのに、今さら文句を言うなんて」と、自分を責めてしまう方も多い。

でも、介護は長期戦です。不公平なまま走り切ることはできません。

おすすめは、感情ではなく「事実と時間」で話すことです。いま自分がどれくらいの時間を介護に使っているか(たとえば週20時間)、それを続けると自分の健康・仕事・家庭がどうなるか、そのうえで分担してほしい具体的な内容(月1回の通院同行、金銭負担を月◯万円など)。

この順番で整理して伝えると、相手も感情ではなく課題として受け取りやすくなります。

感情でぶつけると口論になりますが、「これくらいの時間と負担を、これからどう分けるか」という運営会議のように話すと、相手も応じやすくなります。応じない兄弟姉妹がいた場合は、ケアマネジャーさんや社会福祉士を同席させた「家族会議」の場を作る方法もあります。

介護対象者に「できないこと」を伝える

意外と難しいのが、介護対象者本人に「これはできません」と伝えることです。「今まではしてあげられたのに」と引け目を感じたり、「機嫌を損ねたら大変」と思って言えなかったり。

大切なのは、「できない」を責めるのではなく、「続けるためにどうするか」として伝えることです。

たとえば「私が倒れないように、夜の対応は明日から〇〇(ヘルパー)さんにお願いするね」「これを続けるために、週2日はデイサービスに通ってもらいたい」「私も体が一つしかないから、全部はできないの。だから一緒に工夫していきたい」。こんな形で、「あなたのためでもある」というニュアンスを添えるのがコツです。

介護対象者も、本当はあなたの疲れを感じ取っていることが多いです。正直に伝えることで、かえって関係が落ち着くケースも少なくありません。

第三者を頼る勇気が、同居介護を続ける力になります

同居介護の「抱え込み」から抜け出す最後のカギは、第三者を上手に使えるかどうかです。制度の使い方だけでなく、「心を預ける先」を複数持つことが、長期戦を乗り切る命綱になります。

ケアマネ・地域包括支援センターの「心理的な」使い方

ケアマネジャーや地域包括支援センターは、サービスの手配をしてくれる存在、と思われがちです。でもそれだけではありません。

家族会議の進行、介護の将来シナリオの相談、施設入居のタイミング判断、そして「介護者自身の状態」の見守りまで、守備範囲は広いんです。

相談に行くときは、遠慮なく、自分の困りごとを全部ぶつけてかまいません。「夫が協力してくれない」「兄が金銭負担を拒んでいる」「自分が眠れなくなってきた」。介護のプロは、家族の事情を含めて相談に乗るのに慣れています。

「こんな個人的なことを話していいんだろうか」とためらう必要はありません。あなたの状態を知っているかどうかで、ケアプランの組み方も変わってきます。

施設入居を「敗北」と思わないために

同居介護から施設入居へ切り替えることに、強い罪悪感を感じる方が多いのは、「一緒に住むと決めたのに、最後まで面倒を見られなかった」という気持ちからです。でも、この捉え方は少し変えてみてほしいんです。

施設入居は、「家族だけでは守れなくなった生活の質を、プロの力を借りて守る選択」です。実際、早めに施設に入ったほうが、本人にとっても穏やかに過ごせるケースは珍しくありません。

24時間、疲れた家族の世話を受け続けるのは、介護対象者にとってもプレッシャーになるからです。

施設の種類(特養・老健・有料老人ホーム等)や入居のタイミングは、ケアマネジャーと相談しながら情報を集めておきましょう。「選択肢として持っておく」ことと、「実際に入れる」ことは別です。持っておくだけで、気持ちにゆとりが生まれます。

カウンセラーに話すという選択肢

最後にお伝えしたいのが、カウンセラーに話すという選択肢です。制度のことを相談したいならケアマネジャー、法的なことなら弁護士、お金のことならファイナンシャルプランナー。それぞれのプロがいる中で、カウンセラーが担当するのは、「あなたの感情」です。

夫にも言えない、兄弟姉妹にも言えない、友人にも気を遣って言えない。でも、どこかで吐き出さないと、もう保たない。そんなときに、利害関係のないカウンセラーに話すという選択肢があることを、覚えておいてください。

話すだけで解決するわけではありません。でも、言葉にならなかった気持ちに名前がつく、整理する順番が見える、自分を責めなくていいんだと腹落ちする——そうした変化は、実際に起こります。

ひとりで抱え込んでいる時間が長いほど、話す効果は大きくなります。

たまお悩み相談室でも、同居介護でお疲れの方からの相談を、数多くお受けしてきました。「ここだけでは、本当のことを話していい」という場所を、持っておいてくださいね。

まとめ|同居介護で一番守るべきは、あなた自身です

長い記事になりましたが、最後にお伝えしたいのはシンプルです。

同居介護で一番守るべきは、介護対象者でも、家族全体でもなく、あなた自身の心と身体です。

あなたが壊れたら、介護そのものが続けられません。あなたが疲弊していたら、家族全体の空気が重くなります。あなたが自分を大事にすることは、わがままでも甘えでもなく、介護を続けるための必要条件なんです。

今日お伝えした内容を、最後にまとめておきますね。

  • 同居介護には「時間・空間・社会的理解」の3つの特有の重さがある
  • 壊れやすい5つの関係(自分・夫・兄弟姉妹・子ども・介護対象者)を意識する
  • 心が限界に近づくサイン(身体・感情・介護対象者への気持ち・家族関係)を見逃さない
  • 「全部やらねば」の呪縛を3つの問いで解いていく
  • 夫・兄弟姉妹・介護対象者との対話は「事実+感情+お願い」の形で
  • 制度・ケアマネ・施設・カウンセラー、第三者を頼る勇気が長期戦を支える

もしここまで読んで、「自分、限界が近いかもしれない」と感じられたなら、それはもう十分なサインです。次の一歩は、誰かに話すこと。ケアマネジャーでも、地域包括支援センターでも、信頼できる友人でも、私たちカウンセラーでもかまいません。

一人で抱え込まないで。あなたの声を聞かせてくれる場所は、ちゃんと用意されていますからね。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケース(法的手続き・医療判断・施設選びなど)は、必ず専門家(ケアマネジャー・医療機関・弁護士等)にご相談ください。



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