「今日も一日、何もできなかった……」
夕暮れ時、薄暗くなっていく部屋の中で、そんなふうに深いため息をついていませんか?
洗濯物は畳まれないまま山積みになっている。仕事のメールを返さなければいけないのに、どうしてもパソコンを開く気になれない。やりたいと思っていた趣味の道具には、もう何ヶ月も触れていない。
周りのみんなは当たり前のように仕事をして、家事をして、子育てをして、充実した毎日を送っているように見える。それなのに、自分だけが時が止まったように動けない。
「私はなんてダメな人間なんだろう」
「このままじゃ、誰からも必要とされなくなってしまう」
そんな焦りと不安で胸が押しつぶされそうになり、気づけば涙が溢れている……。もし今、あなたがそんな状態にあるのなら、まずはその震える肩をそっと抱きしめさせてください。
あなたは決して、怠けているのではありません。ダメな人間でもありません。
「何もできない自分が嫌い」と自分を責めてしまうその心は、これまであなたがどれだけ必死に、真面目に生きてきたかの証明なのです。

はじめまして、カウンセラーのたまです。
著書『40歳からの幸せの法則』でもお話ししていますが、私自身もかつて、積み上げてきたキャリアを失い、「私の人生には何もない」と絶望した夜を何度も過ごしました。だからこそ、今のあなたの苦しみが痛いほどよくわかります。
今日は、そんな動けない自分を責めてしまうあなたへ、心が少しでも軽くなるお話をさせてください。「何もしない」ことにも、実はとても大切な意味があるのです。

たま先生
『たま お悩み相談室』代表カウンセラー / 鍼灸師
『たま お悩み相談室』の代表として、夫婦関係・人間関係・人生の悩みなど、誰にも言えない気持ちに寄り添いながら、一人ひとりが“自分を大切にできる生き方”をサポートしています。
著書『40歳からの幸せの法則 ― 自分ファーストで心も時間も自由になる』
FM845にて10年以上、ラジオパーソナリティを務める
SNS総フォロワー数:3万人以上
Voicyにてラジオ配信中
- 1. なぜ「何もできない自分が嫌い」と自分を責めてしまうのか
- 1.1. 「生産性」=「人の価値」だと思い込んでいませんか?
- 1.2. 「ちゃんとしなきゃ」の呪いと、理想の自分
- 1.3. SNSで見える「キラキラした他人」との比較
- 2. たま先生の視点:「何もできない」は「休むべき時」のサインです
- 2.1. 心と体が「もう頑張れない」と悲鳴を上げている
- 2.2. 「何もしていない」のではなく「命を維持している」
- 2.3. 立ち止まることは、新しい自分に出会うための「余白」作り
- 3. 「自分には価値がない」という思い込みを手放す3つの法則
- 3.1. 法則1:自分をねぎらうことから全ては始まる
- 3.2. 法則2:「他人軸」を捨てて「自分ファースト」で選ぶ
- 3.3. 法則3:不完全な自分こそが、愛おしい自分
- 4. 今日から心が楽になる!自分を愛するための小さなステップ
- 4.1. ステップ1:1日1回、鏡の中の自分に声をかける
- 4.2. ステップ2:「できたこと」のハードルを極限まで下げる
- 4.3. ステップ3:「~しなきゃ」を1つだけ手放してみる
- 5. たま先生より:私も「空っぽ」で泣いていた夜がありました
- 6. まとめ:あなたはただ、そこにいるだけでいい
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なぜ「何もできない自分が嫌い」と自分を責めてしまうのか
そもそも、なぜあなたは「何もできないこと」に対して、これほどまでに罪悪感や嫌悪感を抱いてしまうのでしょうか。
「何もしていないなら、気楽でいいじゃない」と言う人もいるかもしれません。でも、当事者にとって、動けない時間は決して休息の時間ではなく、自分自身を責め続ける地獄のような時間ですよね。
その苦しみの根源には、私たちが長い時間をかけて刷り込まれてきた「価値観の歪み」や、40代女性特有の心の変化が隠れています。まずはその正体を、少し紐解いてみましょう。
「生産性」=「人の価値」だと思い込んでいませんか?
私たちは子どもの頃から、「何かをすること」で評価されてきました。
テストで良い点を取る、かけっこで一番になる、お手伝いをする、良い会社に入る……。「成果」を出すことで褒められ、認められてきた経験が、「生産性のある人間でなければ価値がない」という思い込みを強くしています。
特に社会に出ると、「仕事ができる」「効率が良い」「利益を生む」といった物差しで測られることが多くなります。家事においても、「美味しい料理を作る」「部屋を綺麗に保つ」といった成果が見えて初めて「ちゃんとした主婦」と認められるような気がしてしまうものです。
そうした「Doing(何かをすること)」に価値を置く生き方をしていると、体調不良や心の不調で動けなくなった途端に、自分の存在価値がゼロになったように感じてしまいます。
「誰の役にも立っていない私は、生きている意味がないのではないか」
そんな恐ろしい問いが頭をよぎるのは、あなたが「あなたであること(Being)」の価値を忘れてしまっているからかもしれません。
「ちゃんとしなきゃ」の呪いと、理想の自分
「何もできない」と嘆く人の多くは、実は理想が高く、とても真面目な方ばかりです。
頭の中には常に「理想の自分像」があります。
「朝は6時に起きて、栄養バランスの整った朝食を作るべき」
「仕事はバリバリこなし、笑顔で同僚をサポートすべき」
「休日はスキルアップのために勉強すべき」
そんな完璧な「ちゃんとした自分」を基準にしているため、今の自分を常に「減点法」で採点してしまいます。
本当は、朝起きられただけでも素晴らしいことなのに、「6時に起きられなかった(マイナス10点)」と捉える。コンビニのお弁当を買った自分を「自炊できなかった(マイナス20点)」と責める。そうやって減点を繰り返した結果、「私には何もできない」という結論に達してしまうのです。
著書でもお伝えしている通り、「ちゃんとしなきゃ」は自分自身でかけた呪いです。
「ちゃんとしていないと愛されない」「ちゃんとしていないと居場所がない」。そんな不安が、あなたを動けない状態に追い込んでいるのかもしれません。
SNSで見える「キラキラした他人」との比較
現代ならではの苦しみの原因として、SNSの存在も無視できません。
スマホを開けば、手作りの豪華な料理、家族との楽しそうな旅行、仕事での成功体験、美しく整った部屋の写真が次々と流れてきます。
それらは他人の人生の「ほんの一瞬」、しかも「最高に良く見えた瞬間」を切り取ったものに過ぎません。でも、心が弱っている時にそれを見ると、それが相手の「日常」であり「全て」だと思い込んでしまいます。
「あの人はあんなに頑張っているのに、私は一日中パジャマで過ごしてしまった」
「同い年のあの人はキャリアを築いているのに、私には何もない」
そうやって他人と自分を比較し、「私だけが取り残されている」という孤独感と無力感を深めてしまいます。この「比較グセ」こそが、あなたの自己肯定感を削り取る大きな要因なのです。
たま先生の視点:「何もできない」は「休むべき時」のサインです
ここで、視点を少し変えてみましょう。
「何もできない」という状態は、本当に悪いことなのでしょうか?
カウンセラーとしての私の視点、そして『40歳からの幸せの法則』の考え方に基づけば、それは決してネガティブなだけの状態ではありません。
むしろ、あなたの人生において必要不可欠な、大切なメッセージを含んでいるのです。
心と体が「もう頑張れない」と悲鳴を上げている
車はガソリンがなくなれば走れません。どんなに高性能なエンジンを積んでいても、燃料がなければピクリとも動かないのです。
今のあなたは、まさに「ガス欠」の状態です。
これまでの人生、あなたは本当に、本当によく頑張ってきました。仕事に、家庭に、人間関係に、気を使い、心をすり減らし、全速力で走り続けてきたのではないでしょうか。
「何もできない」のではなく、「もうこれ以上頑張れない」と心と体が悲鳴を上げているのです。
それは、あなたの防衛本能が正常に働いている証拠です。もしこのまま無理をして走り続けたら、心も体も壊れてしまうかもしれない。だから、強制的にブレーキをかけて、あなたを守ろうとしているのです。
動けない自分を責めるのは、ガス欠で止まった車に向かって「なんで走らないんだ!」と蹴りを入れるようなものです。それでは車は傷つくだけで、決して動き出しません。
今必要なのは、自分を叱咤激励することではなく、ただ静かにガソリン(休息と優しさ)を注いであげることなのです。
「何もしていない」のではなく「命を維持している」
あなたは今日、「何もしていない」と言いましたが、本当にそうでしょうか?
朝、目を覚ましました。
心臓を動かし続けました。
肺を使って呼吸をしました。
もしかしたら、お水を飲んだり、トイレに行ったりしたかもしれません。
「そんなの当たり前」と思うでしょうか。でも、それは決して当たり前ではありません。
あなたの体の中では、無数の細胞が片時も休まず働き続け、あなたという命を維持しています。精神的に辛い状況の中で、今日という一日を生き延びた。それだけで、ものすごいエネルギーを使っているのです。
著書の中で私は、「存在意義を創り出すことに必死にならなくていい」とお伝えしています。
「何かをしたから価値がある」のではありません。「ただ、ここにいる」。それだけで、あなたは十分に価値がある存在なのです。
赤ちゃんを見て、「何もできないから価値がない」とは思いませんよね。ただ笑って、泣いて、そこにいるだけで愛おしい。あなたも同じです。大人になったからといって、その命の価値が変わるわけではないのです。
立ち止まることは、新しい自分に出会うための「余白」作り
人生には、どうしても前に進めない「停滞期」があります。
でもそれは、何も起きていない無駄な時間ではありません。蝶がサナギの中で一度ドロドロに溶けて形を変えるように、あなたが次のステージへ進むための準備期間なのです。
忙しく動き回っている時は、目の前のタスクをこなすことに精一杯で、自分の本当の心の声を聞く余裕がありません。
強制的に立ち止まらざるを得ない今だからこそ、「本当はどう生きたかったんだっけ?」「私が本当に大切にしたいものは何?」と、自分の心と向き合うことができます。
著書では、この何もしない時間を「余白」と呼んでいます。
ぎちぎちに詰まったスケジュール帳には、新しい予定を書き込む隙間がありません。人生も同じです。一度立ち止まり、余白を作ることで、そこに新しい風が吹き込み、新しい幸せが入ってくるのです。
今の「何もできない時間」は、未来のあなたが新しく生まれ変わるための、神様がくれた「空白のプレゼント」だと捉えてみてください。
「自分には価値がない」という思い込みを手放す3つの法則
「休んでもいいと言われても、やっぱり自分が嫌い」
そう思う気持ちも痛いほどわかります。長年の思考のクセは、すぐには治らないものです。
そこで、著書『40歳からの幸せの法則』から、固まった心を解きほぐすための3つの法則をご紹介します。少しずつ、この考え方を心に馴染ませていってください。
法則1:自分をねぎらうことから全ては始まる
幸せになるための最初の一歩は、自分を「ねぎらう」ことです。
私たちは普段、他人には「おつかれさま」「大丈夫?」と優しい言葉をかけるのに、自分自身には「まだまだ」「もっとやれ」と厳しい言葉ばかり浴びせています。
「何もできなかった」と自分を責めそうになったら、言葉を書き換えてみてください。
「今日は体を休めるという大仕事をしたね」
「動けないほど疲れていたのに、よく耐えたね」
「今日も一日、生きていてくれてありがとう」
自分自身からのねぎらいは、枯れ果てた心に染み渡る栄養剤です。
誰かに認めてもらうのを待つ必要はありません。自分で自分を認めてあげる。その積み重ねが、空っぽになった自己肯定感のコップを少しずつ満たしていきます。
法則2:「他人軸」を捨てて「自分ファースト」で選ぶ
「何もできない」と焦るのは、「他人の期待」や「世間の常識」という「他人軸」で生きているからです。
「みんな働いているから、私も働かなきゃ」
「主婦なんだから、家事をしなきゃ」
その基準を一度、脇に置いてみましょう。そして、主語を「私」に戻すのです。
「私は今、どうしたい?」と自分に問いかけてみてください。
もし心が「休みたい」「何もしたくない」と言っているなら、それを叶えてあげることが、今のあなたにとっての正解です。
「今日は一日布団の中にいる」と、自分で決めて、自分のために選ぶ。
それは「サボり」ではなく、立派な「自分ファースト」の実践です。
自分の感情を後回しにせず、素直に選び取る。そうやって自分の願いを叶えてあげることで、「私は私のままでいいんだ」という感覚が戻ってきます。
法則3:不完全な自分こそが、愛おしい自分
完璧な人間など、この世に一人もいません。
仕事ができても料理が苦手な人がいる。社交的だけど片付けられない人がいる。
「できないこと」があるというのは、恥ずかしいことではなく、人間らしいということです。
著書でも触れていますが、自分の弱さや欠点を受け入れると、不思議と生きるのが楽になります。
「何もできない私」を認めるとは、降参することです。「私はスーパーウーマンにはなれませんでした! 助けてください!」と白旗を上げることです。
実は、あなたが「できない」ことは、誰かにとっての「助けてあげたい」という喜びになることがあります。完璧で隙のない人よりも、ちょっと抜けていて、弱さを見せてくれる人の方が、周りは親しみを感じ、愛したくなるものです。
不完全であることは、愛されるための「隙(スペース)」でもあります。できない自分を隠さず、そのままのあなたでいてください。
今日から心が楽になる!自分を愛するための小さなステップ
考え方を変えるといっても、いきなりポジティブになるのは難しいですよね。
ここでは、今日から家の中で、誰にも会わずにできる小さなステップをご紹介します。本当に小さなことで構いません。騙されたと思って、試してみてください。
ステップ1:1日1回、鏡の中の自分に声をかける
洗面所に行った時や、夜寝る前のスキンケアの時、鏡に映る自分の目を見てみてください。
疲れ切った顔をしているかもしれません。でも、その奥にいるあなた自身に向かって、心の中で、あるいは小さな声で、こう話しかけてみてください。
「〇〇ちゃん(自分の名前)、今日もよく頑張ったね」
「辛かったね。よしよし」
最初は恥ずかしいかもしれませんし、涙が出てくるかもしれません。それでも構いません。
鏡を使った対話は、客観的に自分を見つめ、自分を慈しむための強力なワークです。
「どんなあなたでも、私はあなたの味方だよ」と伝え続けてあげてください。
ステップ2:「できたこと」のハードルを極限まで下げる
「何もできない」と感じるのは、ハードルが高すぎるからです。ハードルを地面スレスレまで下げて、「できたこと探し」をしてみましょう。
- 布団から出た。→ すごい!
- 歯を磨いた。→ えらい!
- テレビを見た。→ 情報収集できた!
- 窓を開けて換気した。→ 素晴らしい!
- とりあえず生きてた。→ 100点満点!
冗談のように思えるかもしれませんが、脳は「できた」と認識することで喜びを感じ、次の活力を生み出します。
手帳やスマホのメモに、今日できた「当たり前のこと」を3つ書き出してみるのもおすすめです。一日の終わりに「私、意外といろいろやってるじゃん」と思えたら、こちらの勝ちです。
ステップ3:「~しなきゃ」を1つだけ手放してみる
あなたの心を圧迫している「やらなきゃいけないこと」のリストから、今日はあえて1つだけ、意図的に手放してみてください。
「今日は洗濯物を畳まない」
「今日はお風呂掃除をしない」
「今日は化粧をしない」
ポイントは、「できなかった」のではなく「やらないと決めた」と認識することです。
「私は今日、自分の休息のために、洗濯をしないことを選択しました」
そう宣言することで、あなたは状況に流される被害者ではなく、自分の人生をコントロールする主体者になれます。
「しなくても、世界は終わらなかった」。その体験が、あなたの心を縛る鎖を一つひとつ外してくれるはずです。
たま先生より:私も「空っぽ」で泣いていた夜がありました
偉そうなことを言っている私ですが、冒頭でもお話しした通り、かつては自分を責め続けていた一人でした。
30代半ば、職場の事情で退職を余儀なくされ、転職もうまくいかず、積み上げてきたキャリアがガラガラと崩れ落ちた時のことです。
「私の人生、一体どうなっちゃうんだろう」
「同級生は結婚して、子供もいて、仕事もしているのに」
一人暮らしの部屋で、将来への不安と、自分への失望で押しつぶされそうになり、毎晩のように泣いていました。自分を信じられなくなり、心の中が空っぽで、冷たい風が吹き抜けていくような感覚。
でも、そんな「空っぽ」の時期があったからこそ、私はふと立ち止まり、本当にやりたかったことを見つめ直すことができました。そして出会ったのが「鍼灸」であり、「心のケア」の世界だったのです。
あの時、無理に走り続けなくてよかった。立ち止まって、底まで落ち込んで、自分と向き合った時間があったからこそ、今の「幸せな私」がいます。
だから、あなたも大丈夫。
今の「何もできない」という苦しみは、決して無駄にはなりません。
それは、あなたが本当の自分を取り戻し、もっと幸せになるために用意された、神様からの「ロングバケーション」なのですから。
まとめ:あなたはただ、そこにいるだけでいい
長い文章を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
ここまで読めたこと。それもまた、あなたの素晴らしい「できたこと」の一つですよ。
「何もできない自分が嫌い」
そう思ってしまう日は、どうか自分を責める手を止めて、心の声に耳を傾けてあげてください。
「疲れたよね」
「休みたかったんだよね」
「何もできなくても、私は私が大好きだよ」
そうやって自分を許し、認め、抱きしめてあげること。それこそが『幸せの法則』、自分ファーストの第一歩です。
何も生み出さなくても、誰の役に立たなくても、あなたはそこにいるだけで尊い存在です。
もし、どうしても一人では抱えきれない不安に襲われたり、自分を愛する方法がわからなくなってしまったりした時は、いつでも「たま お悩み相談室」へお越しください。
あなたがゆっくりと羽を休め、また自分のペースで空を飛べるようになるまで、私はここでずっと待っています。
今日という日が、あなたにとって少しでも優しい時間になりますように。


