「家族や子供のためなら何万円でも使えるのに、自分のランチ代が1,000円を超えると罪悪感で胸が苦しくなる……」
「ボロボロの下着を買い換えたいけれど、ユニクロに行くことさえ躊躇してしまう」
もしあなたが今、そんな風に感じているとしたら、それはあなたが決して「ケチ」なわけでも、お金がないわけでもありません。
あなたはただ、少しだけ「自分を大切にする方法」を忘れてしまっているだけなのです。
今日は、多くの心優しい女性が抱える「自分のためにお金を使えない」という悩みについて、心の仕組みと、そこから少しずつ自由になるためのヒントをお話しします。
たま先生(中森 万美子)
「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。
- 1. 「自分のためにお金を使えない」と悩んでいませんか?
- 1.1. 家族には使えるのに自分には使えない心理
- 1.2. 自分のために使うと襲ってくる「罪悪感」の正体
- 2. なぜ自分のためにお金を使えないのか?3つの主な原因
- 2.1. 幼少期の家庭環境と親から受けた刷り込み
- 2.2. 自己肯定感の低さと「私には受け取る価値がない」という思い込み
- 2.3. 将来への過度な不安と「損をしたくない」防衛本能
- 3. 我慢がお金と心身に与える悪影響【鍼灸師の視点】
- 3.1. お金のブロックは「気の巡り」も停滞させる
- 3.2. 自分を後回しにしすぎると家族への怒りに変わる
- 3.3. イライラや不調が続いているなら身体からのSOS
- 4. 罪悪感なく自分のためにお金を使えるようになる3つの練習
- 4.1. 練習1:数百円の「小さな贅沢」で感情を味わうリハビリ
- 4.2. 練習2:「浪費」と「自分を喜ばせる投資」の違いを知る
- 4.3. 練習3:シャンパンタワーの法則で「自分ファースト」を許可する
- 5. まとめ:自分を満たすことは家族の幸せにつながる
「自分のためにお金を使えない」と悩んでいませんか?
相談室に来られる方の中にも、経済的には余裕があるはずなのに、自分のために使うことだけはどうしてもできない、という方がたくさんいらっしゃいます。
家族には使えるのに自分には使えない心理
不思議なことに、この悩みを抱える方の多くは、家族への出費は惜しみません。
お子さんの塾代、ご主人の趣味の道具、あるいは実家への仕送り。これらには「必要だから」「相手が喜ぶから」と、迷いなくお財布を開くことができます。
しかし、いざ自分のためにカフェに入ろうとすると、「家でコーヒーを飲めば数十円で済むのに」という声が頭の中で響きます。
これは、「他者のためには価値を提供できるけれど、自分にはその価値がない」と無意識に感じているサインかもしれません。
自分のために使うと襲ってくる「罪悪感」の正体
自分のために何かを買った後に、「また無駄遣いをしてしまった」と激しい後悔に襲われたことはありませんか?
買ったものを使っている時でさえ、どこか居心地の悪さを感じてしまう。
この罪悪感の正体は、実は「お金」そのものではありません。
「私は我慢すべき存在だ」「私が楽しむことは悪いことだ」という、心の奥底にある自分自身への禁止令が、お金を使うという行為を通じて表面化しているだけなのです。
なぜ自分のためにお金を使えないのか?3つの主な原因
では、なぜそのような禁止令が生まれてしまったのでしょうか。ここでは大きく3つの原因を見ていきましょう。
幼少期の家庭環境と親から受けた刷り込み
私たちの金銭感覚や価値観は、幼少期の親との関わりの中で作られます。
例えば、子供の頃に次のような経験はありませんでしたか?
- 母親がいつも「うちはお金がない」と嘆いていた。
- 「お母さんは我慢しているんだから、あなたも我慢しなさい」と言われた。
- 欲しいものを言った時に、親に困った顔をされたり、否定されたりした。
特に、大好きなお母さんが自分のために何も買わず我慢している姿を見て育つと、「お母さんより幸せになってはいけない」「自分のためにお金を使うのは親不孝だ」という思い込み(メンタルブロック)が形成されやすくなります。
自己肯定感の低さと「私には受け取る価値がない」という思い込み
「自分のためにお金を使えない」ことと「自己肯定感」は直結しています。
自己肯定感が低いと、無意識のうちに自分を低く見積もってしまいます。
「私なんかが綺麗な服を着ても似合わない」
「私が楽しむためにお金を使うなんてもったいない」
そうやって自分を粗末に扱うことに慣れてしまうと、自分を喜ばせるための出費に対して、強烈な拒否反応が出てしまうのです。
将来への過度な不安と「損をしたくない」防衛本能
真面目で責任感の強い方ほど、「将来何かあった時のために」と過剰に不安を抱え込みがちです。
お金を使わないことで、その不安をコントロールしようとしているとも言えます。
しかし、通帳の残高が増えても不安が消えないのであれば、それはお金の問題ではなく、心の問題です。
「今」を楽しまずに「未来」の心配ばかりしていても、心は満たされません。
我慢がお金と心身に与える悪影響【鍼灸師の視点】
ここからは、鍼灸師としての視点もお伝えします。
実は、「我慢」は心だけでなく、身体にも大きな影響を与えます。
お金のブロックは「気の巡り」も停滞させる
東洋医学では、心と体は繋がっていると考えます。
「欲しい」という欲求を無理やり抑え込んだり、「使ってはいけない」と自分を緊張させたりすることは、体の中の「気(エネルギー)」の流れを滞らせることになります。
お金はエネルギーとも言われますが、自分のところで流れを止めてしまう(=過度な節約や我慢)と、結果として新しいエネルギーも入ってこなくなります。
身体で言えば、呼吸を吸うばかりで吐かないのと同じ。それでは苦しくなってしまいますよね。
自分を後回しにしすぎると家族への怒りに変わる
「私はこんなに我慢しているのに!」
自分を犠牲にしていると、無意識のうちに家族に対してそんな怒りが溜まっていきます。
ご主人が飲み会に行くのを見てイライラしたり、子供が無邪気に欲しいものをねだる姿に腹が立ったりしてしまう。
それは、あなたが悪いのではなく、あなたが「我慢の限界」を迎えているサインです。
イライラや不調が続いているなら身体からのSOS
もし、あなたが日常的にイライラしていたり、肩こりや頭痛、不眠などの不調を感じていたりするなら、それは身体からのSOSかもしれません。
「もうこれ以上、自分をいじめるのはやめて」と身体が訴えているのです。
特に、更年期の時期は心と体のバランスが崩れやすく、こうした我慢が症状を悪化させることがあります。
まずは今の自分の状態を知ることから始めてみませんか?
更年期診断|イライラ・不調はサイン?10の質問で今すぐセルフチェック
罪悪感なく自分のためにお金を使えるようになる3つの練習
いきなり高価なものを買う必要はありません。
少しずつ「自分にお金を使っても大丈夫」という経験を積み重ねていくことが大切です。
練習1:数百円の「小さな贅沢」で感情を味わうリハビリ
まずは、コンビニスイーツや、いつもより少し高い入浴剤など、数百円から始めてみましょう。
そして大切なのは、買った後に「罪悪感」ではなく「喜び」を味わうことです。
「あぁ、美味しいな」「いい香りだな」「幸せだな」
その感情をしっかりと噛み締めてください。「私にお金を使ってくれてありがとう」と、自分自身に声をかけてあげるのも効果的です。
練習2:「浪費」と「自分を喜ばせる投資」の違いを知る
お金を使えない人は、すべての出費を「浪費」と捉えがちです。
でも、あなたの心が豊かになるもの、元気が出るものへの出費は「浪費」ではなく、明日への活力を作るための「自己投資(ご自愛)」です。
- ストレス発散のために惰性で買うもの=浪費
- 自分の機嫌を良くして、笑顔でいるために買うもの=投資
この違いを意識するだけでも、お金を使う時の罪悪感は軽くなります。
練習3:シャンパンタワーの法則で「自分ファースト」を許可する
「シャンパンタワーの法則」をご存知でしょうか?
一番上のグラスが満たされて溢れた分だけが、下の段(家族や周りの人)へと流れていきます。
一番上のグラスである「自分」が空っぽのままでは、周りを満たすことはできません。
あなたが自分を満たし、笑顔でいることが、結果として家族にとっても一番の幸せなのです。
だから、まずは自分を一番に満たすことを、あなた自身に許可してあげてください。
まとめ:自分を満たすことは家族の幸せにつながる
「自分のためにお金を使えない」という悩みは、あなたがこれまで一生懸命、誰かのために頑張ってきた証でもあります。そんな優しい自分を、まずは認めてあげてください。
そして、これからはその優しさを、少しだけ自分自身に向けてみませんか?
あなたが自分のお気に入りの服を着て、美味しいお茶を飲んで、ニコニコしている。
それだけで、家庭の中は明るくなります。
今日から、数百円の「ご自愛」を始めてみてください。
自分を大切にすることは、決してワガママなことではありませんよ。
