「何もかも投げ出して、どこか遠くへ行ってしまいたい……」
「朝、目が覚めると『また一日が始まるのか』と絶望的な気持ちになる」
毎日がんばっているあなた、そんな風に思うことはありませんか?
ふと「現実逃避したい」と思ったとき、多くの人は「なんて自分は弱いんだろう」「こんなこと考えてはいけない」と自分を責めてしまいがちです。
でも、はっきりと言わせてください。
「現実逃避したい」と思うことは、決して悪いことではありません。
それは、あなたの心と身体が「もう限界だよ!少し休んで!」と必死に訴えている、とても大切なSOSのサインなのです。
今日は、カウンセラーであり鍼灸師でもある私の視点から、なぜ現実逃避したくなるのかという心の仕組みと、罪悪感を持たずに心を回復させる「正しい逃げ方」についてお話しします。
この記事が、あなたの心が少しでも軽くなるきっかけになれば嬉しいです。
たま先生(中森 万美子)
「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。
- 1. 「現実逃避したい」は甘えじゃない!脳が出している限界のサイン
- 1.1. なぜ現実逃避したくなるのか?心理的背景とメカニズム
- 1.2. 「すべて投げ出したい」は心がパンクしている証拠
- 1.3. 真面目で責任感が強い人ほど現実逃避が必要な理由
- 2. 今すぐ楽になりたい人へ!効果的な現実逃避のおすすめ方法
- 2.1. 【短時間】5分でできるプチ現実逃避(深呼吸・デジタルデトックス)
- 2.1.1. トイレに逃げ込んで深呼吸
- 2.1.2. スマホを置いて空を見上げる
- 2.2. 【半日~1日】物語の世界に没頭する(映画・漫画・小説)
- 2.2.1. 泣ける映画を見る
- 2.2.2. 長編漫画や小説を一気読みする
- 2.3. 【休日】物理的に場所を変えてリセットする(一人旅・ホテルステイ)
- 2.3.1. ビジネスホテルに一泊する
- 2.3.2. 知らない街を散歩する
- 3. その「現実逃避したい」気持ち、実は身体からのSOSかも?
- 3.1. 心の疲れだと思ったら「更年期」の可能性も
- 3.2. ホルモンバランスの乱れが「逃げたい」感情を増幅させる
- 3.3. イライラ・不調はサイン?10の質問で今すぐセルフチェックしてみよう
- 4. 罪悪感なく現実逃避するために大切なマインドセット
- 4.1. 自分に「休む許可」を出してあげること
- 4.2. 「逃げる」のではなく「戦略的撤退」と捉える
- 4.3. 完璧主義を手放して「60点」を目指す生き方
- 5. どうしても辛い時、一歩踏み出せない時は
- 5.1. 一人で抱え込まず「誰かに話す」という選択肢
「現実逃避したい」は甘えじゃない!脳が出している限界のサイン
まず最初にお伝えしたいのは、「現実逃避したい=甘え」という思い込みを捨てることです。
むしろ、逃げたくなるほど頑張り続けてきた自分を、まずは認めてあげてください。
なぜ現実逃避したくなるのか?心理的背景とメカニズム
心理学的に見ると、現実逃避は「防衛機制」の一つと言われています。
私たちが強いストレスや不安にさらされたとき、心が壊れてしまわないように、脳が無意識のうちにストレス源から距離を取ろうとする働きです。
つまり、現実逃避は心が正常に機能している証拠であり、自分自身を守るための安全装置なのです。
熱い鍋に触れたときに反射的に手を引っ込めるのと同じで、心が「これ以上は危険!」と判断して、逃げる指令を出しているんですね。
「すべて投げ出したい」は心がパンクしている証拠
パソコンやスマートフォンを使いすぎると、熱を持って動きが遅くなったり、フリーズしたりしますよね? 人間の脳も同じです。
仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、家庭での役割……。
脳の処理能力を超えるタスクやストレスが積み重なると、脳はオーバーヒートを起こします。
「現実逃避したい」という感情は、まさに脳が強制終了(シャットダウン)を求めている状態。
「もうこれ以上、情報を入れないで」「休ませて」という悲鳴なのです。
真面目で責任感が強い人ほど現実逃避が必要な理由
私の相談室にいらっしゃる方を見ていても感じることですが、「現実逃避したい」と悩む人ほど、実はとても真面目で責任感が強い方が多いです。
「自分がやらなきゃ」「弱音を吐いてはいけない」
そうやってギリギリまで我慢して、限界を超えて初めて「逃げたい」という感情が溢れ出します。
適当に手を抜ける人は、日常の中で無意識に小さく逃げているので、深刻な「逃げたい欲求」にはなりにくいのです。
だからこそ、真面目なあなたにこそ、意識的な「現実逃避」が必要なんですよ。
今すぐ楽になりたい人へ!効果的な現実逃避のおすすめ方法
では、具体的にどうやって現実逃避をすれば、心は回復するのでしょうか?
大切なのは、中途半端に悩む時間をなくし、意識的に「現実」を遮断することです。
時間別にいくつかおすすめの方法をご紹介しますね。
【短時間】5分でできるプチ現実逃避(深呼吸・デジタルデトックス)
仕事中や家事の合間など、時間がない時におすすめの方法です。
トイレに逃げ込んで深呼吸
個室は誰にも邪魔されない聖域です。3分間だけ目を閉じて、ゆっくり息を吐き出すことだけに集中してください。
スマホを置いて空を見上げる
私たちは常にスマホからの情報にさらされています。5分間だけスマホを裏返し、窓の外の雲や木々をぼーっと眺めてみてください。脳のクールダウンになります。
【半日~1日】物語の世界に没頭する(映画・漫画・小説)
半日ほどの時間があるなら、フィクションの世界に没入するのが一番の薬です。
泣ける映画を見る
涙を流す(カタルシス効果)は、副交感神経を優位にし、ストレス物質を体外に出すデトックス効果があります。
長編漫画や小説を一気読みする
他人の人生やファンタジーの世界に意識を飛ばすことで、自分の悩みが一時的に「存在しないもの」になります。この「悩みを忘れている時間」が脳の休息になります。
【休日】物理的に場所を変えてリセットする(一人旅・ホテルステイ)
もし可能なら、物理的に「いつもの場所(家や職場)」から離れるのが最も効果的です。
ビジネスホテルに一泊する
遠くへ行かなくても、隣町のビジネスホテルで構いません。「家事もしなくていい」「誰にも気を使わなくていい」空間で、ただひたすら眠るだけでも立派な現実逃避です。
知らない街を散歩する
知らない景色を見ることは、脳に適度な刺激を与え、凝り固まった思考をリセットしてくれます。
その「現実逃避したい」気持ち、実は身体からのSOSかも?
ここまで心のアプローチをお話ししましたが、鍼灸師としての視点もお伝えしておかなければなりません。
実は、「逃げたい」という気持ちの裏には、身体的な不調が隠れていることが多々あるのです。
心の疲れだと思ったら「更年期」の可能性も
40代〜50代の方で、以前よりも精神的に打たれ弱くなった、急に不安感が強くなった、という場合、それは単なるストレスではなく更年期の影響かもしれません。
「まだそんな年齢じゃない」「生理はあるし」と思っていても、プレ更年期として30代後半から症状が出始める方も少なくありません。
ホルモンバランスの乱れが「逃げたい」感情を増幅させる
女性ホルモン(エストロゲン)の減少は、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の分泌にも影響を与えます。
つまり、ホルモンのせいで、物理的に「ポジティブになれない」「不安を感じやすい」脳の状態になっている可能性があるのです。
これはあなたの性格の問題でも、根性が足りないわけでもありません。身体の仕組みとして、そうなっているだけなのです。
イライラ・不調はサイン?10の質問で今すぐセルフチェックしてみよう
もし、「最近なんだか逃げたい気持ちが強い」「理由もなくイライラする」「疲れが取れない」と感じているなら、一度ご自身の身体の状態をチェックしてみませんか?
身体の不調が原因だとわかれば、「なんだ、ホルモンのせいだったのか」と心が楽になることもあります。
罪悪感なく現実逃避するために大切なマインドセット
最後に、上手に現実逃避をして、また日常に戻ってくるためのマインドセットをお伝えします。
自分に「休む許可」を出してあげること
「休んではいけない」と思っていると、現実逃避をしている間も罪悪感で心が休まりません。
「今日は徹底的に逃げる日!」と決めたら、「私は今、自分を守るために必要なミッションを遂行している」と考えてください。
休むことはサボりではなく、明日を生きるためのメンテナンスです。
「逃げる」のではなく「戦略的撤退」と捉える
「逃げる」という言葉がネガティブに響くなら、「戦略的撤退」と言い換えてみましょう。
今のまま戦い続けても、心身が壊れて負けてしまう(倒れてしまう)のが目に見えているなら、一度退いて体勢を立て直すのが賢い戦略です。
あなたは負けて逃げるのではありません。勝つために(長く健やかに生きるために)、一時的に引くのです。
完璧主義を手放して「60点」を目指す生き方
現実逃避したくなるほど追い詰められるのは、あなたが100点を目指して頑張っているからです。
でも、人生はずっと続くマラソンです。常に全力疾走では持ちません。
「今日は60点でいいや」「死ぬわけじゃないし、なんとかなる」
それくらいの緩やかさを自分に許してあげてください。60点で合格、と自分で自分にハンコを押してあげましょう。
どうしても辛い時、一歩踏み出せない時は
いろいろ試しても心が晴れない、逃げたい気持ちが消えない。
そんな時は、一人で抱え込まず、誰かの力を借りてください。
一人で抱え込まず「誰かに話す」という選択肢
「辛い」「逃げたい」という気持ちを、言葉にして誰かに話すだけで、心の重荷は驚くほど軽くなります。
信頼できる友人や家族でもいいですし、それが難しければ、私たちのような専門家を頼るのも一つの手です。
自分の弱さを誰かに見せることは、恥ずかしいことではありません。それは、あなたが自分自身を大切にしようとした、勇気ある第一歩です。
いつでもあなたを応援しています。
無理せず、あなたのペースで、まずは「休むこと」から始めてみてくださいね。

