ふとスマホのアドレス帳を見返した時、あるいは休日に予定がないことに気づいた時、「あれ?私、気軽に連絡できる友達が一人もいないかもしれない…」と愕然としたことはありませんか?
若い頃はあんなに賑やかだったのに、気づけば年賀状だけの付き合いになり、ランチに誘う相手もいない。
そんな状況に、「私の性格に問題があるのかしら」「このまま独りで老後を迎えるのかな」と不安に押しつぶされそうになっている方、実はとても多いんです。
でも、はっきり言わせてください。
50代で友達が減っていくのは、あなたが悪いわけではありません。
それは、人生のステージが変わり、あなたが「次の自分」へと脱皮しようとしている証拠なのです。
今回は、心と体の専門家として、そして同じ時代を生きる女性として、50代からの「人間関係の断捨離」と、孤独を「最高の自由」に変えるための心の整え方についてお話しします。
たま先生(中森 万美子)
「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。
- 1. なぜ50代になると「友達がいない」と感じやすくなるのか?
- 1.1. 子育て終了や定年など、環境の変化で自然と疎遠になるから
- 1.2. 更年期など心身のゆらぎで、人と会うのが億劫になるから
- 1.3. 価値観が成熟し、「無理な付き合い」を手放したくなるから
- 2. データで見る50代のリアル。「友達いない」は少数派じゃない
- 2.1. 実は50代女性の多くが「親友と呼べる人はいない」と感じている
- 2.2. SNSで見える「充実した友人関係」は幻想と割り切ることも大切
- 3. 50代で友達がいないことのメリット・デメリット
- 3.1. 【デメリット】ふとした瞬間の寂しさと、老後の漠然とした不安
- 3.2. 【メリット】人間関係のストレスから解放される「時間と心の自由」
- 3.3. これからは「量より質」。孤独ではなく「孤高」を楽しむという視点
- 4. 50代からの友達作りは「親友」より「茶飲み友達」がおすすめ
- 4.1. 深い悩み相談よりも、「趣味」や「好きなこと」でゆるく繋がる
- 4.2. 家庭・職場以外の居場所(サードプレイス)を見つけるヒント
- 4.3. オンラインの繋がりも立派な友達。心地よい距離感を保つコツ
- 5. 寂しさに押しつぶされそうな時の、たま先生流セルフケア
- 5.1. 不安感は体の「冷え」から?自律神経を整えるツボ押し
- 5.2. 一人時間を楽しむ「ソロ活」で、自分自身をご機嫌にする練習
- 6. まとめ:50代は「友達」の定義を書き換えて、もっと自由に生きよう
なぜ50代になると「友達がいない」と感じやすくなるのか?
「昔は友達がいたのに、なぜ今はいないの?」
その答えは、あなたの性格ではなく、50代特有の環境と体の変化にあります。まずはその原因を紐解いて、自分を責めるのをやめましょう。
子育て終了や定年など、環境の変化で自然と疎遠になるから
女性の交友関係は、その時々の「役割」に紐づいていることが多いものです。
「ママ友」は子供が繋いでくれた関係、「職場の同僚」は仕事が繋いでくれた関係。
子供が独立したり、仕事を退職したりして共通の話題や目的がなくなれば、疎遠になるのはごく自然なことです。
それは関係が希薄だったのではなく、「その時期の役割を全うした」ということ。
「縁が切れた」と嘆くのではなく、「今までありがとう」と卒業証書を渡すような気持ちで捉えてみてください。
更年期など心身のゆらぎで、人と会うのが億劫になるから
50代はホルモンバランスが激変する時期です。
更年期の影響で、以前なら楽しかったおしゃべりが億劫になったり、相手の何気ない一言に傷ついたりイライラしたりして、自ら距離を置いてしまうケースも少なくありません。
もし、「最近、人と会うのが面倒くさい」「些細なことで孤立してしまう」と感じているなら、それは性格が変わったのではなく、体が「今は一人で休みたい」とサインを出しているのかもしれません。
そんな時は、無理に人に会おうとせず、まずは自分の体の状態をチェックしてみることが大切です。
価値観が成熟し、「無理な付き合い」を手放したくなるから
若い頃は、仲間外れにされるのが怖くて、気の乗らないランチや噂話にも付き合っていたかもしれません。
しかし、50代になると人生の残り時間を意識し始め、「本当に大切なこと」に時間を使いたいという欲求が強まります。
「なんとなく合わせていた関係」に違和感を覚え、そこから離れたあなたは、「自分軸」で生き始めた証です。
友達がいなくなったのではなく、質の高い時間を求めて「人間関係の断捨離」を行った結果なのです。
データで見る50代のリアル。「友達いない」は少数派じゃない
「そうは言っても、みんな楽しそうにしているじゃない」
そう思うかもしれませんが、現実は少し違います。
実は50代女性の多くが「親友と呼べる人はいない」と感じている
ある意識調査によると、50代・60代の女性のなかで「何でも話せる親友がいる」と答えた人は、想像以上に少ないという結果が出ています。
「知り合い」はいても、「心を許せる友達」となると、多くの人が「いない」あるいは「減少している」と感じているのです。
あなたは決して「選ばれなかった一人」ではありません。多くの同世代が、同じように静かな孤独と向き合っています。
SNSで見える「充実した友人関係」は幻想と割り切ることも大切
FacebookやInstagramで見る、同級生たちの華やかなランチ会の写真。
あれを見て落ち込む必要は全くありません。SNSは人生の「ハイライト」を切り取ったもの。その写真の裏側で、話題が尽きて気まずい思いをしているかもしれないし、帰宅後にどっと疲れているかもしれません。
他人の「演出された幸せ」と、あなたの「リアルな日常」を比較するのはやめましょう。
50代で友達がいないことのメリット・デメリット
ここで一度、冷静に「友達がいない現状」を見つめ直してみましょう。物事には必ず両面があります。
【デメリット】ふとした瞬間の寂しさと、老後の漠然とした不安
もちろん、デメリットはあります。
美味しいものを食べた時に共有する相手がいない寂しさや、「もし病気になったら…」「孤独死したら…」という老後の不安。
この感情は否定せずに、「私は今、寂しいんだな」「将来が不安なんだな」と受け止めてあげてください。
【メリット】人間関係のストレスから解放される「時間と心の自由」
一方で、メリットは計り知れません。
- 行きたくもないランチにお金を使わなくていい
- 誰かのマウント発言や愚痴を聞かなくていい
- 休日の朝、誰にも気兼ねせず好きな時間に起きられる
これは、若い頃には得られなかった「究極の自由」です。
人間関係のストレスがない状態は、心身の健康にとって何よりの薬になります。
これからは「量より質」。孤独ではなく「孤高」を楽しむという視点
50代からは、「友達の数」を競うゲームは終了です。
これからは、一人であることを誇れる「孤高」のステージ。
「寂しい人」と思われるか、「自立した素敵な大人」と思われるかは、あなた自身の心の持ちよう一つで変わります。
50代からの友達作りは「親友」より「茶飲み友達」がおすすめ
もし、やっぱり誰かと繋がりたいと思ったら。
若い頃のような「ベタベタした親友」を目指すのはやめましょう。お互いに背負うもの(介護や家庭の事情)がある50代には、重たい関係は負担になります。
深い悩み相談よりも、「趣味」や「好きなこと」でゆるく繋がる
おすすめは、名前も詳しく知らないけれど、好きなことが共通している「茶飲み友達」のような関係です。
- 推し活仲間
- 習い事のクラスメイト
- 行きつけのカフェで挨拶する人
「ここだけの話」ができる深い関係よりも、「最近どう?」と笑い合って、サッと解散できる。そんな風通しの良い関係が、50代には心地よいのです。
家庭・職場以外の居場所(サードプレイス)を見つけるヒント
家と職場の往復だけでは、息が詰まります。
ボランティア活動、地域のサークル、カルチャースクールなど、利害関係のない「第三の居場所(サードプレイス)」を持ってみましょう。
そこでは「〇〇ちゃんのママ」でも「課長」でもない、ただの「あなた」として存在できます。
オンラインの繋がりも立派な友達。心地よい距離感を保つコツ
リアルで会うのが億劫なら、ネット上の繋がりも立派な友達です。
ブログ、X(旧Twitter)、趣味の掲示板。
顔が見えないからこそ、本音で話せることもあります。ただし、ここでも依存は禁物。「心地よい距離感」をキープできるのが、大人のSNSの嗜みです。
寂しさに押しつぶされそうな時の、たま先生流セルフケア
どうしても夜中に寂しさが襲ってきたら、心ではなく「体」にアプローチしてみてください。心と体は繋がっています。
不安感は体の「冷え」から?自律神経を整えるツボ押し
東洋医学では、不安や孤独感は「気」の乱れや「冷え」から来ると考えます。
特に、手のひらの真ん中にある「労宮(ろうきゅう)」というツボは、精神的な疲れに効果的です。
深呼吸をしながら、親指でじわーっと5秒間押してみてください。心が少し落ち着いてきませんか?
一人時間を楽しむ「ソロ活」で、自分自身をご機嫌にする練習
誰かに楽しませてもらうのではなく、自分で自分を楽しませる「ソロ活」のスキルを磨きましょう。
- 一人映画館で涙活する
- ちょっといい入浴剤を買ってみる
- 一人で美術館に行き、自分のペースで絵を見る
「一人でも楽しめる私」という自信がつけば、孤独感は自然と薄れていきます。
まとめ:50代は「友達」の定義を書き換えて、もっと自由に生きよう
50代で友達がいないことは、決して恥ずかしいことではありません。
それは、あなたが余計なものを削ぎ落とし、身軽になって次の人生を楽しむ準備が整ったというサインです。
友達がいてもいなくても、あなたの価値は1ミリも変わりません。
誰かの機嫌を取るのではなく、まずは自分の心と体を整えて、「自分自身」と一番の仲良しになってあげてくださいね。
あなたが今日、少しでも穏やかな気持ちで眠れますように。

