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『人を救う場所で、私が息を詰まらせている』やりがいある職場で人間関係に疲れた50代の葛藤

支援の裏側で渦巻く、冷たい空気

「お疲れ様です」 相談者の方を笑顔で見送り、スタッフルームの扉を開けた瞬間、さっきまでの温かい空気が嘘のように凍りついた。

デスクの島を隔てて、ヒソヒソと交わされる声。誰かが席を外せば、すかさず始まる品定めに似た陰口。私が自分の席につくと、不自然にピタリと会話が止む。その沈黙が、背中にじっとりと冷たい汗を伝わせた。

(また、私のことを言っていたのかもしれない……)

私はパソコンのモニターに視線を落とし、ただひたすらにマウスを動かした。キーボードを叩く音だけが、やけに大きく響く。

人を支援し、社会へと送り出す。そんな尊い仕事をしているはずの場所が、これほどまでに殺伐としているなんて。

働き始めて半年。専門職としての誇りを持って飛び込んだこの職場は、妬みや告げ口、足の引っ張り合いが日常茶飯事だった。誰もがそのギスギスした空気を「当たり前」として受け入れていることが、私にはどうしても理解できず、毎日のように心が削られていった。

誰にも言えない、息の詰まる帰り道

夜、最寄り駅からの暗い道を歩きながら、重いため息がこぼれた。 ポケットの中でスマホが震え、家族からの「夕飯どうする?」という無機質なメッセージが画面に光る。それに返信する気力すら、今の私には残っていなかった。

仕事自体には、確かなやりがいを感じている。今日面談したあの若い女性の、少しだけ前を向いた瞬間の表情を思い出すと、この仕事を辞めたくないと強く思う。

けれど、「職場の裏側で、自分はどんな目で見られ、何を言われているのだろう」という疑心暗鬼が、真綿で首を絞めるように私の息を奪っていく。

誰かに味方になってほしいわけじゃない。ただ、普通に、穏やかに仕事をしたいだけなのに。年齢を重ねてからの転職で、簡単には辞められないというプレッシャーも重なり、暗闇の中で一人、出口のない迷路を彷徨っているような孤独を感じていた。

私が「私」でいるための、小さな決断

帰宅し、誰もいないリビングで温かいハーブティーを淹れた。マグカップの温もりが、こわばった手のひらから少しずつ心を解かしていく。

ふと、水面に映る疲れ切った自分の顔を見て思った。 私は、誰のためにここで悩んでいるのだろうか?

私がいくら怯えても、他人の口を塞ぐことはできない。裏で何を言われているかなど、確かめようもないし、コントロールもできないのだ。他人の悪意に怯えて自分を見失うなんて、そんな馬鹿げたことはもう終わりにしよう。

陰でコソコソと他人を貶める人たちは、きっといつか、その毒で自分自身を滅ぼしていく。そんなものに、私の大切な時間や感情をすり減らして関わる必要はないのだ。

明日もあの冷たい扉を開ける。でも、もう無理に空気に馴染もうと縮こまるのはやめよう。 「私は、私の仕事に集中する。明るく、元気に、私の前にある責任を果たす」

そう心の中で呟くと、胸の奥につっかえていた黒い石が、少しだけ軽くなった気がした。 一人で抱え込まず、今の自分の本音を誰かに打ち明けて整理することができたら、もっと身軽になれるのかもしれない。まずは明日、真っ直ぐに背筋を伸ばして「おはようございます」と言うことから始めてみよう。

※本記事は、「たまお悩み相談室」に寄せられた相談をもとに、相談者の個人が特定されないよう変更を加えながら構成しています。

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