- 夕方になると足がパンパンで靴がきつい…。
- 朝起きると顔が腫れぼったくて、鏡を見るのが憂鬱…。
そんな「むくみ」の悩みを抱えていませんか?
特に40代から60代の女性にとって、むくみは美容の大敵であるだけでなく、「体が重だるい」「疲れが取れない」といった不調のサインでもあります。
- 「心配になって病院で検査を受けたけれど、心臓や腎臓には異常なしと言われた」
- 「マッサージに行くとその時はスッキリするけれど、翌日には元通り」
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
西洋医学の検査で数値に異常が出ない場合、「塩分を控えて様子を見ましょう」で終わってしまうことも少なくありません。
でも、あなたの体が発している「むくみ」というSOSには、必ず理由があります。
東洋医学では、むくみを単なる水分の摂りすぎとは捉えず、体全体のバランスの乱れとして診ていきます。
今回は、西洋医学では原因が特定しにくい「むくみ」の正体を、東洋医学の視点で紐解いていきましょう。あなたのタイプに合ったケア方法が、きっと見つかるはずですよ。
中森万美子鍼灸院 院長
鍼灸師・心理カウンセラー。「心身一如」を掲げ、東洋医学(体)と心理学(心)の両面から、40代以降の更年期・自律神経の悩みに寄り添う。
FM845パーソナリティや歌手としても活動し、その声と人柄はSNS総フォロワー4万人超に支持されている。著書『40歳からの幸せの法則』。

- 1. なぜむくむの?東洋医学が考える「水」と「体」の関係
- 1.1. 西洋医学と東洋医学の「むくみ」に対する考え方の違い
- 1.2. キーワードは「津液(しんえき)」と「湿(しつ)」
- 2. あなたのむくみはどこから?水分代謝を担う「3つの臓腑」の働き
- 2.1. 水を全身に巡らせるポンプ役「肺(はい)」の宣発・粛降作用
- 2.2. 水を運び上げる運搬役「脾(ひ)」の運化作用
- 2.3. 不要な水を排出する濾過役「腎(じん)」の気化作用
- 3. 【体質診断】東洋医学で紐解く3つのむくみタイプと対策
- 3.1. タイプ1:雨の日や湿気で悪化する「胃腸お疲れ(脾虚)」タイプ
- 3.1.1. 特徴
- 3.1.2. 原因
- 3.1.3. 対策
- 3.2. タイプ2:顔や上半身がむくみやすい「バリア機能低下(肺虚)」タイプ
- 3.2.1. 特徴
- 3.2.2. 原因
- 3.2.3. 対策
- 3.3. タイプ3:夕方の足のむくみと冷えが辛い「エネルギー不足(腎虚)」タイプ
- 3.3.1. 特徴
- 3.3.2. 原因
- 3.3.3. 対策
- 4. 今日からできる!東洋医学を取り入れたむくみケア
- 4.1. 【食事】余分な「湿」を追い出す食材と水の飲み方
- 4.2. 【ツボ】足三里・三陰交・湧泉など、むくみケアの代表穴
- 4.2.1. 足三里(あしさんり)
- 4.2.2. 三陰交(さんいんこう)
- 4.2.3. 湧泉(ゆうせん)
- 5. 40代からのむくみケアには「経絡(けいらく)」を整えるストレッチがおすすめ
- 5.1. なぜマッサージだけでは、むくみを繰り返してしまうのか
- 5.2. 東洋医学の「経絡」を伸ばして、気・血・水の巡りを整える
- 5.3. 1回60分で体スッキリ!「たま式 養生経絡ストレッチ」とは
- 6. まとめ
なぜむくむの?東洋医学が考える「水」と「体」の関係
西洋医学と東洋医学の「むくみ」に対する考え方の違い
西洋医学では、むくみ(浮腫)は血液中の水分が血管の外に染み出し、細胞の間に溜まった状態を指します。腎臓病、心不全、肝硬変、甲状腺機能低下症などの病気が隠れていないかをまずは検査します。
しかし、これらの病気が見つからない場合、「特発性浮腫(原因不明のむくみ)」や「生理的なもの」として扱われることが多く、対症療法にとどまることがあります。
一方、東洋医学では「体全体の水の巡り」に注目します。
たとえ検査数値に異常がなくても、「水が滞っている状態」そのものを「未病(みびょう:病気の一歩手前)」と捉え、ケアの対象とします。
「なぜ水が巡らないのか?」という原因を、内臓の働きや体質から探っていくのです。
キーワードは「津液(しんえき)」と「湿(しつ)」
東洋医学では、人間の体を構成する要素を「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」の3つに分けて考えます。
このうち、「津液(しんえき)」とは、血液以外の体内の水分の総称です。涙、汗、唾液、関節液、胃液などもすべて津液に含まれ、全身を潤し、栄養を届ける大切な役割を担っています。
この津液がサラサラとスムーズに流れていれば健康ですが、何らかの原因で流れが滞り、体の一部分に偏って溜まってしまうと、それは「湿(しつ)」や「痰湿(たんしつ)」と呼ばれる、体に不要なものに変わります(一般的に「水毒(すいどく)」とも呼ばれます)。
これが、東洋医学における「むくみ」の正体の一つです。
きれいな小川も、流れが止まると淀んで濁ってしまうように、私たちの体の水も巡りが悪くなると、体に悪影響を及ぼす停滞物となってしまうのです。
あなたのむくみはどこから?水分代謝を担う「3つの臓腑」の働き
では、なぜ津液の流れが滞ってしまうのでしょうか?
東洋医学では、水の巡りをコントロールしているのは、主に「肺(はい)・脾(ひ)・腎(じん)」の3つの臓腑だと考えます。
この3つのチームワークが乱れると、むくみが発生しやすくなります。
水を全身に巡らせるポンプ役「肺(はい)」の宣発・粛降作用
まずは「肺」です。東洋医学の肺は、呼吸をするだけでなく、「通調水道(つうちょうすいどう)」といって、体内の水の通り道を整備する役割を持っています。
肺には、水を霧吹きのように全身や皮膚表面へ散布する「宣発(せんぱつ)作用」と、不要になった水を下半身(腎臓や膀胱)へ降ろす「粛降(しゅくこう)作用」があります。
このポンプ機能が弱まると、上半身や顔に水が溜まりやすくなったり、皮膚の下に水が停滞してむくみが生じやすくなります。
水を運び上げる運搬役「脾(ひ)」の運化作用
次に「脾」です。これは現代でいう消化器系(胃腸)の働きを含みます。
脾には「運化(うんか)作用」といって、飲食物から必要な水分(津液)を取り出し、全身に配るために上(肺)へと持ち上げる働きがあります。
胃腸が弱ってこの運搬能力が落ちると、水分をうまく吸収・輸送できず、お腹周りや手足に水が溜まりやすくなります。「湿気」を嫌う臓器なので、雨の日や梅雨時に弱りやすいのも特徴です。
不要な水を排出する濾過役「腎(じん)」の気化作用
最後に「腎」です。生命力の源であり、水分代謝の要となる臓腑です。
腎には「主水(しゅすい)作用」があり、全身を巡って戻ってきた水を、再利用できる「清(せい)」なるものと、排出すべき「濁(だく)」なるものに選別します。これを「気化(きか)作用」と呼びます。
腎が弱ると(腎虚)、不要な水を尿として排出する力が落ち、下半身を中心に重いむくみが生じやすくなります。また、体を温める力(腎陽)が不足すると、水が冷えて巡りが悪くなることもあります。
【体質診断】東洋医学で紐解く3つのむくみタイプと対策
あなたのむくみは、どの臓腑の弱りから来ているのでしょうか?
よくある3つのタイプをご紹介します。ご自身の症状と照らし合わせてみてください。
タイプ1:雨の日や湿気で悪化する「胃腸お疲れ(脾虚)」タイプ
特徴
- 手足がむくみやすい
- 体が重だるい、食後に眠くなる
- 雨の日や湿度の高い日に体調が悪くなる
- 胃腸が弱く、軟便気味
原因
「脾(胃腸)」の働きが低下し、水分を運搬できずに溜め込んでしまっている状態(脾虚湿盛)と考えられます。甘いものや冷たいものの摂りすぎ、思い悩みすぎ(ストレス)も脾を傷める原因になります。
対策
冷たい飲み物は控え、常温か温かいものを。甘いものや脂っこい食事も控えめにしましょう。穀類やイモ類など、元気を補う食材がおすすめです。
タイプ2:顔や上半身がむくみやすい「バリア機能低下(肺虚)」タイプ
特徴
- 朝起きると顔やまぶたがパンパンになる
- 風邪をひきやすい、のどが弱い
- 汗をかきにくい、または異常に汗をかく
- 花粉症などのアレルギーがある
原因
「肺」のポンプ機能がうまく働かず、水分を全身に散布したり、下に降ろしたりできていない可能性があります。外からの邪気(風邪など)の影響を受けやすいタイプです。
対策
深呼吸を意識して肺の気を巡らせましょう。乾燥は大敵なので、適度な潤いを保つことが大切です。ネギや生姜など、発散作用のある食材を取り入れてみてください。
タイプ3:夕方の足のむくみと冷えが辛い「エネルギー不足(腎虚)」タイプ
特徴
- 夕方になると足がパンパンで靴が入らない
- 足腰が冷える、腰痛がある
- 夜中にトイレに起きる
- 疲れやすく、スタミナがない
原因
加齢や過労により「腎」のエネルギーが不足し、余分な水分を尿として排出する力が弱まっている状態(腎虚)と考えられます。水は重力に従って下に落ちるため、下半身に顕著に現れます。
対策
とにかく足腰を冷やさないこと。黒豆、黒ゴマ、海藻類など「黒い食材」は腎を養うと言われています。無理をせず、睡眠をしっかりとってエネルギーを蓄えましょう。
今日からできる!東洋医学を取り入れたむくみケア
自分のタイプが見えてきましたか?
ここでは、どのタイプの方にもおすすめできる、基本的なセルフケアをご紹介します。
【食事】余分な「湿」を追い出す食材と水の飲み方
むくみが気になる時には、「利水(りすい)」作用のある食材が役立ちます。
- ハトムギ: お茶(ハトムギ茶)として飲むのが手軽でおすすめです。体の余分な水と熱を取る働きがあります。
- 小豆(あずき): 利尿作用や解毒作用があると言われています。煮汁を飲むのも良いでしょう。
- トウモロコシ: 髭(ひげ)の部分にお茶としての利水効果があると言われています(コーン茶)。
- 瓜類(キュウリ、冬瓜など): 体を冷やす作用もあるので、温かいスープにするなど工夫しましょう。
水の飲み方
「1日2リットル飲むと良い」という説もありますが、東洋医学では「欲しくないのに無理に飲む」のは控えたほうが良いとされています。処理しきれない水は体内で停滞し「湿(水毒)」になる恐れがあるからです。
「のどが渇いたら、少しずつ、温かいものを飲む」のが基本です。
【ツボ】足三里・三陰交・湧泉など、むくみケアの代表穴
足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側から指4本分下がったところ。胃腸(脾)の働きを助け、全身の巡りを整えるためによく使われるツボです。
三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの中心から指4本分上がったところ。肝・脾・腎の3つの経絡が交わる場所で、冷えやむくみなど女性特有の悩みによく用いられます。
湧泉(ゆうせん)
足の裏、指を曲げた時にできる「人」の字の交点にあるくぼみ。腎の経絡のスタート地点で、体の底から元気が湧いてくるツボと言われています。足のむくみケアにおすすめです。
40代からのむくみケアには「経絡(けいらく)」を整えるストレッチがおすすめ
食事やツボ押しも大切ですが、長年の生活習慣による体の巡りの悪さを変えるには、体全体の巡りのルートである「経絡(けいらく)」へのアプローチが欠かせません。
なぜマッサージだけでは、むくみを繰り返してしまうのか
マッサージはその場の滞りを流すのに役立ちますが、内臓(肺・脾・腎)の働きや、全身を巡る「気」のパワーが弱ったままだと、重力に負けてまたすぐに水が溜まってしまうことがあります。
ポンプの働きを整えることも大切なのです。
東洋医学の「経絡」を伸ばして、気・血・水の巡りを整える
経絡とは、全身に張り巡らされた「気・血・水(津液)」の通り道であり、内臓と直結しています。
例えば、腕の内側を伸ばすと「肺」の経絡が刺激され、呼吸が深くなり、水の巡りを助けます。足の内側を伸ばすと「脾」や「腎」の経絡が刺激され、胃腸の働きや排泄力を高めることにつながります。
筋肉をほぐすだけでなく、この「経絡」を意識して伸ばすことで、内臓の働きを活性化させ、「自ら水を巡らせる体」を目指すことができるのです。
1回60分で体スッキリ!「たま式 養生経絡ストレッチ」とは
私が主宰する「たま式 養生経絡ストレッチ」は、まさにこの理論に基づいた、40代~60代の女性のためのオリジナルプログラムです。
難しいポーズは一切ありません。
東洋医学のプロである私が、その季節や皆さんの体調に合わせて、「今日は胃腸(脾)の経絡を重点的に伸ばして、湿気を追い出しましょう」といったようにナビゲートします。
- 呼吸に合わせてゆっくり動くことで、自律神経を整える。
- 経絡を刺激することで、内臓から元気に。
- 自分の体と対話することで、不調のサインに早く気づけるように。
終わった後には、靴がゆるく感じられたり、体全体がポカポカとし、心まで軽くなるのを感じていただけるはずです。
まとめ
東洋医学では、むくみは体からの大切なメッセージ。「水が溜まっているよ」「内臓が疲れているよ」と教えてくれているのです。
「異常なしだから仕方ない」と諦める必要はありません。
まずはご自分が「脾虚」「肺虚」「腎虚」のどのタイプに近いかを知り、日々の食事やケアを見直してみてください。
そして、もし「一人ではなかなか続かない」「もっと根本的に体質を見直したい」と思われたら、ぜひ私のオンラインレッスンを体験しにいらしてください。
全国どこからでも、画面越しにお会いできるのを楽しみにしています。
一緒に、むくみ知らずの巡りの良い体を手に入れましょう!
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参考資料:
『基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書 オールカラー版』 平馬直樹・浅川要・辰巳洋 監修(ナツメ社)
