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毒親から逃げてもいいんです|カウンセラーが整理する3段階の距離の取り方

「毒親 逃げる」と検索窓に打ち込んだあなたは、いま、どんな夜を過ごしているでしょうか。

実家から帰った帰り道、もう二度と戻りたくないと泣きながら歩いた。電話の着信音が鳴っただけで動悸がする。「もう限界」「誰にも言えない」「自分が消えていく気がする」。そんな声にならない悲鳴を、ずっと一人で抱えてこられたのではないでしょうか。

最初にお伝えしたいことがあります。あなたが親から逃げたいと思うのは、あなたが薄情だからでも、わがままだからでもありません。あなたを大切に扱ってくれない関係から距離を取ろうとするのは、自分を守ろうとする本能的で正しい反応なんです。

この記事は、家出マニュアルでも法律解説書でもありません。カウンセラーの立場から、「逃げる」を心理的・物理的・社会的の3段階に分けて整理し、年齢ごとの現実的な道筋、公的支援の使い方までをじっくりお伝えしていく場所です。

読み終わったとき、「逃げてもいいんだ」と少しだけ息がしやすくなっていたら、うれしく思います。

目次

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この記事の監修者
たま先生(中森 万美子)
たまお悩み相談室 代表カウンセラー
たま先生(中森 万美子)

年間500件以上のお悩みに寄り添うカウンセラー。解決を押しつけるのではなく、ご相談者様にとって「心を整える場所」となることを目指したサポートを行っている。SNS総フォロワー数は4万人を超え、著書『40歳からの幸せの法則』の執筆や、FM845のラジオパーソナリティ、大学やカルチャーセンターでの講師など幅広く活動中。

毒親から逃げたいと思うのは、あなたが弱いからではありません

「親から逃げたい」と思う気持ちを、あなたは長いあいだ自分で押し殺してきたかもしれません。「育ててもらった恩があるのに」「世間ではもっと大変な人もいるのに」と、自分のほうを責めてしまう方は、本当にたくさんいらっしゃいます。

でも、その自責こそが、毒親と呼ばれる関わり方の中で長年すり込まれてきた「呪い」なんです。まずは、その呪いをそっとほどくところから始めていきましょう。

「逃げる」は「逃げ」ではなく「自分を守る」ことなんです

日本語の「逃げる」という言葉には、どこか後ろ向きで卑怯な響きがついてまわります。「逃げずに向き合うべきだ」「逃げたら負けだ」という空気が、社会のあちこちにあります。

でも、毒親との関係においては、その言葉づかいが間違いなんです。心理学の世界では、自分を傷つける環境から離れることは「離脱(withdrawal)」や「自己保護」と呼ばれ、回復の出発点として位置づけられています。

火事の家から走って出る人を、「逃げ」だと責める人はいませんよね。毒親のいる家から距離を取ることも、それと同じくらい当然の自己保護なんです。

「逃げる」を「自分を守る」と言い換えてみてください。それだけで、胸のあたりが少し軽くなりませんか。

「逃げたい」と思った時点で、もう限界が近いサインです

カウンセリングでお話を聞いていると、「逃げたい」と口に出せるようになるまでに、何年、ときには何十年とかかる方が少なくありません。

それまでは、「もう少し頑張れば分かってもらえるかも」「自分が変われば関係はよくなるかも」と、自分のほうを変えようとし続けてきた時間があるんです。

その長い時間を経て、ようやく「逃げたい」という言葉が出てきたとき、あなたの心と身体は、もう静かに限界を超えかけているサインなんですよ。

実家から帰ると数日体調を崩す、親の声を思い出すだけで動悸がする、夜眠れない、感情が湧かない。これらはすべて、心と身体が「これ以上は無理」と訴えている証拠です。

「逃げたい」を「まだ大丈夫」と打ち消し続けると、あるとき急に立ち上がれなくなります。逃げたいと思ったその瞬間が、動き出す合図なんです。

「親を見捨てる罪悪感」をひとまず脇に置いてください

ここまで読んでくださっても、「でも親を見捨てるなんて」という罪悪感が残っている方は多いと思います。

その罪悪感は、毒親と呼ばれる親が長年にわたってあなたに植え付けてきたものでもあります。「あなたがいないと私は生きていけない」「親不孝者」「育ててやった恩を忘れたのか」。こうした言葉を浴び続けてきた人ほど、自分を守ることに罪悪感を覚えるようになっています。

ここで一つ問いかけてみてください。あなたが、自分の大切な友人から「親から逃げたい」と打ち明けられたら、なんと声をかけるでしょうか。

おそらく「逃げていいよ、自分を守って」と言うはずです。あなたが自分自身に対しても、それと同じやさしさを向けていいんです。

罪悪感を完全に消す必要はありません。「いま、ひとまず脇に置いておく」だけで十分です。罪悪感を抱えたままでも、人は逃げていいし、距離を取っていいんですよ。

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「逃げる」は3段階で考えると整理しやすいんです

「逃げる」と一言で言っても、その中身は実はいくつかの層に分かれています。一気に全部やろうとすると挫折しますし、必要以上に大きな決断に感じて動けなくなる方も多いんです。

ここでは、私がカウンセリングで使っている「3段階の距離の取り方」をご紹介します。今のあなたがどの段階にいて、次にどこを目指せばいいのか、整理してみてください。

第1段階・第2段階・第3段階の全体像

逃げ方は、大きく次の3つに分けて考えると見通しが立ちやすくなります。

第1段階は「心理的距離」です。物理的にはまだ親と接触していても、心の中で親と自分を切り離していく段階。これは、いますぐ今夜からでも始められる、いちばん最初の一歩なんです。

第2段階は「物理的距離」です。家を出る、別の住所に移る、住居の住所を親に教えない。物理的に親の手の届かない場所に身を置く段階です。経済的な準備が必要になるので、ここは年齢や状況に応じて段階を踏みます。

第3段階は「社会的距離」です。連絡先を変える、SNSをブロックする、親族を経由した接触も遮断する。場合によっては警察や弁護士を介在させる、もっとも徹底した遮断の段階です。

すべての人が第3段階まで進む必要はありません。第1段階だけで楽になる人もいますし、第2段階で十分な人もいます。あなたに必要な距離は、あなた自身が決めていいんです。

一気にやろうとしないでほしいんです

毒親から逃げたいと思ったとき、つい「全部いっぺんに」と考えてしまう方がいらっしゃいます。今日中に家を出て、連絡先を変えて、もう二度と会わない、と。

その勢いが必要な瞬間も確かにあります。命の危険があるDVや虐待の状況なら、一気に動くのは正しい選択です。

でも、多くのケースでは、一気にやろうとすると逆に動けなくなります。準備が足りないまま家を出て、お金が尽きて戻ってしまうケース、勢いで連絡を絶ったあと罪悪感に押しつぶされて元に戻ってしまうケース。

カウンセリングの現場では、「3段階のうち、いまできる一つ」を選んでいただくことを大切にしています。まず心理的距離だけ取ってみる、それで何ヶ月か様子を見る、次に貯金を始める、というように。

逃げることは、短距離走ではなく長距離走なんです。

あなたの「逃げる優先度」を決める3つの問い

3段階のどこから取り組むかを決めるために、次の3つを自問してみてください。

一つ目は、「いま身体に危険があるかどうか」です。暴力、性的な侵害、生活費を取り上げる経済的支配、命に関わる暴言。これらがあるなら、第1段階を飛ばして第2段階・第3段階を急いでください。命の安全が最優先です。

二つ目は、「親と接触したあと、どれくらい体調を崩すか」です。会ったあと数日で回復するなら第1段階の心理的距離から。1週間以上引きずる、明らかに身体症状が出るなら、物理的距離を視野に入れてください。

三つ目は、「自分の人生を進めるうえで、親が障害になっているか」です。結婚、就職、引っ越し、子育て。あなたが何かを決めようとするたびに親が口出ししてくる、邪魔をしてくるなら、社会的距離まで視野を広げる時期かもしれません。

正解は一つではないとよく言われますが、あなたの状況に合った正解は、あなたの中にちゃんとあるんです。

第1段階|心理的に距離を取る、そのための小さな練習

物理的にはまだ親の近くにいても、心の中で距離を取ることはいまから始められます。これは、何より先にやってほしい第一歩なんです。

心理的距離が取れていないまま家を出ても、頭の中で親の声が鳴り続けて、結局縛られたままになることもあります。心の中の親と、物理的な親を、別々に整えていきましょう。

親の言葉を「事実」と「感想」に分けてみる

毒親と呼ばれる関わり方の中で育つと、親の発した言葉がそのまま「自分についての事実」として刷り込まれていきます。「あなたはダメな子」「あなたは何もできない」「あなたが悪い」。これらが、まるで世界の真理のように心に張り付いてしまうんです。

でも、それらは事実ではなく、親個人の「感想」にすぎません。

たとえば、親から「あなたは料理もできない、家事もできない」と言われたとして、本当に何もできない人間など存在しません。それは「親の主観的な評価」であって、客観的な事実ではないんです。

紙に書き出してみるのもおすすめです。左に「親が言ったこと」、右に「事実かどうか」と分けて記録していく。これを数週間続けると、親の声が頭の中で響いたときに「あ、これは事実じゃなくて感想だ」と気づけるようになります。

親の感情と、自分の感情を切り分ける

毒親との関わりで疲弊する大きな理由の一つが、「親の感情をすべて自分の責任のように引き受けてしまう」ことなんです。

親が機嫌が悪い→自分のせいかもしれない。親が泣いている→自分がなぐさめなければ。親が怒っている→自分が謝らなければ。こうした自動反応が、長年のあいだに体に染みついてしまっています。

でも、親の感情は、最終的には親自身のものです。親の不機嫌は親が自分でなだめるべきもので、子どもが代わりに引き受ける必要はないんです。

頭の中で「これは親の感情、私のじゃない」とつぶやくだけでも、最初は強い違和感がありますが、続けていくと心の中に薄い壁ができてきます。その壁が、心理的距離の最初の輪郭になるんです。

「グレーロック」という距離の取り方

心理的距離を取りたいけれど、まだ物理的には会ったり連絡を取ったりせざるをえない方には、「グレーロック」という方法があります。

これは、毒親との会話で感情的な反応を一切返さず、灰色の岩のように退屈で平坦な対応に徹する技法です。

たとえば、親から「あなた最近冷たいわよ」と挑発されても、「そうなんだ」「うん」「そうかもね」と、感情のない短い返事だけを返す。怒りも泣きも反論もせず、ただ淡々と。

毒親と呼ばれる関わり方をする親は、子どもからの感情的な反応を「燃料」にしていることが多いんです。怒ってくれる、泣いてくれる、謝ってくれる。その反応があるから、コントロールしている実感が得られる。

その燃料を絶つことが、グレーロックの本質です。最初は親が逆に激しく感情をぶつけてくることがありますが、それを乗り越えると、不思議と接触の頻度が落ちていきます。

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第2段階|物理的に距離を取る、家を出るための準備

心理的距離だけでは追いつかない、もう同じ屋根の下にいられない。そう感じたとき、次に考えたいのが物理的距離です。

家を出ることは、人生で最大級の決断のひとつ。だからこそ、感情的な勢いだけでなく、現実的な準備を一緒に進めることが大切なんです。

お金の準備|まずは「生活防衛費」を可視化する

家を出るうえで、現実的にいちばん壁になるのがお金の問題です。「経済的に親に依存しているから出られない」というのは、相談現場でもっとも多く聞くお話の一つです。

最低限の目安として、当面の生活費の3ヶ月分から半年分は、自分名義の口座に確保しておきたいところです。家賃、食費、光熱費、通信費、交通費を合わせて、月12万円〜15万円が一つのラインだとすると、3ヶ月で40万円前後、半年で80万円前後ということになります。

「そんな額を貯められない」と感じた方も、いきなり全額を目指す必要はありません。まずは月1万円でも別口座に分けていく。親に通帳を握られているなら、ネット銀行で親に知られない口座を作る。給与振込先を自分の口座に変える。

少額でも、自分のお金が自分の手元にあるという事実が、心の安全基地になります。お金は、逃げる力の物理的な土台なんです。

住まいの準備|選択肢は思っているより多い

家を出ようとしたとき、「どこに住めばいいのか」で詰まってしまう方も多くいらっしゃいます。

選択肢は、想像よりたくさんあります。賃貸物件、シェアハウス、社員寮、UR賃貸(連帯保証人不要)、自治体の公営住宅、女性専用シェルター、母子生活支援施設(子育て中の方)、生活保護受給者向けの住居支援。

毒親から逃げる場合、特に重要なのが「住所を親に知られない」配慮です。住民票には「閲覧制限(DV等支援措置)」という制度があって、加害者が住所を調べられないようにすることができます。市区町村の窓口で申請すれば、親も含めて住民票の写しを取れなくなります。

詳細は次の章でお伝えしますが、女性相談支援センターや配偶者暴力相談支援センターは、住居の確保を含めて相談に乗ってくれる窓口です。「そこまで深刻じゃない気がする」と感じても、まず電話して話してみていいんですよ。

仕事の準備|「まず収入の柱を一本」から

経済的な独立を考えると、仕事は避けて通れません。すでに働いている方は、給与振込先を自分の口座に変えるところから始められます。

まだ学生や無職の方、専業主婦の方は、まず収入の柱を一本作ることが目標になります。フルタイム正社員でなくても構いません。最初はパート、派遣、在宅ワーク、なんでもいい。月数万円でも、自分名義の収入があるという事実が、自立の土台になります。

ハローワークには、生活困窮者向けの就労支援、シングルマザー向けの支援、職業訓練の制度があります。自治体によっては、ひとり親家庭の住居支援、就労支援も用意されています。

「自分の力ではどうにもならない」と感じたときは、自治体の福祉課、女性相談支援センターに電話して、状況を全部話してみてください。意外なほど多くの選択肢が用意されていることに気づくはずです。

第3段階|社会的に距離を取る、連絡と関係を整える

家を出たあとも、親からの電話、LINE、メール、親族を経由した接触が続くケースは少なくありません。物理的に離れただけでは、まだ完全に逃げきれていない状態です。

第3段階の社会的距離は、いちばん勇気のいる段階かもしれません。でも、ここまで来ないと心が休まらない方も、確かにいらっしゃるんです。

連絡手段の整理|段階的に絞っていく

連絡を完全に断つのは、最初から目指さなくて大丈夫です。段階的に絞っていく方が、心の負担も少なくて済みます。

最初は、電話に出る時間帯を限定してみる。次に、LINEだけ、メールだけ、と返信手段を絞る。さらに、月に一度だけ、年に数回だけ、と頻度を減らしていく。

完全に断つ必要があると判断したら、電話番号を変える、LINEをブロックする、メールアドレスを変える。SNSも、本名・写真・地名で検索されない設定に変える。

ここで大事なのは、「親に予告して断つ」必要はないということ。「ちゃんと話し合って分かってもらってから」と思うほど、毒親と呼ばれる関わり方の親は、話し合いを支配の機会に使ってきます。あなたが一方的に距離を取って構わないんです。

親族との関係をどうするか

親本人との接触を絶ってしまうと、次に問題になるのが、祖父母、おじ・おば、いとこ、兄弟姉妹など、親族からの「仲裁」です。

「お母さん泣いてるよ」「親だってもう年なんだから」「子どもなんだから歩み寄りなさい」。こうした連絡を介して、親が間接的にあなたにアクセスしてくるケースは本当に多いんです。

親族には、シンプルに伝えるのが一番です。「私は親と距離を取っています。理由は説明しません。親について連絡してこないでほしいです」。長く説明する必要はありません。

それでもしつこく仲裁してくる親族がいるなら、その親族とも距離を取る選択をしていいんです。あなたを大切に思ってくれる親族なら、あなたの決断を尊重してくれます。尊重してくれない親族との関係は、結局あなたを消耗させるだけです。

法的な保護を視野に入れる場合

ストーカー的な接触、勤務先への押しかけ、引っ越し先を突き止めての訪問、暴力や暴言の脅迫が続く場合は、法的な保護を視野に入れてください。

警察相談専用電話(#9110)に相談すれば、状況を聞いたうえで、警察として何ができるかを案内してくれます。緊急性が高いと判断されれば、警察から親へ警告を出してもらえることもあります。

弁護士を介しての「接触禁止の通知書」、家庭裁判所での調停、住民票の閲覧制限。法的な手段は、思っているより身近に用意されています。

「親を訴えるなんて」と抵抗を感じる方も多いと思います。でも、これは罰するためではなく、あなた自身の生活を守るための仕組みです。法テラス(日本司法支援センター)では、収入が少ない方向けに、無料法律相談や弁護士費用の立替制度も用意されています。

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年齢別に見る、逃げ方の現実的な道筋

「毒親から逃げる」と言っても、10代の高校生と、40代の既婚女性では、現実的にできることがまったく違います。

ここでは、年齢層ごとに「いま、いちばん現実的な逃げ方」を整理しておきます。

10代未成年|児童相談所・シェルターを最優先で

あなたが10代で、親と暮らすことが限界なら、いちばん優先してほしいのは公的な保護です。

児童相談所虐待対応ダイヤル(189|いちはやく)は、24時間つながる無料の電話番号です。「自分のことは虐待じゃないかも」と感じても、電話していいんです。

学校のスクールカウンセラー、保健室の先生、信頼できる先生に、まず話してみる。市区町村の子ども家庭支援センター、児童相談所に直接行く。一時保護という制度を使えば、親と離れた場所で安全に生活できます。

未成年が一人で家を出ると、補導や警察沙汰になりかねません。必ず、公的な大人を経由して、合法的に親と離れる経路を選んでくださいね。

20代未婚|経済的自立と一人暮らしの実現

20代の未婚の方は、就職と一人暮らしを通じて段階的に距離を取るのが、もっとも現実的なルートです。

実家から通っている場合、まず職場を変える、転勤を希望する、転職するなどで、物理的に通えない距離に勤務地を移すのが一つの手段。借り上げ社宅や社員寮のある会社を選ぶと、住居の問題も同時に解決します。

すでに一人暮らしをしている場合は、住所を親に知られない設定に変えていく段階です。住民票の閲覧制限、SNSの設定見直し、配送先の見直し(実家経由の郵便物を絶つ)。

「結婚して逃げる」を考える方もいらっしゃいますが、追い詰められた状態での結婚は、別の苦しさを生むことがあります。まず一人で立てる土台を作ってから、人生の次の選択肢を考えていく順番をおすすめします。

30代以降・既婚|家庭という「逃げ込み先」を守る

30代以降ですでに結婚されている方の場合、毒親から逃げるという課題は、「いま自分が築いている家庭を、親から守る」という形をとることが多くなります。

夫やお子さんと、毒親をどう関わらせるか。お正月や法事をどうするか。お子さんが祖父母から悪影響を受けないようにするには。これらは、夫婦で一緒に話し合って整える必要がある領域です。

「夫が事情を分かってくれない」というご相談もよく受けます。あなたの実家のことだから、夫はその深刻さがピンと来ないんです。手紙を書く、カウンセラーを交えて話す、夫に毒親関連の本を読んでもらう。少しずつ理解を共有していく時間が必要になります。

家庭が「逃げ込み先」として機能していれば、親との距離を取る決断も、心の支えがあるなかで進められます。逆に、家庭の中でも消耗しているなら、まずは家庭の中の関係から整える段階かもしれません。

40代以降・独身/離婚後|介護をめぐる距離の取り方

40代以降になると、毒親から逃げるという課題に「介護」という現実が重なってきます。

法律的には、子どもには扶養義務があります。ただしこの扶養義務は、自分の生活を犠牲にしてまで負うものではなく、「自分の生活に余裕がある範囲で」というのが原則です。

毒親であった親の介護を、あなたが直接担う必要はありません。ケアマネジャー、地域包括支援センター、施設介護、生活保護を活用して、あなたが直接接触しなくても親の生活が回る仕組みを作ることはできます。

「親不孝者と思われたくない」という気持ちは分かります。でも、長年あなたを傷つけてきた親に、最後の最後まで自分の人生を差し出す必要はないんです。介護の専門家、福祉の専門家、ケースによっては弁護士を介して、あなた自身を守る形で関わり方を整えていってください。

一人で抱えないでほしい、頼れる人と窓口があります

ここまで読んでくださって、「やることが多すぎる」「自分一人ではとても無理」と感じた方も多いと思います。

その感覚は、ごく自然なものです。毒親から逃げるという作業は、本来、一人で背負いきれる重さではありません。だからこそ、頼れる人と、頼れる窓口を組み合わせていくのが王道なんです。

公的な相談窓口を「最初の一本」に使う

公的な相談窓口は、無料で、匿名で、専門スタッフに話を聞いてもらえる場所です。「ここまで深刻じゃないかも」と思う段階で電話していいんです。

よりそいホットライン(0120-279-338)は、24時間無料で、家族・暮らし・心の悩みなど幅広いテーマに対応しています。何から相談していいか分からないとき、最初の一本として使いやすい窓口です。

女性相談支援センター(旧・婦人相談所)は、各都道府県に設置されている女性専門の相談機関です。住居の確保、シェルターでの一時保護、経済的自立の支援など、女性が安全に親元から離れるための具体的な支援に強いです。

配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008|はれれば)は、配偶者からのDV相談が中心ですが、家族からの暴力相談にも対応しています。

警察相談専用電話(#9110)は、緊急ではないけれど警察に相談したいことを聞いてくれる窓口です。ストーカー的な接触、執拗な押しかけがあるときに使えます。

児童相談所虐待対応ダイヤル(189)は、未成年が虐待を受けているときの最優先窓口です。

信頼できる第三者を一人見つける

公的窓口に加えて、もう一つ持っていてほしいのが「信頼できる第三者」の存在です。

友人、職場の先輩、配偶者、医師、カウンセラー、学校の先生、誰でも構いません。「親のことを話しても引かれない人」「あなたの気持ちを否定しない人」を、一人見つけてみてください。

「相談したら関係が壊れるかも」と心配される方もいますが、本当に信頼できる相手なら、あなたの話を受け止めてくれます。受け止めてくれない人は、その時点で「最初の一人」には向かないということです。

一人で全部抱えると、判断力が落ちて、選択肢が見えなくなります。「これでいいのかな」と確認できる相手がそばにいるだけで、逃げる作業の心の負担は半分以下になるんです。

カウンセラーを「逃げる作業の伴走者」として使う

毒親から逃げる過程では、思っていなかったほど深い感情が次々と出てきます。怒り、悲しみ、罪悪感、寂しさ、混乱。これらを一人で受け止めきるのは、本当に大変なことなんです。

カウンセラーは、あなたの感情を整理する伴走者として使っていただける存在です。「逃げる」という決断を批判せず、あなたのペースに寄り添って、心の中で起きていることを一緒に整えていきます。

カウンセリングは、特別な人だけが受けるものではありません。「自分一人では抱えきれないとき」に、誰でも使っていいリソースなんですよ。

まとめ|逃げることは、自分の人生を取り戻すことなんです

ここまで、毒親から逃げる方法を3段階に分けて、年齢別の現実、頼れる窓口までお伝えしてきました。情報量が多くて、頭が少しいっぱいになっているかもしれません。

最後に、いちばん大切なことだけ、もう一度お伝えしておきます。

逃げるのは、逃げではありません。あなたを傷つけてきた関係から自分を守ることは、人として当たり前にしていい選択なんです。

逃げ方には、心理的・物理的・社会的の3段階があります。一気に全部やる必要はなくて、いまのあなたにできる一つから始めていけば大丈夫です。

年齢や状況によって、現実的な逃げ方は変わります。10代なら公的保護、20代なら経済的自立、30代以降なら家庭を守りながら、40代以降なら介護をめぐる距離の取り方。あなたの状況に合った道筋が、必ずあります。

そして何より、一人で抱えないでください。よりそいホットライン、女性相談支援センター、配偶者暴力相談支援センター、警察相談、児童相談所、カウンセラー。頼れる場所は、思っているより多く用意されています。

逃げることは、終わりではなく、始まりです。親から距離を取った先に、あなたが自分のために使える時間と心の余白が広がっています。

「逃げる」と打ち込んだあなたの、その勇気のある一歩を、私はカウンセラーとして心から尊敬しています。あなたの人生を、あなたの手に取り戻していってくださいね。

緊急時・専門相談窓口

最後に、いつでも頼れる窓口をまとめておきます。スマホのメモにコピーしておくか、画面のスクリーンショットを撮っておいてくださると、いざというとき役に立ちます。

よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料) 家族・暮らし・心の悩み、幅広く対応する電話相談窓口です。

児童相談所虐待対応ダイヤル|189(いちはやく・24時間) 18歳未満の方、または18歳未満のお子さんに関する虐待相談の最優先窓口です。

女性相談支援センター|各都道府県に設置(地域名で検索) 女性専門の相談機関。住居・シェルター・経済的自立まで具体的な支援につながります。

配偶者暴力相談支援センター|DV相談ナビ #8008(はれれば) 家族からの暴力・支配的な関わり方の相談にも対応しています。

警察相談専用電話|#9110 ストーカー的接触、押しかけ、暴力・暴言の脅迫など、警察への相談窓口です。

法テラス(日本司法支援センター)|0570-078374 収入の少ない方向けの無料法律相談、弁護士費用の立替制度があります。

個別の状況については、医師、弁護士、ソーシャルワーカー、臨床心理士などの専門家にご相談ください。この記事はカウンセラーの視点による一般的な整理であり、個別の判断を保証するものではありません。

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