「朝起きた瞬間から、なぜか悲しい気持ちになる」
「以前なら笑って流せたような一言に傷つき、涙が止まらない」
もし今、あなたがそんな辛さを抱えているなら、どうか自分を責めないでください。
それはあなたの性格が変わってしまったからでも、心が弱くなったからでもありません。
40代から50代にかけて、女性の体は大きく変化します。
その波の中で、心が少しだけバランスを崩しているだけなのです。
まずは、その辛さの正体が何なのか、今のあなたの体の状態を数値で確認してみませんか?
「もしかして」と思うことが、安心への第一歩になりますよ。
たま先生(中森 万美子)
「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。
- 1. わけもなく気持ちが沈むのは隠れ更年期のサインかも
- 1.1. 涙が止まらないのはホルモン減少による脳の一時的な混乱
- 1.2. 東洋医学で考える心の不調は気と血のエネルギー切れ
- 2. 更年期で気持ちが沈む原因は性格ではなく体の変化
- 2.1. 感情のコントロールができない自分を責めないで
- 2.2. 今の辛さは体が休息を求めている大切な合図
- 3. 心だけでなく体に現れる東洋医学的な不調サイン
- 3.1. 喉のつかえや胸の苦しさは気が滞っている証拠
- 3.2. 漠然とした不安感は血不足による心の栄養失調
- 4. ひとりで抱え込まずに今の自分の状態を数値化しよう
- 4.1. 漠然とした不安を解消するために現状を知る
- 4.2. まずはセルフチェックで心の重荷を下ろしてみませんか
わけもなく気持ちが沈むのは隠れ更年期のサインかも
ふとした瞬間に襲ってくる、底知れない不安感や孤独感。「私、どうしちゃったんだろう?」と戸惑う日々を過ごしていませんか?
実は、私の鍼灸院にいらっしゃる方の多くが、同じような悩みを抱えています。
「仕事でミスが増えた」「家族にイライラをぶつけてしまう」と、ご自身の性格や能力を責めてしまっている方が本当に多いのです。
でも、はっきりとお伝えしますね。
「わけもなく気持ちが沈む」という状態は、あなたが悪いのではありません。
年齢とともに訪れる体の変化、いわゆる「隠れ更年期」のサインである可能性が高いのです。
ここではまず、なぜそんな心の変化が起きるのか、医学と東洋医学、2つの視点から紐解いていきましょう。
涙が止まらないのはホルモン減少による脳の一時的な混乱
私たちの心と体は、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」に大きく守られています。
このエストロゲンには、脳内で「セロトニン」という神経伝達物質の働きを助ける役割があります。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、私たちの心を穏やかに保ち、不安やイライラを鎮めてくれる大切な物質です。
ところが、更年期に入りエストロゲンの分泌量が急激に減少し始めると、脳はパニックを起こします。
「あれ? いつもの指令が来ないぞ?」と混乱し、その結果、セロトニンの働きも鈍くなってしまうのです。
つまり、あなたが今感じている「わけもなく悲しい」「涙もろい」という状態。
これは、脳内のホルモンバランスが一時的に乱れているために起きている、脳内の働きが一時的にうまく噛み合っていない状態と考えられます。
決して、あなたの精神力が弱くなったわけではないのです。
風邪を引けば熱が出るのと同じように、ホルモンが減れば心が揺らぐ。これは、体の中で起きているごく自然な反応なんですよ。
東洋医学で考える心の不調は気と血のエネルギー切れ
では次に、東洋医学の視点からあなたの体を見てみましょう。
東洋医学では、心と体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの要素で支えられていると考えます。
この中でも、心の安定に深く関わっているのが「気」と「血」です。
気(き)
生命活動を維持するためのエネルギーそのもの。元気ややる気の源です。
血(けつ)
全身に栄養を運び、精神を安定させる物質。ホルモンに近い働きもします。
更年期世代の女性は、仕事に家事、育児や介護と、人生の中で最も忙しい時期を過ごしています。
長年の頑張りによって、体の中にある「気」というエネルギーを使い果たし、さらに毎月の月経や出産などで「血」も消耗している状態です。
これを車に例えるなら、「ガソリン(血)が空っぽに近い状態で、アクセル(気)を踏み続けている」ようなもの。
ガソリンがなければ、車はスムーズに走りませんよね。
無理に走らせようとすれば、エンジンから異音がしたり、急に止まってしまったりします。
今のあなたの心の不調は、まさにこの「ガス欠」の状態なのです。
これは「怠け」ではなく、体が物理的に「エネルギー切れ」を起こしているサインなのです。
更年期で気持ちが沈む原因は性格ではなく体の変化
「昔はもっと明るかったのに」
「こんなことで落ち込むなんて、私らしくない」
そんなふうに、過去の自分と今の自分を比べて、落ち込んでしまうことはありませんか?
真面目で責任感が強い方ほど、「自分の性格に問題があるのではないか」と思い詰めてしまう傾向があります。
でも、たま先生は声を大にして言いたいのです。「それは性格のせいではありません」と。
感情のコントロールができない自分を責めないで
更年期の不調で最も辛いのは、自分自身で感情のコントロールができなくなることかもしれません。
例えば、こんな経験はありませんか?
- 家族の何気ない一言にカッとなって怒鳴ってしまい、後で激しい自己嫌悪に陥る。
- テレビのニュースやドラマを見ただけで、自分のことのように悲しくなり涙が止まらない。
- スーパーで買い物をしている最中に、急に「何もかも投げ出したい」という衝動に駆られる。
これらはすべて、自律神経の乱れが引き起こしている現象です。
自律神経は、私たちの意思とは無関係に、呼吸や体温、そして感情の一部をコントロールしています。
更年期によるホルモンの変動は、この自律神経の働きをダイレクトに揺さぶります。
いわば、心の中に「感情のジェットコースター」が勝手に作られてしまい、それに無理やり乗せられているような状態なのです。
あなたが運転しているわけではないので、コントロールできなくて当たり前。
「またイライラしちゃった」と思っても、「今はジェットコースターが急降下している時期なんだな」と、少し離れた場所から自分を眺めてみてください。
「私の性格が悪いから」と自分を責めるのは、雨が降っているのを「私の行いが悪いからだ」と責めるのと同じくらい理不尽なことですよ。
今の辛さは体が休息を求めている大切な合図
東洋医学には「陰陽(いんよう)」という考え方があります。
活動的な「陽」の時間があれば、静かに休む「陰」の時間も必要だという教えです。
これまでのあなたは、きっと家族のため、会社のために、自分のことを後回しにして走り続けてきたのではないでしょうか。
常に「陽」の状態で、気を張り詰めて頑張ってこられたのだと思います。
今、気持ちが沈んだり、やる気が出なかったりするのは、体が強制的に「陰」の状態に入ろうとしているからです。
「もう十分頑張ったから、少し休もうよ」
「これからは自分のためにエネルギーを使ってよ」
そんなふうに、あなたの体と心が、必死に訴えかけているのです。
気持ちが沈む時間は、決して無駄な時間ではありません。
それは、これからの人生をより健やかに、より自分らしく生きていくために必要な「充電期間」です。
蝶がサナギの中でじっとしているように、今は静かにエネルギーを蓄える時期。
そう捉え直すだけで、今の辛い状態も、少しだけ愛おしく思えてきませんか?
心だけでなく体に現れる東洋医学的な不調サイン
「気持ちが沈む」という心の症状は、実は単独で現れるものではありません。
東洋医学の視診(目で見て診ること)や問診では、心の不調とセットで現れる「体のサイン」を見逃しません。
もし、心当たりがある症状があれば、それは「隠れ更年期」の可能性を裏付ける証拠かもしれません。
体からのSOSを、一緒にチェックしていきましょう。
喉のつかえや胸の苦しさは気が滞っている証拠
「喉に何かが詰まっているような感じがする」
「胸が苦しくて、ため息ばかり出る」
病院で検査をしても「異常なし」と言われることが多いこの症状。
東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」や「ヒステリー球」と呼ばれ、典型的な「気滞(きたい)」の症状として知られています。
「気滞」とは、文字通り「気(エネルギー)」の流れが滞ってしまっている状態です。
ストレスや緊張が続くと、体の中を巡るはずの気がスムーズに流れず、喉や胸のあたりでギュッと詰まってしまうのです。
イメージしてみてください。ホースで水を撒いているとき、途中でホースを踏んでしまうと、水が流れずにパンパンに膨らみますよね?
あれと同じことが、あなたの体の中で起きているのです。
以下はすべて、「詰まった気を流してほしい!」という体からのサインです。
- 喉の違和感(梅干しの種が詰まったような感覚)
- 胸のつかえ、圧迫感
- お腹の張り、ガスが溜まる
- 頻繁に出るため息
ため息をつくのは、無意識のうちに呼吸を深くして、滞った気を外に出そうとする体の防衛反応です。
だから、ため息をつく自分を「幸せが逃げる」なんて責めないでくださいね。
むしろ、体にとっては必要な深呼吸なのです。
漠然とした不安感は血不足による心の栄養失調
次に、「夜になると不安で眠れない」「将来のことが急に怖くなる」といった症状についてです。
これは、東洋医学でいう「血虚(けっきょ)」、つまり「血(けつ)」が不足しているサインであることが多いです。
先ほどもお話ししたように、「血」は体に栄養を運ぶだけでなく、「精神を安定させる錨(いかり)」のような役割を持っています。
船(心)は、しっかりとした錨(血)がなければ、波(ストレス)に流されて漂ってしまいますよね。
更年期世代は、加齢による造血機能の低下や、消化吸収能力の衰えにより、どうしても「血」が不足しがちです。
その結果、心の錨が軽くなり、ちょっとした波風で心が大きく揺れ動いてしまうのです。
- 顔色が悪い、肌が乾燥してカサカサする
- 髪の毛がパサつく、抜け毛が増える
- 目が疲れやすい、かすむ
- 爪が割れやすい
- 夜中に何度も目が覚める、夢をよく見る
もし、気持ちの落ち込みと一緒に、このような体の変化を感じているなら、それは「心の弱さ」ではなく、単なる「栄養(血)不足」です。
心に栄養が足りていない状態で、ポジティブになろうとするのは無理な話。
まずは、枯渇してしまった「血」を補うことが、心の安定を取り戻す近道になります。
ひとりで抱え込まずに今の自分の状態を数値化しよう
ここまで、気持ちが沈む原因が「性格」ではなく「体(ホルモンや気・血)の変化」にあることをお話ししてきました。
少しだけ、肩の荷が下りたような感覚を持っていただけたでしょうか?
「そうか、私のせいじゃなかったんだ」
そう思えるだけで、更年期の辛さは半分くらい軽くなるものです。
でも、「じゃあ具体的にどうすればいいの?」と思いますよね。
闇雲に対策を始める前に、まずはやっていただきたいことがあります。
漠然とした不安を解消するために現状を知る
人間が最も恐怖を感じるのは、「正体がわからないもの」と対峙しているときです。
「いつまで続くんだろう」「どこまで悪くなるんだろう」という見えない不安が、ストレスをさらに増幅させてしまいます。
逆に言えば、「今の自分の状態」を客観的に把握することができれば、不安は「対策可能な課題」に変わります。
「更年期」という言葉を認めるのは、少し怖いかもしれません。
「おばさんになったと認めるようで嫌だ」という気持ちも、痛いほどよくわかります。
ですが、ここでいう「状態を知る」とは、病名をつけることではありません。
今のあなたの体の中で、気の巡りや血の充実度、ホルモンバランスの傾きをそっと確かめる「体の天気予報」を見るようなものです。
「今日は雨が降りそうだから、傘を持っていこう」と準備するように、「今は血が足りない時期だから、無理せず早く寝よう」と、自分を守るための準備ができるようになります。
まずはセルフチェックで心の重荷を下ろしてみませんか
私が代表を務める「たま お悩み相談室」では、東洋医学の視点を取り入れた独自の「更年期診断(セルフチェック)」をご用意しています。
病院に行くのはハードルが高いし、誰かに相談するのも気が引ける。
そんなあなたのために作った、スマホで簡単にできるチェックツールです。
難しい質問はありません。今のあなたの心と体の状態を、正直に答えていくだけ。
結果画面では、あなたの今の状態を数値化し、東洋医学的なタイプ(気滞タイプ、血虚タイプなど)をお伝えします。
「あ、今の私のイライラは、数値でいうとこれくらいなんだ」
「この不調は、このタイプだから起きていたんだ」
そうやって「見える化」するだけで、不思議と心は落ち着くものです。
それは、あなたが自分の体を理解し、寄り添うことができた証拠でもあります。
診断結果を見ることは、決して怖いことではありません。
むしろ、「なんだ、そうだったのか」と、張り詰めていた糸が緩む瞬間になるはずです。

