- 「東洋医学って、なんだか怪しくない?」
- 「ツボとか気とか言うけど、本当に良いの? プラセボ(思い込み)じゃないの?」
私の鍼灸院や相談室に来られる方の中にも、最初はそんな不安を抱えている方が少なくありません。
特に、今まで病院(西洋医学)でのケアを中心にしてきた方や、物事を論理的に考えるのが好きな方ほど、「科学的な根拠(エビデンス)」がないと納得できないと感じるのは当然のことです。
病院で検査をしても「異常なし」と言われるけれど、体は辛い。
薬を飲んでいるけれど、なかなか調子が戻らない。
そんな時、「東洋医学が良いらしい」と聞いても、一歩踏み出せないあなたへ。
今回は、鍼灸師であり、日々多くの女性の不調と向き合っている私が、東洋医学の「エビデンス」について、そしてなぜ東洋医学があなたのその不調に「良い」と言われるのか、その理由を分かりやすく解説します。
スピリチュアルな話ではなく、医学的な視点と歴史的な事実に基づいてお話ししますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
中森万美子鍼灸院 院長
鍼灸師・心理カウンセラー。「心身一如」を掲げ、東洋医学(体)と心理学(心)の両面から、40代以降の更年期・自律神経の悩みに寄り添う。
FM845パーソナリティや歌手としても活動し、その声と人柄はSNS総フォロワー4万人超に支持されている。著書『40歳からの幸せの法則』。

- 1. 東洋医学に「エビデンス」はあるのか?WHOの見解と現状
- 1.1. WHO(世界保健機関)が認める東洋医学の適応疾患
- 1.2. 「科学的根拠がない」と誤解されがちな理由とは?
- 2. 西洋医学と東洋医学の違いから見る「アプローチ」のメカニズム
- 2.1. 数値やデータで「病気を診る」西洋医学のアプローチ
- 2.2. 全身のバランスと「人を診る」東洋医学のアプローチ
- 2.3. 検査では異常なし?「未病」や「不定愁訴」こそ東洋医学の得意分野
- 3. 2000年の歴史と臨床データの積み重ねこそが信頼の証
- 3.1. 経験則に基づく方法の安全性と信頼性
- 3.2. 心と体はつながっている「心身一如」という考え方
- 4. 40代・50代からの女性の不調に東洋医学がおすすめな理由
- 4.1. 自律神経やホルモンバランスの乱れを整えるサポート
- 4.2. 薬に頼りすぎず、本来持っている「自己治癒力」を高める
- 5. エビデンスに基づいた「経絡」を整えるセルフケアの実践
- 5.1. 全身を巡るエネルギーの通り道「経絡(けいらく)」の働き
- 5.2. 1日60分で体を内側から変える「たま式 養生経絡ストレッチ」
東洋医学に「エビデンス」はあるのか?WHOの見解と現状
まず結論からお伝えすると、東洋医学(特に鍼灸治療)には、世界的に認められた一定のエビデンスが存在します。「なんとなく良い気がする」というレベルだけの話ではありません。
WHO(世界保健機関)が認める東洋医学の適応疾患
実は、WHO(世界保健機関)は、鍼灸治療の有効性を認めた疾患や症状を数多く公表しています。
肩こりや腰痛といった運動器系の疾患だけでなく、以下のような幅広い症状が挙げられています。
- 神経系: 神経痛、自律神経失調症、頭痛、めまい
- 消化器系: 胃炎、胃腸機能低下、便秘、下痢
- 婦人科系: 更年期障害、生理痛、冷え性
- その他: 眼精疲労、不眠、耳鳴り など
これらは、世界中で行われた臨床研究やデータに基づいた見解です。つまり、国際的な保健機関が「東洋医学(鍼灸)には有効性がある」と認めているのです。
「科学的根拠がない」と誤解されがちな理由とは?
では、なぜ「東洋医学にはエビデンスがない」という誤解が生まれるのでしょうか?
それには、現代の「エビデンス」の定義が大きく関わっています。
現代医学(西洋医学)におけるエビデンスの黄金基準は、「二重盲検試験」と呼ばれるものです。これは、本物の薬と偽物の薬を、医師も患者も知らない状態で投与して有効性を比較する方法です。
しかし、鍼治療でこれを再現するのは非常に困難です。「偽物の鍼(刺さっていない鍼)」を使っても、皮膚に触れる刺激自体が何らかの変化を生んでしまうことがあるからです。
また、東洋医学は「その人の体質に合わせてオーダーメイドで施術を変える」のが特徴です。全員に同じ処置をして統計を取るという西洋医学的な研究手法と、相性が悪い部分があるのです。
「エビデンスがない」のではなく、「西洋医学の物差しだけで測るのが難しい」というのが正確なところです。それでも近年は研究が進み、鍼刺激が脳内の鎮痛物質(エンドルフィンなど)を分泌させたり、自律神経を調整したりするメカニズムが科学的に解明されつつあります。
西洋医学と東洋医学の違いから見る「アプローチ」のメカニズム
東洋医学の良さを理解するには、西洋医学との「アプローチの違い」を知ることが近道です。どちらが優れているかではなく、得意分野が違うのです。
数値やデータで「病気を診る」西洋医学のアプローチ
西洋医学は「分析」の医学です。
体を臓器や細胞レベルまで細かく分解し、血液検査の数値や画像データをもとに「病気の原因(細菌、ウイルス、腫瘍など)」を特定します。そして、その原因に対して薬を使ったり、手術で取り除いたりして処置します。
感染症やケガ、急性期の病気に対しては、圧倒的な強さを発揮します。
全身のバランスと「人を診る」東洋医学のアプローチ
一方、東洋医学は「統合」の医学です。
体をパーツに分けるのではなく、「心も含めた一つの有機体」として全体を見ます。
東洋医学では、健康を「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」という3つの要素がバランスよく巡っている状態と考えます。
- 気(き): 生命活動の根幹をなすエネルギー源
- 血(けつ): 全身に栄養を運び、滋養する赤い液体(西洋医学の血液とは少し概念が異なります)
- 津液(しんえき): 体を潤す、血以外の水分の総称
これらのバランスが崩れたり、巡りが滞ったりした状態を「不調」と捉えます。施術の目的は、悪い部分を攻撃することではなく、全体のバランスを整えて「本来の健康な状態を目指す」ことです。
検査では異常なし?「未病」や「不定愁訴」こそ東洋医学の得意分野
「検査では異常がないのに、体がだるい、頭痛がする、眠れない…」
西洋医学では病名がつかないこうした状態を、東洋医学では「未病(みびょう)」と呼びます。病気の一歩手前、という状態です。
数値には現れないけれど、体のバランスは確実に崩れている。
東洋医学は、顔色、脈、お腹の状態、舌の色など(四診といいます)から、その「目に見えないアンバランス」を見つけ出し、調整を目指します。
だからこそ、病院では解決しづらい「不定愁訴」や「慢性的な不調」のアプローチを得意としているのです。
2000年の歴史と臨床データの積み重ねこそが信頼の証
私が皆さんに一番お伝えしたいのは、東洋医学の歴史そのものが、ひとつの大きな根拠(エビデンス)であるということです。
経験則に基づく方法の安全性と信頼性
東洋医学は、中国で約2000年、日本でも1000年以上の歴史があります。
顕微鏡も分析機器もない時代から、先人たちは膨大な数の患者さんを診て、「ここを刺激すると胃の不快感が和らぐ」「この生薬を組み合わせると熱が下がりやすくなる」という経験を積み重ねてきました。
もし、まったく効果がなかったり、危険だったりする方法であれば、2000年もの長い年月の間に淘汰されて消えているはずです。
現代まで受け継がれ、今なお世界中で利用されているという事実こそが、安全性と有用性を裏付ける要素のひとつではないでしょうか。
心と体はつながっている「心身一如」という考え方
東洋医学には「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。心と体は別々のものではなく、深くつながっているという考え方です。
ストレス(内因)が胃腸の調子を崩したり、逆に体の不調がメンタルを落ち込ませたりすることは、皆さんも経験があると思います。
最新の脳科学でも「脳腸相関」などが注目されていますが、東洋医学は大昔からこのつながりを重視し、メンタル面も含めたトータルケアを行ってきました。これも、現代人が抱えるストレス社会の不調に東洋医学がマッチする理由の一つです。
40代・50代からの女性の不調に東洋医学がおすすめな理由
特に、私が40代~60代の女性に東洋医学をおすすめしたいのには理由があります。この世代は、女性ホルモンの減少やライフステージの変化により、心と体のバランスが最も乱れやすい時期だからです。
自律神経やホルモンバランスの乱れを整えるサポート
更年期特有のホットフラッシュ、イライラ、急な不安感。これらは自律神経やホルモンバランスの乱れが関わっていますが、西洋薬(ホルモン補充療法など)に抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。
東洋医学では、鍼灸や漢方、そして経絡(けいらく)へのアプローチを通じて、自律神経の働きを穏やかに整えるサポートができます。体への負担が少なく、優しいのが特徴です。
薬に頼りすぎず、本来持っている「自己治癒力」を高める
私たちは本来、自分で自分の調子を整える力「自己治癒力(自然治癒力)」を持っています。東洋医学のアプローチは、この力を最大限に引き出すためのスイッチを押すようなものです。
薬で症状を「抑え込む」のではなく、自分の力で「整える」。
これから先の人生を健やかに過ごすために、自分の体の土台力を上げておくことは、何よりの資産になります。
エビデンスに基づいた「経絡」を整えるセルフケアの実践
ここまで読んで、「東洋医学、試してみようかな」と思っていただけたなら嬉しいです。
とはいえ、いきなり鍼灸院に行くのはハードルが高い、という方もいるかもしれません。
そこでおすすめなのが、東洋医学の「経絡(けいらく)」の理論を取り入れたセルフケアです。
全身を巡るエネルギーの通り道「経絡(けいらく)」の働き
経絡とは、全身を巡る「気・血」の通り道のこと。電車で例えるなら「線路」、その上にある駅が「ツボ(経穴)」です。
この線路(経絡)の流れが滞ると、その先にある臓器や組織に栄養が行き渡らず、不調が起こりやすくなります。逆に言えば、経絡の流れを良くしてあげれば、全身のバランスが整い、不調が良い方向へ向かうことが期待できるのです。
1日60分で体を内側から変える「たま式 養生経絡ストレッチ」
私は、この経絡の仕組みをご自身で整えられるように「たま式 養生経絡ストレッチ」を考案しました。
ただ筋肉を伸ばすだけのストレッチではありません。東洋医学のプロである鍼灸師の視点から、特定の経絡を意識的に刺激し、気血の巡りを整えるように設計された、オリジナルのメソッドです。
- 「なんとなく不調」を自分でケアしたい
- 薬に頼らない体作りをしたい
- 東洋医学の知恵を生活に取り入れたい
そんな40代~60代の女性に特化した、オンラインのレッスンです。
「エビデンスがないと不安」という理知的なあなたにこそ、理論に裏打ちされたこのストレッチの良さを、ぜひご自身の体で体感していただきたいと思っています。
まずは1回、ご自身の体と向き合う時間を作ってみませんか?
レッスンでお会いできるのを楽しみにしています。

参考資料:『基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書 オールカラー版』平馬直樹・浅川要・辰巳洋 監修(ナツメ社)
