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「キレやすい」自分が怖いあなたへ。更年期のイライラは「性格」ではなく「脳のSOS」です

「なんであんな言い方しちゃったんだろう……」

家族のちょっとした言動に瞬間的にキレてしまい、あとからトイレやお風呂で一人、自己嫌悪に陥ることはありませんか?

今までなら笑って流せたことが許せない。そんな自分を「性格が悪くなった」「我慢が足りない」と責めないでください。

そのイライラは、あなたの性格のせいではありません。体が大きな変化を迎える中で起きている「脳と体の誤作動」のです。

まずは、今のあなたの体がどのような状態にあるのか、客観的な数値を知ることから始めましょう。自分を責めるのは、それからでも遅くはありませんよ。

たま先生

たま先生(中森 万美子)

「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。

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そのイライラや不調、
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どうしてこんなにキレやすいの?止まらないイライラの正体

「私、こんなに怒りっぽい人間じゃなかったはずなのに」

そう感じている時点で、今の状態は「本来のあなた」ではありません。

この章では、なぜ今、これほどまでに感情のコントロールが難しくなっているのか、その心理的な背景から紐解いていきましょう。

些細なことで爆発…「私、性格が悪くなった?」という誤解

子供が飲み物をこぼした、夫が脱いだ靴下をそのままにしている、職場の部下がまた同じミスをした……。

日常のほんの些細な出来事に対し、まるで雷が落ちたような怒りが湧き上がってしまう。そして爆発した後、「私、更年期おばさんみたいで嫌だ」と深く落ち込んでしまう。

もし今、あなたがそんな風に苦しんでいるなら、これだけは伝えさせてください。

「後悔して苦しんでいるのは、あなたが本来、とても優しくて責任感の強い人だから」です。

性格が悪くなったのでも、愛情がなくなったのでもありません。

ただ、今まで無意識にできていた「感情の処理」が、体の変化によって追いつかなくなっているだけなのです。

アンガーマネジメントが効かないのは「脳のブレーキ」が故障中だから

よく「イライラしたら6秒数えましょう」といったアンガーマネジメントの話を耳にしますよね。

でも、「その6秒が待てないから困ってるんじゃない!」と叫びたくなったことはありませんか?

実は、更年期世代(プレ更年期を含む)のイライラに対して、精神論や根性論での対処は非常に困難です。なぜなら、これは心の持ちようの問題ではなく、物理的な「脳のブレーキ機能」のトラブルだからです。

自分をコントロールできないのは、あなたが未熟だからではありません。

体の内部で起きている変化に、脳がパニックを起こしている状態なのです。

【西洋医学】女性ホルモンの減少が招く「脳のパニック」

では、具体的に体の中で何が起きているのでしょうか。

まずは西洋医学の視点から、ホルモンと脳の関係を見ていきましょう。ここを知るだけで、「私のせいじゃなかったんだ」と納得できるはずです。

幸せホルモン「セロトニン」不足によるメンタルの揺らぎ

女性の体を守ってくれているホルモン「エストロゲン」

実はこのエストロゲンは、脳内で「セロトニン(幸せホルモン)」という物質の分泌を助ける重要な役割も担っています。

セロトニンは、心の安定や安らぎをもたらす精神安定剤のような物質です。

しかし、更年期(閉経の前後5年、計10年間ほどの期間)に入りエストロゲンが急激に減少すると、それに連動して脳内のセロトニンも不足してしまいます。

つまり、今のあなたは「天然の精神安定剤が切れてしまった状態」で、必死にストレスと戦っているのです。イライラしてしまうのは、脳の仕組み上、とても自然な反応なんですよ。

根性論はNG!今のあなたは「ブレーキオイルが切れた車」

この状態を車に例えてみましょう。

これまでのあなたは、ブレーキオイル(ホルモン)が十分に入った車に乗っていました。だから、イライラという坂道でも、ブレーキを踏めば(我慢すれば)止まることができました。

しかし今は、そのブレーキオイルがほとんど空っぽの状態です。

どんなに運転技術(精神力・根性)があるドライバーでも、ブレーキオイルが入っていない車を止めることはできませんよね?

今のイライラを気合で止めようとするのは、整備不良の車を無理やり運転しようとしているのと同じこと。

あなたが悪いのではなく、「体のメンテナンスが必要ですよ」というサインが出ているだけなのです。

【東洋医学】更年期にキレやすいのは、体が「火事」になっているから

私の専門である東洋医学(中医学)の視点からも解説しましょう。

東洋医学では、心と体はつながっていると考えます。イライラの原因は、体の中を巡る「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスの乱れにあると捉えるのです。

思考より先に言葉が出るのは「気逆(きぎゃく)」のせい

東洋医学には「気逆(きぎゃく)」という言葉があります。

生命エネルギーである「気」は、本来であれば体の上から下へと穏やかに巡るものです。しかし、ストレスや体の変化によってバランスが崩れると、気が急激に頭の方へ逆流してしまいます。

これが「頭に血が上る」状態です。

気がすごい勢いで上昇するため、大脳で「これを言ったら相手が傷つくかな?」と理性が考えるよりも先に、口から衝動的な言葉(怒り)が飛び出してしまうのです。

これは体のエネルギーの流れの問題なので、一度起きてしまうと意志の力で抑え込むのは非常に困難です。

潤い不足で「肝(かん)」がオーバーヒートしています

また、東洋医学で感情のコントロールや自律神経を司るのは「肝(かん)」という臓腑です。

この「肝」は、たっぷりの血液と水分で潤されているときには穏やかに働きますが、乾燥すると熱を持って暴走しやすくなる性質があります。

更年期世代の女性は、加齢とともに体内の潤い(血・水)が不足しがちです(これを「陰虚(いんきょ)」と呼びます)。

つまり、今のあなたの体は、乾いた薪(まき)のように火がつきやすい状態。

  • 潤い不足(陰虚)= ブレーキが効かない
  • 肝の高ぶり(肝火)= アクセル全開

この状態で、ちょっとした火種(ストレス)が飛んでくれば、一瞬で燃え上がってしまうのは当然のこと。

あなたが「キレやすい」のは、体の中で「ひとりボヤ騒ぎ」が起きているからなんです。決して性格のせいではありませんよ。

自分を責めるのはもう終わり。イライラを手放すための第一歩

ここまで読んで、「私の体の中で、そんな大変なことが起きていたなんて」と驚かれたかもしれません。

そう、あなたは今まで、武器も防具も持たずに、たった一人で「体の変化」という強敵と戦っていたのです。これ以上、自分を責める必要はありません。

性格を直す必要はありません。必要なのは「体のケア」だけ

「性格を変えなきゃ」「もっと寛大にならなきゃ」

そう思って努力してこられたことでしょう。でも、今必要なのは心の修行ではなく、「体のケア」です。

不足している潤いを補い、上にのぼった気を下ろしてあげる。

東洋医学的なアプローチで体のバランスを整えてあげれば、自然と心に余裕が生まれ、「あ、今の私、穏やかだな」と思える瞬間が増えていきます。

体が楽になれば、心は勝手についてきます。

元の優しいあなたに戻るために、無理な努力はいらないのです。

更年期は「老化」ではなく、体が生まれ変わる「準備期間」

「更年期」という言葉に、なんとなく「老化」「女性としての終わり」といったネガティブなイメージを持っていませんか?

だからこそ、不調があっても認めたくないし、誰にも相談できずにいる方がとても多いのです。

でも、私たち鍼灸師はこう考えます。

更年期とは、毎月の月経という重労働から解放され、自分のためだけにエネルギーを使えるようになる「第二の人生」への準備期間だと。

今はその切り替え工事の真っ最中だから、騒音(不調)が出るのは当たり前。

この期間にしっかりと自分の体と向き合い、メンテナンスをしてあげることで、その後の人生が驚くほど健やかで楽しいものになります。

まずは1分、今のあなたの「隠れ更年期度」をチェックしてみましょう

「私のイライラは、体のサインだったんだ」

そう気づくだけでも、少し肩の荷が下りたのではないでしょうか。

ただ、体の中で起きている「火事」や「ブレーキオイル切れ」がどの程度のレベルなのかは、人によって異なります。

本格的なケアを始める前に、まずはご自身の現状を把握することが大切です。

原因がわかれば、対策が見えて心がフッと軽くなります

「病院に行くほどではない気がする」

「更年期外来なんて、なんだかハードルが高い」

そう思うのは当然です。いきなり病院に行く必要はありません。

まずは、ご自宅で誰にも知られずに、今のあなたの心と体の状態をチェックしてみませんか?

漠然とした不安は、形が見えないから怖いのです。

「今の私のイライラ指数はこれくらい」「体の潤い不足度はこれくらい」と数値化してあげるだけで、不思議と「なんだ、対策すればいいだけか」と心が落ち着くものです。

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スマホで簡単な質問に答えるだけ。1分もあれば終わります。

「最近、自分が自分じゃないみたいで辛い」

そう感じているなら、まずは一度、体の声に耳を傾けてあげてください。

今のあなたの状態を知ることが、笑顔を取り戻す最初の一歩になりますよ。

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