「あの言い方で大丈夫だったかな?」
「返信が来ないのは、私が何か気に障ることをしたから?」
「あの人の機嫌が悪いのは、私のせいかもしれない……」
あなたは今、こんなふうに「相手のことを考えすぎる」毎日に疲れ果てていませんか?
- 家に帰って一人になっても、頭の中では今日の出来事の「一人反省会」が止まらない
- 布団に入っても、相手の表情や言葉がグルグルと回って眠れない
そんな優しいあなたが少しでも荷物を下ろして、ホッと深呼吸できるように。
今日は、長年多くの女性の心と体のケアをしてきた私の視点から、考えすぎる癖を手放し、心を楽にするための処方箋をお届けします。
たま先生(中森 万美子)
「中森万美子鍼灸院」院長、「たま お悩み相談室」代表カウンセラー。 東洋医学で体を整え、カウンセリングで心に寄り添う「心身一如」のケアが信条。 FM845パーソナリティ。SNSフォロワー4万人超。著書『40歳からの幸せの法則』。
- 1. 相手のことを考えすぎる性格は「短所」ではありません
- 1.1. 「考えすぎる」のは、それだけ深く相手を想える才能
- 1.2. 繊細で敏感な「HSP気質」である可能性も?
- 2. なぜ止まらない?相手のことを考えすぎてしまう3つの心理的背景
- 2.1. 1. 嫌われるのが怖い?「防衛本能」からのシミュレーション
- 2.2. 2. 相手の感情に同調しすぎる「境界線」の曖昧さ
- 2.3. 3. 自分の価値を「相手の評価」に委ねている状態
- 3. もう疲れた…相手のことを考えすぎるループから抜け出す思考法
- 3.1. 「事実」と「妄想」を書き出して仕分ける
- 3.2. 相手の機嫌は相手のもの。「課題の分離」を意識する
- 3.3. 自分軸を取り戻す魔法の言葉「私はどうしたい?」
- 4. 思考が止まらない時は「身体」からのアプローチが有効です
- 4.1. 脳疲労をリセットする!鍼灸師おすすめの深呼吸法
- 4.2. ガチガチの頭と首を緩めるセルフケア
- 5. 不安やイライラが続くなら身体のサインにも耳を傾けて
- 5.1. ホルモンバランスの乱れが「考えすぎる」引き金になることも
- 5.2. 心と体の状態を知るファーストステップ
- 6. 相手のことを考えすぎる自分を許して、もっと自由に生きよう
相手のことを考えすぎる性格は「短所」ではありません
まず最初にお伝えしたいことがあります。
あなたが悩んでいる「相手のことを考えすぎる」という性格。これは決して直さなければならない「悪いこと」や「短所」ではありません。
「考えすぎる」のは、それだけ深く相手を想える才能
あなたはきっと、人の痛みに敏感で、想像力が豊かな方なのだと思います。
「これを言ったら相手はどう思うだろう?」と想像できる力は、裏を返せば「深い優しさ」と「思いやり」です。
世の中には、相手の気持ちなど全く考えずに言葉を投げつける人もいます。
そんな中で、相手を不快にさせないよう配慮できるあなたは、とても素敵な感性の持ち主です。
まずは「考えすぎてしまう自分」を責めるのではなく、「私はそれだけ一生懸命、人間関係を大切にしようとしているんだな」と、ご自身を認めてあげてくださいね。
繊細で敏感な「HSP気質」である可能性も?
最近よく耳にする「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉をご存じでしょうか?
生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質」を持った人のことです。
- 相手の声のトーンや表情の些細な変化にすぐ気づく
- 周りの人が怒られていると、自分まで怒られているように感じる
- 一度にたくさんの情報を受け取りすぎて、すぐに疲れてしまう
もしこれらに当てはまるなら、あなたが相手のことを考えすぎるのは、性格の問題というより「脳の処理システムの違い」かもしれません。
「そういう気質なんだ」と知るだけでも、心はずっと楽になりますよ。
なぜ止まらない?相手のことを考えすぎてしまう3つの心理的背景
優しさゆえとは分かっていても、四六時中考え続けてしまうのは辛いものですよね。
なぜ、私たちはこんなにも思考のループから抜け出せなくなってしまうのでしょうか?
そこには、心の奥に隠れた3つの心理的背景があります。
1. 嫌われるのが怖い?「防衛本能」からのシミュレーション
相手のことを考えているようで、実は「自分を守ること」に必死になっているケースです。
「嫌われたくない」「仲間外れにされたくない」という恐怖心が強いと、脳は危険を回避するために、あらゆるネガティブな可能性をシミュレーションし始めます。
「もし変な返事をしたら嫌われるかも(だから何度も文面を見直す)」
これは、あなたが弱いからではなく、自分を守ろうとする防衛本能が過剰に働いているサインなのです。
2. 相手の感情に同調しすぎる「境界線」の曖昧さ
相手がイライラしていると、自分まで苦しくなったり、ソワソワしたりしませんか?
これは自分と他人との「心の境界線」が曖昧になっている状態です。
相手の感情を自分のことのように感じてしまうため、「なんとかしてあげなきゃ」「私のせいで怒っているのかも」と、相手の感情の責任まで背負い込んでしまっています。
3. 自分の価値を「相手の評価」に委ねている状態
「相手にどう思われるか」ばかり考えてしまう時、自分の価値の基準が「相手」になってしまっていることが多いです。
「相手に好かれている私には価値があるけれど、嫌われた私には価値がない」
そんな無意識の思い込みがあると、相手の反応一つ一つが自分の存在価値を揺るがす大事件になってしまうため、考えずにはいられなくなるのです。
もう疲れた…相手のことを考えすぎるループから抜け出す思考法
では、この苦しい思考のループから抜け出すにはどうすればいいのでしょうか?
カウンセリングの現場でもよくお伝えしている、実践的な3つの思考法をご紹介します。
「事実」と「妄想」を書き出して仕分ける
頭の中で考えていることは、実はそのほとんどが「妄想(推測)」です。
ノートを一冊用意して、不安に思っていることを書き出し、「事実」と「妄想」に仕分けてみましょう。
- 事実: 上司に挨拶をしたけれど、返事がなかった。
- 妄想: 私のことを無視したんだ。昨日のミスの件で怒っているに違いない。嫌われているんだ。
書き出してみると、「事実は『返事がなかった』だけ。聞こえなかっただけかもしれないし、考え事をしていただけかもしれない」と、客観的に見つめ直すことができます。
相手の機嫌は相手のもの。「課題の分離」を意識する
アドラー心理学に「課題の分離」という考え方があります。
「その課題(問題)の最終的な結末を引き受けるのは誰か?」を考え、自分の課題と他者の課題を切り離すことです。
例えば、不機嫌な人がいたとします。
その人が不機嫌でいるかどうかは「相手の課題」であり、あなたがコントロールできることではありません。
「相手がどう思うか」は相手の自由。そこに踏み込んで悩むのは、天気をコントロールしようとして悩むのと同じくらい、どうにもならないことなのです。
「ここから先は相手の領域」と線引きをすることで、心の荷物はぐっと軽くなります。
自分軸を取り戻す魔法の言葉「私はどうしたい?」
相手のことを考えすぎる時、主語は常に「あの人が」「みんなが」になっています。
そんな時は、意識的に主語を「私」に戻しましょう。
- 「あの人はどう思うかな?」ではなく「私はどうしたいかな?」
- 「あの人は何を望んでいるかな?」ではなく「私は何を伝えたいかな?」
最初は小さなことからで構いません。「私は今、コーヒーが飲みたい」「私は今日は早く帰りたい」。
自分の心の声を聴く練習を重ねることで、少しずつ「自分軸」を取り戻していくことができます。
思考が止まらない時は「身体」からのアプローチが有効です
思考を変えようとしても、どうしてもネガティブな考えが止まらない時。
それは「脳が疲労してオーバーヒートしている状態」です。
そんな時は無理に考え方を変えようとせず、鍼灸師の視点から、まずは「身体」を緩めることをおすすめします。体と心は繋がっていますからね。
脳疲労をリセットする!鍼灸師おすすめの深呼吸法
考え事をしている時、呼吸は浅く、速くなりがちです。
脳に新鮮な酸素を送るために、意識的な深呼吸を行いましょう。
- 口から細く長く、息を完全に吐き切ります(ここが一番大事!)。
- お腹の底から悪いものが全部出ていくイメージで。
- 吐き切ったら、鼻から自然に空気を吸い込みます。
- これを3回〜5回繰り返します。
特に「吐く息」を意識することで副交感神経が優位になり、高ぶった神経を鎮めることができます。
ガチガチの頭と首を緩めるセルフケア
考えすぎる人は、頭皮や首の後ろがガチガチに凝っていることが多いです。
お風呂に入っている時などに、以下のポイントを優しくマッサージしてみてください。
- 耳の上の側頭部: ストレスで食いしばりがあると硬くなります。拳でグリグリと円を描くようにほぐしましょう。
- 首の付け根(天柱・風池): 後頭部の髪の生え際にあるくぼみ。親指で優しく押し上げると、目の疲れや頭の重さがスッキリします。
不安やイライラが続くなら身体のサインにも耳を傾けて
もし、これまで気にならなかったような小さなことでクヨクヨ悩んだり、急に不安感に襲われたりすることが増えているなら、それは性格の問題だけではないかもしれません。
ホルモンバランスの乱れが「考えすぎる」引き金になることも
私たち女性の心は、女性ホルモンの影響を大きく受けます。
特に30代後半から40代、50代にかけては、ホルモンバランスのゆらぎによって自律神経が乱れ、「不安感」や「思考の反芻(はんすう)」といった精神的な症状が出やすくなる時期でもあります。
「性格が変わってしまったのかも」と悩んでいたけれど、実は身体のバランスが崩れていただけだった、というケースは鍼灸院でも本当によくあることです。
心と体の状態を知るファーストステップ
「最近、なんだか以前より考えすぎてしまうな」
「イライラや不安がコントロールできないな」
そう感じたら、まずは自分の心と体が今どんな状態にあるのか、客観的にチェックしてみませんか?
たま先生監修のセルフチェックをご用意しました。今のあなたの不調がどこから来ているのか、ヒントが見つかるかもしれません。
更年期診断|イライラ・不調はサイン?10の質問で今すぐセルフチェック
相手のことを考えすぎる自分を許して、もっと自由に生きよう
相手のことを考えすぎてしまうあなたは、それだけ優しく、一生懸命に生きている人です。
だからこそ、もう十分頑張っている自分を、これ以上責めないであげてください。
今日お伝えした方法を一つでも試して、あなたが自分自身のために使える時間とエネルギーを取り戻せますように。
あなたの心と体が、少しでも軽くなることを願っています。
