更年期うつかも…と感じたあなたへ｜性格のせいじゃない心と体の変化を東洋医学で読み解く

「最近、なんだか調子が悪いな」

「私、このままだと心が壊れてしまうかも」

そう感じて、このページを開いてくださったのかもしれませんね。

理由もなく気分が沈んだり、急に涙が出たり。そんな自分に「どうして私ばかり」と、責めてしまうことはありませんか？

安心してください。それは、あなたの性格が弱いからでも、頑張りが足りないからでもありません。

今のその不調は、更年期の「ゆらぎ」による体と心からの大切なサイン。体が休息を求めている合図と捉えることができます。

まずは、今の自分の状態を知ることから始めましょう。

更年期うつ？最近こんな変化はありませんか

誰にも言えない心のSOS。それは、周りから見たら些細なことかもしれません。でも、あなた自身にとっては非常に辛い変化ですよね。

ここでは、優しくそのサインを読み解きます。

理由もなく気分が沈む・涙が出る

急に不安に襲われたり、テレビCMを見て涙が止まらなくなったり、理由もなく憂鬱な気分から抜け出せなくなったり。

昨日まで平気だったことが、急に心の重荷になってのしかかってくる。こんな経験が増えていませんか？

「どうしてこんなことで泣いているんだろう」「私、病気なのかな」と自分を責めてしまう必要はありません。

仕事のミスが増えた、集中力が続かない

集中力の低下や記憶力の衰えは、仕事や家事において大きなストレスになります。

「私ってこんなにダメだったかな」と自己肯定感が下がってしまう原因にもなるでしょう。

ミスが増えてしまうのも、更年期のゆらぎによって体が休息を求めているサインの一つとして考えられます。

能力が落ちたと決めつける必要はありません。

朝起きるのがつらく、何もしたくない

ベッドから起き上がるのが億劫で、理由もなく「今日はすべてを休みたい」と感じる日が増えていませんか。

こうした変化は、心のエネルギー切れではなく、自律神経の乱れからくる可能性があります。

体が疲れ切っていて、脳が休息を要求している状態なのです。

「うつ」と「更年期」の違いに悩む女性が増えています

更年期の時期に、うつのような症状に悩まされる女性は少なくありません。

しかし、その区別をつけようと悩むことが、またさらなるストレスになってしまうことがあります。

病名がつくのが怖くて誰にも相談できない

「もし本当にうつ病と診断されたらどうしよう」

「更年期障害だと認めるのは、なんだか負けた気がする」

そう考えて、誰にも相談できず、一人で症状を抱え込んでしまう方が多くいます。

でも、病名をつけることが目的ではありません。大切なのは、今あなたが感じている「辛さ」を、どうしたら和らげられるかを知ることです。

更年期＝老化というイメージがブレーキになる

更年期と聞くと、「老化」や「閉経」といった言葉が連想され、まだ自分には早い、認めたくない、と感じてしまう方もいます。

しかし、更年期は単なる老化ではありません。

女性の体が、次のステージへと移行する大切な変化の期間です。この変化をスムーズに進めるために、体がサインを出しているのです。

我慢を続けてしまう人ほど気づきにくい

周りへの配慮を欠かさない、責任感が強い、真面目な「頑張り屋さん」ほど、自分の不調に気づきにくい傾向があります。

「みんな頑張っているんだから」「私が我慢すれば丸く収まる」と、つい無理をしてしまう。

そして、気づいたときには心と体のバランスが大きく崩れてしまっていることが多いのです。

あなたの頑張りは、もう十分すぎるほどです。

更年期に「うつのような症状」が起こる理由

なぜ、更年期に心の不調が起こりやすくなるのでしょうか。

この現象を、体の仕組みと東洋医学の視点から解説していきます。

ホルモンバランスの変化と自律神経の乱れ

更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少し始める時期です。

このエストロゲンは、実は心の安定を保つ自律神経をコントロールする脳の部位にも大きく関わっています。

ホルモンの分泌がゆらぐことで、自律神経も影響を受け、まるでシーソーのようにバランスを崩しやすくなるのです。

自律神経が乱れると、交感神経（興奮・活動）と副交感神経（リラックス・休息）の切り替えがうまくいかなくなります。

その結果、夜眠れないのに朝起きられない、動悸のような感覚や不安感が強まるなど、心と体の不調が重なって現れることがあります。

感情をコントロールしにくくなる体の仕組み

更年期におけるホルモンの変動は、気分を安定させる脳内物質の働きにも影響を与える可能性があります。

そのため、ちょっとしたことでイライラしたり、急に悲しくなったりと、これまで経験したことのない感情のアップダウンを感じやすくなります。

これは、あなたが感情的な人になったのではなく、体の内部の調節機能が一時的に不安定になっているためです。

医学的に見ても珍しいことではありません

この時期に心身の不調を経験することは、医学的に見てもごく一般的なことです。

不安を感じるのは当然であり、特別なことではありません。

大切なのは、「こんなことで」と自分を責めず、「ああ、今、私の体が変化しているんだな」と受け止め、優しくケアを始めることです。

東洋医学から見た「更年期うつ」の正体

東洋医学には、病名はありません。あるのは、その人の心と体がどのようなバランス状態にあるか、という「証（しょう）」という考え方です。

ここからは、東洋医学の視点から今の状態を読み解いてみましょう。

「気」が不足すると心が沈みやすくなる

東洋医学では、人の体は「気（き）」「血（けつ）」「水（すい）」という3つの要素で成り立っていると考えます。

このうち、「気」は生命活動のエネルギーであり、心の元気の源でもあります。「やる気」や「元気」という言葉にも使われますね。

更年期のゆらぎや過度な頑張りによって「気」が消耗し、「気虚（ききょ）」という状態になると、次のような症状が現れます。

• 体がだるい、疲れやすい
• 理由もなく気分が沈む
• 朝、起きるのが辛い

これは、エネルギーが不足し、体が「もう休んで！」と悲鳴を上げている状態です。

特に頑張りすぎる女性は、この「気」を使い果たしてしまう傾向があります。

「気」が足りなくなると、些細なことでも物事をネガティブに捉えてしまいがちですが、これは気のバランスの問題であって、あなたが根暗になったわけではありません。

体を動かすことで、自然と「気」の流れが整うことも多くあります。

「血」の巡りと感情の深い関係

「血（けつ）」は、体を養い、心を安定させる栄養素を含んだ血液全体を指します。

東洋医学では、心が落ち着く場所は「血」の中にあると考えます。

「血」の巡りが悪くなったり、量が不足して「瘀血（おけつ）」や「血虚（けっきょ）」の状態になったりすると、次のような心の不調が強く出やすくなります。

• 些細なことでイライラする
• 感情の起伏が激しくなる
• 不安感が高まる
• 不眠

この時期に起こる感情の不安定さは、決してあなたの心の弱さではなく、「血」のバランスが崩れたことによる影響が大きいのです。

特に女性の場合、ホルモンの変動と「血」の関わりは深く、体の冷えや血流の悪さが「血」の滞り（瘀血）を招き、イライラや不安を増幅させている可能性も考えられます。

これは性格ではなく体のバランスの問題

更年期の時期に「うつのような症状」が現れるのは、「気・血・水」のバランスが乱れ、心と体を調整する「五臓（ごぞう）」の働きが弱っているサインです。

• 肝（かん）：自律神経と感情のコントロール
• 心（しん）：精神活動と血の巡り

特に「肝」や「心」といった東洋医学の考え方での臓器の働きが影響を受け、体全体が休息を求めている状態なのです。

「私は心が弱いから」「性格がネガティブだから」と、自分を責めていませんでしたか？

そうではありません。これは、体のバランスが崩れているという物理的な問題であり、整えていくことで、気持ちが和らいでいく可能性があります。

東洋医学的な視点を持つことで、「治さなければ」という焦りから解放され、「整えればいいんだ」という、穏やかな気持ちでご自身の体に向き合えるようになりますよ。

自分を責めてきたあなたに知ってほしいこと

長い間、頑張ってきたあなたに、たま先生から心から伝えたいことがあります。

「弱いから」ではなく「変化の途中」なだけ

今の不調は、あなたが「弱いから」ではありません。むしろ、これまでの生活を「頑張りすぎた」結果、体が一時的にバランスを崩し、「大きな変化の途中」にあるだけなのです。

この変化を、老化としてではなく、「新しい自分に生まれ変わるための準備期間」だと捉え直してみましょう。

体がサインを出している今こそ、これまで後回しにしてきたご自身へのケアを優先するべき時です。

頑張り屋さんほど症状が強く出やすい理由

真面目で責任感が強く、「休むのが苦手」な頑張り屋さんほど、体に無理をさせてしまいがちです。

不調のサインを無視して、心と体をギリギリまで酷使してしまうため、いざゆらぎが始まったときに、その反動で症状が強く出やすくなってしまうのです。

あなたはこれまで、誰にも頼らず、よく頑張ってきました。

これからは、頑張る方向を「誰かのため」から「自分の体と心を労るため」に変えていく、そんな意識を持ってみてください。

気づいた今が、整え直すタイミング

不調に気づいたことは、後退ではなく、前進の証です。「何かがおかしい」と自分で気づけたことは、自分を大切にするための最初のステップです。

今こそ、心と体を整え直す大切なタイミング。自分を責める時間を、自分をケアする時間に変えていきましょう。

東洋医学では、体と心は切り離せないものと考えます。

例えば、ゆっくりと呼吸を意識しながら簡単なストレッチをするだけでも、血流が促され、自律神経のバランスが整いやすくなることで、心の不安感が和らぐと感じる方もいます。

まずは、日常の小さな行動から、「自分を大切にする時間」を増やしていきましょう。

更年期うつかもしれない…と感じたら最初にやること

「早くこの辛さを何とかしたい」と思うのは当然です。

しかし、対策を講じる前に、まず一番大切なことがあります。

診断や治療の前に、今の状態を把握する

「何をしたらいいかわからない」と焦る気持ちはわかります。

しかし、闇雲にサプリメントを試したり情報を集めたりする前に、まずはあなたの現状を客観的に把握することが心の安定と正しいケアの第一歩です。

今、あなたに起きている不調が、更年期によるゆらぎの影響なのか、どの程度なのかを知ることで、「対処すべきことが明確になる」という安心感が生まれます。

感覚ではなく“数値”で自分を客観視する意味

辛い気持ちや体の不調は、どうしても感覚的になりがちです。

感覚だけを頼りにすると、「昨日は平気だったのに」「気のせいかな」と、自分を疑ってしまい、かえってストレスが増してしまいます。

そこで、あなたの不調を数値として客観視することが重要になります。

数値で見ることで、「私はこれだけ辛いんだ」という事実が明確になり、ご自身を肯定的に受け入れる助けになるでしょう。

また、数値という明確な基準を持つことで、今後のケアを行う上での目標設定がしやすくなるというメリットもあります。

一人で、誰にも知られずに確認できる方法

周りに相談できない、病院に行くのはまだ怖い、と感じている方も多いでしょう。

まずは、自宅で一人、誰にも知られずに、今の状態を知るためのセルフチェック（目安）を試してみませんか。

このセルフチェックは、医学的な診断ではありません。あくまで「今のあなたの状態を知るための目安」として、ご自身の心と体の変化に優しく気づいてあげるためのツールです。

まとめ：客観的な把握こそが、正しいケアの第一歩

今日、この記事を最後まで読んでくださったあなたは、ご自身の心と体の声に真剣に向き合い始めた、とても勇敢な方です。

繰り返しますが、今感じている辛さは、あなたの性格や心の弱さのせいではありません。更年期のゆらぎという、誰もが通りうる大切な変化のサインなのです。

自分を責めず、どうか優しくご自身を受け入れてください。

そして、そのケアの第一歩として、まずは今のあなたの状態（更年期レベル）を客観的に把握することから始めましょう。