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性のことで悩み相談したいあなたへ|誰にも言えない気持ちを、判断されずに置ける場所のつくり方

「悩み相談 性」と検索窓に打ち込んだあなたは、いま、どんな夜を過ごされているでしょうか。

夫との性生活がつらくて、もう応じたくない。それなのに断れずに、自分が壊れていく感じがしている。更年期に入ってから、体も心も以前の自分ではなくなった気がする。あるいは、性そのものに対する違和感を、ずっと一人で抱え込んできた。誰にも言えないまま、気づけば何年も経ってしまった——そんな複雑な気持ちが、画面の前で静かにせめぎ合っているのではないでしょうか。

まずお伝えしたいのは、あなたがこのキーワードで検索したことは、なにひとつおかしなことではないということなんです。性のことで悩み相談したいと思うのは、あなたが弱いから、わがままだから、夫を愛していないから、ではありません。むしろ、自分の心と体を大切にしようとしている証拠なんですよ。

この記事は、性機能障害の医学的解説書ではありません。性の悩みを「症状」としてラベル付けするための記事でもありません。年間500件以上のお話を聴かせていただいているカウンセラーの立場から、なぜ性の悩みはこんなにも言葉にしにくいのか、その重さの正体は何か、そして判断されずに話せる場所をどう選んでいけばいいのか——それを、ゆっくり整理していく場所です。

読み終わったとき、肩の力が少しだけ抜けて、「私が変なんじゃなかった」「話してみてもいい場所がある」と感じていただけたら、うれしく思います。

目次

この記事の監修者
たま先生(中森 万美子)
たまお悩み相談室 代表カウンセラー
たま先生(中森 万美子)

年間500件以上のお悩みに寄り添うカウンセラー。解決を押しつけるのではなく、ご相談者様にとって「心を整える場所」となることを目指したサポートを行っている。SNS総フォロワー数は4万人を超え、著書『40歳からの幸せの法則』の執筆や、FM845のラジオパーソナリティ、大学やカルチャーセンターでの講師など幅広く活動中。

性のことで悩むあなたが「変」なのではありません

性のことで悩んでいると打ち明けられるたび、最初に出てくる言葉はほとんど決まっているんです。

「こんなことで相談していいんでしょうか」「私が神経質すぎるんでしょうか」「夫婦なんだから、本来は応じるべきなのに」——カウンセリングルームで、本当に何度も何度も、同じ言葉を聴いてきました。

性の話は、他のどんなテーマよりも、自分を責める気持ちと一緒に運ばれてきます。だからこそ、最初に強くお伝えしたいことがあるんですよ。

「こんなことで相談していいのか」と迷ってしまう、その重さの正体

性の悩みは、相談する前から「相談していいのか」を悩むテーマなんです。これが、他の悩みと決定的に違うところ。

たとえば義実家のことで悩んでいる人は、「相談していいのか」をあまり迷いません。職場の人間関係も、子育ても、ご自分の中で「これは話してもいいテーマ」と認めやすい。

ところが性の悩みは、入り口の手前で、もう一つ扉があります。「これを口に出すのは、はしたないことではないか」「夫を裏切るような気がする」「私が我慢すれば済む話なのではないか」——この扉を開けるのに、何年もかかる方が珍しくありません。

その「迷い」の重さ自体が、もう症状なんですよ。あなたが浅はかだからではない。性というテーマを、社会全体が長い間「語られない場所」に置いてきたから、その重さがあなたの中にも沈殿しているだけなんです。

だから今日、「悩み相談 性」と検索窓に打ち込んだだけで、あなたはもう、扉を一つ開けたんです。それはとても大きな一歩なんですよ。

性の悩みは「身体」ではなく「あなたという人」全体の話

もう一つ、最初にお伝えしておきたいことがあります。

性の悩みは、よく「身体の問題」として扱われがちです。婦人科に行けばホルモンを調べてもらえる、潤滑剤を処方してもらえる、漢方を出してもらえる。確かに、身体の側面はあります。

でも、長年お話を聴かせていただいてきて感じるのは、性の悩みの本当の中身は、ほとんどの場合「身体」だけで終わらないということなんです。

夫との関係、自分の人生の選び方、子ども時代に身につけた価値観、女性として生きてきた重み、これからどう年を重ねたいかという未来——性の悩みは、そうした「あなたという人」全体と、つながって動いています。

だから、医学的に「異常なし」と言われても、心の中の苦しさが消えないのは当然なんですよ。あなたの悩みは、検査値では測れない場所で起きているからです。

性のことで相談するというのは、検査結果を聞きにいくことではありません。「あなたという人の物語」をもう一度ご自分で受け取り直す時間。そう捉えていただけると、最初の一歩を踏み出しやすくなるかもしれません。

性の悩みが言葉にしにくい3つの重さ

なぜ性の悩みは、これほど言葉にしにくいのでしょうか。

長年、女性たちのお話を聴かせていただく中で、性の悩みに固有の「重さ」があることが見えてきました。ここでは、その3つの重さを整理してお伝えします。「私はこのうちのどれを抱えていたんだろう」と、ご自分のケースと照らし合わせながら読んでみてくださいね。

重さ1:性は「自分の中の最も無防備な部分」と地続きだから

性は、人が一番無防備になる場面と地続きにあります。

服を脱ぐということ、相手に体を預けるということ、声や表情を隠せなくなるということ。性的な場面では、ふだん社会の中で自分を守るために身につけている鎧を、いったん降ろします。だからこそ、そこで何かが傷ついたとき、その痛みは「他の悩み」よりも深い場所に届くんです。

夫との性生活で違和感を覚えたとき、それは単なる体の不一致ではなく、「自分の最も無防備な部分が、ちゃんと大切にされていないかもしれない」という感覚になります。これを言葉にするのは、とてもエネルギーが要るんですよ。

「無防備な自分」を他人に説明すること自体が、また無防備になることだから。そこで多くの方は、口を閉じてしまうんです。

ですから、性のことを話せないのは、あなたが意志薄弱だからではありません。それだけ、性が「自分の核」に近い場所にあるという証拠なんです。

重さ2:相談すること自体が「夫婦の秘密」を破る感覚を伴うから

性の悩みには、もう一つ独特の重さがあります。

夫との性生活のことを誰かに話すと、それは「夫婦の秘密を外に持ち出す」感覚になります。義実家のことや家計のことを愚痴るのとは、罪悪感の質が違うんですよ。

「夫はこれを話されたくないだろう」「私が話すことで、夫を辱めることになるかもしれない」「夫婦の閉じた領域を、第三者の目に晒してしまう」——こうした感覚が、相談しようとするたびに、足を引き留めます。

でも、考えてみてください。あなた一人がその秘密を抱え続けることで、誰が守られているのでしょうか。夫の体面でしょうか。世間の目でしょうか。それとも、「夫婦は二人で完結すべき」という古い物語でしょうか。

そのどれもが、あなた自身の心と体を守るものではないんです。

性のことを誰かに話すのは、夫を裏切ることではありません。むしろ、ご自分の心の重さを下ろさずに溜め込み続けることのほうが、長い目で見れば夫婦関係そのものを壊していきます。安心して話せる場所で言葉にすることは、ご自分への裏切りを止める行動なんですよ。

重さ3:「普通」という基準に、性ほど振り回されるテーマはないから

3つ目の重さは、「普通」という言葉の暴力性です。

性のテーマほど、「普通はこうらしい」「こうあるべきらしい」という曖昧な基準に振り回されるものはありません。雑誌、ネット記事、友人との会話の端々、実家で聞いた言葉、夫が言ったこと——あちこちから「普通」の像が運ばれてきて、その「普通」と自分のあいだに距離があるたび、自分を責めることになります。

「私の感覚はおかしいのかもしれない」「他の女性はもっとうまくやっているのかもしれない」「夫婦の頻度は月に何回が普通なんだろう」——こうした問いが、夜中にスマホの中をぐるぐる走り回る。

でも、性ほど「普通」が当てにならないテーマはないんです。一人ひとりの身体、ホルモン、人生経験、関係性、そのすべてが違うのですから、「普通の頻度」も「普通の感じ方」も、本当は存在しません。

カウンセリングルームでは、まず「普通」を一度脇に置いていただきます。「他の人がどうかではなく、いまのあなたが、いまの体と心で、どう感じているか」——その一点だけを丁寧に聴いていく。これだけで、ずいぶん肩の力が抜ける方が多いんですよ。

性の悩みの中で揺れている3層

性の悩みを「ひとかたまりの大きな苦しさ」として抱えていると、出口が見えなくなります。

そこで私がカウンセリングでよくお伝えしているのが、悩みを3つの層に分けて見ていく整理の仕方なんです。あなたがいま揺れているのが、どの層なのか。一つずつ眺めてみると、次に何をしたらいいかが、ぼんやりと見えてきます。

層1:身体の感覚(痛み・乾き・違和感)

一番表面にあるのが、身体の感覚の層です。

性交時の痛み、乾き、違和感、感じ方の変化、出血、疲労感——身体は、年齢やホルモンの変化、体調や疲れの蓄積で、確実に変わっていきます。特に40代に入る頃から、身体の側の変化を無視できなくなる方が増えていきます。

この層の悩みは、まず婦人科で診てもらうことに意味があります。更年期外来、女性外来、性医療を扱うクリニック——いまは選択肢が増えています。診察を受けて「身体としては大きな問題なし」と分かるだけでも、心の負担はずいぶん軽くなるんですよ。

ただし、ここで大事なのは、身体の層だけで悩みが終わらないことが多いということ。「治療してもらったのに、なぜか苦しさが消えない」と感じるなら、それは下の層に、まだ手当てされていないものが残っているサインなんです。

層2:関係性の感情(夫との温度差・応じたくなさ・距離)

身体の層の下にあるのが、関係性の感情の層です。

夫との性生活において、応じたくない自分がいる。夫の触れ方が嫌になってきた。夫が求めてくるたびに、断る言い訳を考えるのに疲れる。逆に、夫から求められなくなったことに、別の傷を感じている。求められても応じても、どちらでも苦しい——こうした感情が動いている層なんです。

この層の悩みは、身体の検査では見えてきません。診察で「異常なし」と言われても消えない苦しさは、ほとんどがここにあります。

関係性の感情を扱うのは、カウンセリングの得意領域です。夫との関係の中で、どこからこの「応じたくなさ」が生まれてきたのか。日常のどんなやりとりが、性の場面に影を落としているのか。一つひとつ言葉にしていくと、性の悩みが「性だけの問題」ではなく、夫婦関係全体の地図の中で見えてくるんですよ。

層3:自分自身の物語(女性としてのアイデンティティ・人生の意味)

そして一番深い場所にあるのが、ご自分の物語の層です。

女性として生きてきた歴史、母から受け取った価値観、若い頃の性経験、出産や育児を経て変わった自分の体、これから年を重ねていく自分への想い——こうした「自分という人の長い物語」が、性の悩みの一番奥で動いています。

「私は、女としてもう終わってしまったのではないか」「これから先、誰にも求められない人生になるのか」「逆に、もう求められたくない、それでもいいのか」——こうした問いは、医学では答えが出ません。誰かと比べるものでもありません。あなたがあなたの人生をどう編んでいくか、というテーマなんです。

カウンセリングで一番時間をかけるのは、この層なんですよ。性の悩みの形を借りて、ご自分の人生全体を見つめ直す時間。すぐに答えが出るものではありませんが、誰かと一緒に言葉にしていくことで、少しずつ自分の輪郭が戻ってきます。

「夫婦だから応じるべき」という呪縛を解く3つの問い

性の悩みを抱える方の多くが、口にされる言葉があります。

「夫婦なんだから、応じるのが当然だと思って我慢してきました」「夫が浮気でもしたら、応じてこなかった私のせいだと思います」「拒むなんて、妻として失格ですよね」——この呪縛は、本当に多くの女性を、長く苦しめてきました。

ここでは、その呪縛をやさしくほどくための3つの問いを、お渡ししますね。すぐに答えを出さなくて大丈夫です。心の中で、ゆっくり問いかけてみてください。

問い1:その「べき」は、誰の声でできているでしょうか

「夫婦だから応じるべき」という言葉は、よく聞くと、あなた自身の声ではない場合がほとんどなんです。

母親の世代の価値観、義母から言われた一言、結婚したての頃に夫が口にした言葉、雑誌の人生相談コーナー、ネットの掲示板で目にした「妻として失格」という非難——あちこちから運ばれてきた声が、あなたの中で「べき」という形に固まっています。

その声を、一度バラバラに分けてみてください。誰が、いつ、どんな状況で言った言葉だったでしょうか。その人は、あなたの体と心の本当の状態を、知っていたでしょうか。

ご自分の中の「べき」を、誰の声でできているか分解していくと、不思議と力が抜けていきます。「これは、私が本当に信じている価値観ではないかもしれない」と気づける瞬間が来るんです。

その気づきが、最初の解放になりますよ。

問い2:応じる/応じないの二択以外に、何があるでしょうか

性の悩みの中で苦しむ方は、しばしば「応じるか、応じないか」の二択の世界で考え込んでしまいます。

応じれば自分が壊れる、応じなければ夫婦関係が壊れる。どちらを選んでも壊れる、という袋小路。ここに何年も閉じ込められている方が、本当にたくさんおられます。

でも、よく考えてみると、この二択の外側にも、たくさんの選択肢があるはずなんです。

たとえば、「今は応じられない」と言葉にして共有すること。「触れ合いはしたいけれど、性交渉までは難しい」と段階を分けること。「一定期間お互いに離れる時間を持ちたい」と提案すること。「一緒にカウンセリングに行ってみたい」と誘ってみること。「私だけ先に話を聴いてもらいに行く」と決めること。

二択の世界の外には、グラデーションがあります。グラデーションの中に、あなたが息のできる場所が、きっと一つはあるんですよ。

問い3:「あなたの体」は、誰のものとして扱われてきたでしょうか

これは、少し深い問いです。

あなたの体は、これまでの人生で、誰のものとして扱われてきたでしょうか。

子どもの頃は、親や周囲の大人にとっての「いい子の体」だったかもしれません。若い頃は、社会から見られる「女としての体」だったかもしれません。結婚してからは、夫の隣にいる「妻としての体」になり、出産してからは「母としての体」になっていったかもしれません。

そのあいだ、あなた自身は、自分の体を「私のもの」として感じてこられたでしょうか。

性の悩みの底には、しばしば「自分の体を、自分のものとして取り戻したい」という、声にならない祈りがあります。応じる/応じないの議論の前に、まず「私の体は、私のものである」という感覚を取り戻すこと。これが、呪縛をほどく一番深いところの作業なんです。

カウンセリングでは、この感覚を取り戻していく時間を、ゆっくり一緒に過ごします。すぐには変わらないかもしれません。でも、少しずつ、自分の体に対する主導権が手元に戻ってくる感覚が生まれてくる方が多いんですよ。

性の悩みを話せる場所には、いくつかの種類があります

性のことで誰かに話したいと思ったとき、どこに行けばいいのか分からず、立ち止まってしまう方が多いと思います。

ここでは、性の悩みを扱える場所のいくつかを整理してお伝えしますね。それぞれに役割の違いがありますから、いまのあなたの悩みがどの層にあるかによって、選び方が変わってきます。

婦人科・心療内科という選択肢

身体の症状(痛み・乾き・出血・極端な性欲低下や亢進・性交時の不快感など)が中心にあるなら、まず婦人科に行ってみるのは大切な一歩です。

更年期外来、女性外来、性医療を扱う婦人科クリニックは、ここ数年で増えてきました。ホルモン補充療法、漢方、潤滑剤の処方、体の状態を見ての助言——医療ができることは、確実にあります。

心の症状が強く出ている場合(不眠、抑うつ感、強い不安、フラッシュバックなど)は、心療内科や精神科の検討も大事です。性の悩みの背景に、過去の性的トラウマや、産後うつ、適応障害が隠れている場合があります。

ただ、医療機関は時間が短く、深い話を毎回じっくり聴いてもらうのは構造的に難しいことも多いです。「症状の見立てと治療」が医療、「物語をほぐしていく時間」がカウンセリング、と役割の違いがあるんですよ。両方を併用される方も少なくありません。

性カウンセラー・夫婦カウンセラーという選択肢

性の悩みに特化したカウンセラー、あるいは夫婦関係を専門に扱うカウンセラーが、性の悩みのよき伴走者になります。

性カウンセラーは、セックスセラピーや性教育の観点からアプローチできる方。夫婦カウンセラーは、夫婦の関係性の中で性の悩みが生まれている文脈を一緒に見立てる方。たま先生のような関係性のカウンセラーは、夫婦関係や自己の物語の層に特に時間をかけます。

どのタイプの方を選ぶかは、いまのあなたの悩みの中心が「身体」「関係」「自分自身」のどの層にあるかで決まります。一回目の相談で、その方が「どの層を一番大事に扱う方なのか」を見極められるといいですね。

カウンセリングは医療と違って、保険が効かないものがほとんどです。料金や進め方を最初に明示してくれる方を選ぶこと、これが大切ですよ。

公的な相談窓口(性暴力・性被害が背景にある場合)

性の悩みの背景に、過去の性暴力や性被害、現在の配偶者からの性的な強要が含まれている場合は、まず公的な窓口を使ってください。

性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(全国共通短縮ダイヤル #8891)、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間対応)——これらは無料で、匿名で、専門の相談員が対応してくれます。

「これは性暴力と呼んでいいんだろうか」と迷うようなことでも、相談していいんです。判断は、相談員の方が一緒にしてくれますから、まずは電話してみてくださいね。

ここまで読んで、ご自分のケースが少しでも当てはまるようなら、カウンセリングの前に、こうした窓口を使うことを優先してください。

カウンセリングで性の悩みを話すとき、起きていること

「カウンセリングで性のことを話す」と聞くと、緊張される方がほとんどだと思います。

「いきなり性のことを聞かれるんですか」「具体的なことを話さないといけないんですか」——お問い合わせでもよく聞かれることなんですよ。ここでは、実際にカウンセリングルームで起きていることを、少しお伝えしますね。

「ジャッジされない」ことが、どれほど解放になるか

カウンセリングで性の話をするとき、最初に体感されるのは、「ジャッジされない」という空気です。

「それは普通ですよ」「そんなことは異常です」「夫が悪い」「あなたが悪い」——こういう判断を、カウンセラーは口にしません。代わりにあるのは、「いま、どんな気持ちが動いていますか」「それはいつから感じるようになりましたか」「言葉にしてみると、どんな感覚がありますか」という、丁寧な問いだけ。

判断されない場で性の話をすると、それまで自分の中で「これは言ってはいけない」と封印してきた言葉が、ぽろぽろと出てきます。涙が出る方もいれば、ずっと止まっていた感情が一気に溢れる方もいます。

これは、カウンセリングが「治療」をしているからではないんです。ただ「判断されない場所」に身を置くだけで、人の心は自然にほどけていく。性の話で長く苦しんできた方ほど、この体験の解放感は大きいんですよ。

夫を連れてこなくていい、一人で来ていい理由

性の悩みは「夫婦の問題」のように見えるので、「夫を連れてこなければいけないのか」と迷う方がたくさんおられます。

結論からお伝えすると、夫を連れてこなくて大丈夫です。性の悩みを話すのに、最初は一人で来ていただくほうが、むしろ安全に進む場合がほとんどなんですよ。

理由は二つあります。一つは、性の話を最初に夫の前でしようとすると、防衛的になってしまい、本音が出にくいこと。もう一つは、関係の中で起きている力関係(どちらが強くて、どちらが我慢しているか)が、同席の場で再演されてしまうことです。

まず一人で、判断されない場所で、自分の中の感情と物語を整理する。そこで「私が本当に望んでいたのはこういうことだったんだ」という芯が見えてきてから、夫との対話を改めて設計し直していく——この順番のほうが、ずっと無理がないんです。

「夫が来てくれない」「夫に話せない」と感じておられるなら、なおさら一人でお越しいただいて大丈夫ですよ。

「治す」のではなく「関係を結び直す」という捉え方

カウンセリングで性の悩みを扱うとき、私が一番大切にしているのは、「治す」という言葉を使わないことなんです。

性の悩みは、病気ではありません。あなたが「壊れている」のでも、「異常」なのでもない。長い時間をかけて、ご自分との関係、夫との関係、ご自分の体との関係——いくつかの「関係」が、すれ違ってきただけなんですよ。

カウンセリングは、それを「治す」のではなく、「結び直していく」時間です。ご自分の体との関係を、もう一度ご自分の手元に戻すこと。夫との関係を、性だけではない場所から見つめ直すこと。そして、これからの人生をどう生きたいかを、ゆっくり言葉にしていくこと。

すぐに変わるものではありません。でも、誰かと一緒に時間をかけて言葉にしていくと、半年、一年と経つうちに、家の中の空気も、ご自分の感覚も、確実に動き始めます。

性の悩みは、ご自分一人で抱え続けるものではありません。話していい場所が、ちゃんと用意されているんですよ。

まとめ|性の悩みを抱えるあなたが、まず取り戻したいもの

長い記事になりましたが、最後にお伝えしたいことはシンプルです。

性のことで悩み相談したいと思ったあなたが、今日この記事に辿り着いてくださったのは、ご自分を大切にしようという小さな決意が、心のどこかで動き始めたからではないでしょうか。

性の悩みは、身体の話だけでも、夫婦の話だけでも、終わりません。あなたという人の物語全体と、深くつながっています。だからこそ、判断されない場所で、ゆっくり言葉にしていく時間が必要なんですよ。

最後に、今日お伝えしたかったことを、そっと置いておきますね。

  • 「悩み相談 性」と検索したことは、なにも変なことではない
  • 性の悩みが言葉にしにくいのは、無防備さ・夫婦の秘密感・「普通」という呪縛があるから
  • 性の悩みは身体・関係性・自分の物語、3つの層で動いている
  • 「夫婦だから応じるべき」の呪縛は、誰の声か・二択以外の選択肢・体は誰のもの、の3つの問いでほぐせる
  • 婦人科、カウンセリング、公的窓口、それぞれに役割がある
  • カウンセリングは「治す」のではなく「関係を結び直す」時間、夫を連れてこなくていい

今夜、もし「もう、一人で抱えていられない」と感じておられるなら、誰かに「ただ判断されずに聴いてもらう」時間を、ご自分にプレゼントしてみてくださいね。

たまお悩み相談室でも、性のことで長く一人で抱えてこられた方のお話を、本当に多く聴かせていただいてきました。「こんなことを話してもいいんでしょうか」と最初におっしゃる方を、これまで何人もお迎えしてきました。あなたお一人でも、扉を開けて大丈夫ですよ。

性の悩みを話すことは、夫を裏切ることでも、はしたないことでも、ありません。ご自分の心と体を、もう一度ご自分のものとして取り戻すための、とても大切な時間なんです。

※本記事はカウンセラーの臨床経験に基づく一般的な情報提供であり、医学的・法的アドバイスを代替するものではありません。身体症状が強い場合は婦人科・心療内科を、性暴力被害や配偶者からの性的強要の背景がある場合は性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)、DV相談ナビ(#8008)、よりそいホットライン(0120-279-338)などの専門窓口を、優先してご利用ください。


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